みずうみ
2017-12-19 | 本
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< だいたいお母さんてものはさ
しいん
としたとこがなくちゃいけないんだ >
名台詞を聴くものかな!
ふりかえると
お下げとお河童と
二つのランドセルがゆれていく
落葉の道
お母さんだけとはかぎらない
人間は誰でも心の底に
しいんと静かな湖を持つべきなのだ
田沢湖のように深く青い湖を
かくし持っているひとは
話すとわかる 二言 三言で
それこそ しいんと落ちついて
容易に増えも減りもしない自分の湖
さらさらと他人の降りてはゆけない魔の湖
教養や学歴とはなんの関係もないらしい
人間の魅力とは
たぶんその湖のあたりから
発する霧だ
早くもそのことに
気づいたらしい
小さな
二人の
娘たち
『おんなのことば』 茨木のり子
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ここに戻ってきたころ、
子育てや、夫婦仲、父親の病気や
難題満載の実家の仏壇事など、
とにかく悩み多い時期。
不安定な精神状態をもてあましていました。
友人もいない、大人の話し相手もいない私。
唯一、会話のできる大人が
図書館の司書先生でした。
子供たちも大人も来館していない
図書館が静かな午前中
ポコポコと淹れたコーヒーを出してくれて
私の悩みを聴いてくれました。
その先生が、退職されるとき
あなたに贈りたいものがあるのよ。
と、くださった本です。
私のこころの処方箋のようなものです。
いまだ、しいんとしたみずうみを持てない自分ですが・・・。
ある方のブログを読んで、
ふと、あの頃を思い出したので。