半次郎の“だんごんがん”

要するに、居酒屋での会話ですね。
ただし、半次郎風のフレーバーがかかっています。
≪安心ブログ≫

『10分先が見通せる能力』(前編)

2012年11月16日 12時34分07秒 | ★ やや半次郎の世界 ★

こんにちは、やや半次郎です。

今日から3週に亘って、3部作となる長編をお届けします。
先ずは、前編をお楽しみ下さい。

………………

『10分先が見通せる能力』(前編)

やあ、僕はプロの馬券師を目指している馬之助です。
勿論、ペンネームです。
いや、物書きではないのでペンネームはおかしいですね。
馬券ネームとしておきましょう。

そんなことは、どうでもいいですね。
僕が常々疑問に思っていることを、皆さんにも聞いて頂きたくて、出て来た次第です。

その疑問とは…、人間は何で未来の事が分からないのか?…というものです。

少なくとも、明日の天気が分かるように、明日のことぐらいは知りたいですよねぇ。
いや、明日じゃなくても、例えば10分先でもいいよ、“こうなる”と言うことが分かれば対処出来るもの。
そんなことは、無理なのかなぁ…。

「知りたいのか?」

えっ?
お、お前は誰だ?

「私は神だ。神にもいろいろあるが、神には違いない。」

死神か?
貧乏神か?

「いいや、どちらでもない。しかもそんな古めかしい呼び名の役職など、今はもう無いのだ。」

役職だって?
じゃあ何だ、何て言う神だ?

「言うても分からんじゃろ。平たく言えば、お前の望みを叶える神じゃ。」

本当?
やった~、ありがた~い!
丁度、今、そんなことを考えていたんですよ、神様。
それじゃあ、早速…、と言いたいところなんだけど…。
幾らか取られるんじゃあ…?

「なに、金か? 金など取りはせん。命を取る訳でもないから、安心しろ。」

えっ、そんな都合の良いことばかりあっていいの?

「いいのじゃ。遠慮するな。」

じゃあさぁ、早速なんだけどぉ、未来のことが分かるようになりたいんだ…、無理かな?

「無理ではないが、知ってどうする?」
事前に知ってれば、危険を避けられるでしょ。

「言っておくが、未来は変えられないのじゃよ。お前さんが未来を知って…、例えば、明日、交通事故に遭うとするじゃろ。それを知って、その事故現場に行かないとどうなる? 未来が変わってしまうじゃろ。だからそんなことは出来んのじゃ。お前は自分の意識とは別にその場所に行き、事故に遭うのじゃ。未来を知ってても避けられんのじゃよ。」

へぇ、そうなんだ~。ツマラナいなぁ。
あっ、じゃあこんなのは出来るかな?
10分先が分かるだけでいいんだけど。
例えば、明後日のマイルチャンピオンシップや、来週のジャパンカップで、どの馬が勝ったか分かれば、その馬に賭けることが出来るでしょ?

「そんなことは簡単なことだ。可能じゃよ。可能じゃが、一つだけ注意しなければならんことがある。」

何ですか、神様?

「さっきも言うたが、未来は変えられないのじゃ。未来に起こることは“起きたこと”なのだからな。…と言うことは、つまり、お前さんが賭けることで、確定して公表されたオッズが変わってしまうことはならんが、良いか?」

ええ、いいですとも、こちとらオッズを動かすほどの高額な馬券は買いたくても買えませんから。

「それじゃあ、お前にその能力を授けよう。呉々も気をつけるんだぞ。オッズが変わってしまったら、その瞬間に、もうお前の能力は消滅するからな、良いな。」

ありがとうございます、神様!
いやぁ、これで俺は大金持ちになれる。バンザーイ!

…でも、オッズが変わったらダメだって言ってたな。
未来を変えてはいけないからだろ?
つまり、未来で確定した払戻金よりも小さくなったり大きくなったりしてはダメだと言うことだよね。

オッズが変わるなんて、何十万円とか何百万円とかを賭けないと、なかなか変わるもんじゃないよね。
1万円以内でチマチマ的中させていれば、オッズなんて変わらないよね。

よ~し早速、今度の日曜日に運試しといこうかぁ。
いや、正確に言うと、能力試しだね。
10分先を見通せる能力の試運転だ~!

《中編に続く…》

From やや半次郎



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