48.7:48.6
投票が続いているアメリカ大統領選挙の民主・ハリス、共和・トランプ両候補の投票締め切り時点での支持率だそうだ。
まったくの互角!
ウソじゃないかと思う。調査の精度が悪いんじゃないか…とも思う。
「地球温暖化なんて作り話だ。化石燃料をどんどん燃やせ」「国境をすぐに閉鎖する。不法移民の連中はペットを殺して食べている。連中は凶悪犯罪者どもだからすぐにつまみ出せ」
などなど、耳を疑い、聞くに堪えないような発言を繰り返し、それがますます激しくなって、ますます分断をあおる。
そういうトランプの発言を聞いていて、アメリカ国民の半分がその過激発言にそっぽを向くどころか拍手喝采しているという調査結果を目の当たりにするにつけ、信じられない思いだった。
大学まで通わなくても、高校までの知識を動員すれば「民主主義とは何か」「どういう民主主義が望ましいか」「アメリカが世界の中でどういう立場にいるか」などなそ、分かりそうなものだと思い込んできた。
しかし、世論調査の結果はまさに「民主主義なんてクソくらえ」「俺たちだけ、もう一度豊かな暮らしを取り戻そうぜ」の大合唱が沸き起こり、それをトランプがたきつけ、「分断」をあおるという結果となって表れている。
かつて強大な軍事力を行使して世界中の紛争に首を突っ込み、裏で富をごっそり奪っていくほか、相手側の大勢の国民を殺傷してきたアメリカの帝国主義に憤慨した若かりし頃もあった。
しかし、今地球上を眺めてみると、民主主義国家の対極に現れた中ロなどの権威主義国家が覇権をうかがう勢いを見せ、現にウクライナに攻め込んだロシアの行動を見るにつけ、そんなことが許されていいものかと思う。
ただ、今のアメリカにかつての力はない。
その足元を見透かしたのがロシアの動きだし、今後トランプが再選されるようなことになれば、アメリカの分断はいっそう進む。
アメリカファーストなどと国際社会から距離を置き始めたとたん、アメリカの顔色をうかがってきた国々は、今以上に付け込んだ行動を起こして民主主義が踏みにじられていくことだろう。
したがってアメリカ大統領選挙は単なる大統領選挙にとどまらず、民主主義がこれからも光を発することができるかどうかの瀬戸際だと思っている。
だからこそ、これまで以上に今回の選挙結果を注目している。
そこに示されたのが冒頭の48.7:48.6という数字。
調査会社で長年調査を担当してきたアナリストは「激戦州での差はすべて誤差の範囲内で、どんな結果にも備えておくべきだ。両候補が極めて僅差になる可能性も、どちらかが予想以上に快勝する可能性も、いずれもありうることだ」と指摘している。
一方で、2016年の大統領選で民主党のヒラリー候補を破ったトランプ氏勝利の陰には、世論調査に現れない"隠れトランプ"の存在があったことが指摘された。
今回はその時とは逆に、トランプの主張に嫌気がさし、民主主義の危機だと感じ始めている共和党員の間に相当数の"隠れハリス"の存在が指摘されている。
間もなく結果がわかるけれど、そういう良識がアメリカ国民には備わっていて、今こそ、その潜在的なる部分が表に出てくるときだと信じている。
横浜イングリッシュガーデンの秋バラから