平方録

“なんとかロス” ?

午後2時過ぎの新幹線で姫は帰って行った。
あっという間の5日間。元気のはじけるその姿を見送った後は何かぽっかり穴が開いたようで、一気に秋になってしまったような気分である。
これまでは、こういう場面で常に姫は泣き出していたのだが、今回に限っては窓の外の僕をじ~っと見つめたまま目をそらそうとしなかったが、泣き出すことはなかった。
列車が動き出して、見えなくなるまで手を振っている。もっとも昔の蒸気機関車のようにゆっくりゆっくり走りだすのと違って、新幹線は動き出したかと思うとぐんぐん加速するから一瞬である。

小学生になってまだ5カ月足らず。
2日間通ったプールで感じたのだが、自分から進んで飽きずに繰り返し繰り返し蹴伸びとバタ足の練習に取り組む姿は健気でもあり、幼稚園のころから比べると随分根気が付いてきたようにも感じられる。
もともと、じっとしているよりも活発に跳ねまわっているのが好きな子だったから、どうということもないのかもしれないが、それでも長時間続けるスタミナはやはりすごい。
こういうのを成長の証というのだろう。

帰り道、妻が銀座松屋で開かれている絵本の原画展を見たいというので付き合った。
しかし、姫を見送った後では、何を見てもつまらない。まったく興味が湧かず、1人でさっさと出て会場の外で待っていた。
こういうのを“なんとかロス”というんだろうか。

傷心というには大げさかもしれないが、正直な気持ちはそんな感じでいたところ、夕飯を食べ終わる頃に友人から電話がかかってきた。
iphone6を手に入れて、初めての通話であるという。
いつまでガラケーで通すのかと思っていたのだが、事態は急激に動いたようである。
どういう心境の変化なのかはいずれ聞くとして、「iphone同士ならFaceTimeが使えるよ。無料のテレビ電話だよ」と教えると早速かけ直してきて、その威力に驚いている。
僕の赤ワインのグラスが映ると、友人は何と「十四代」の一升瓶にカメラを向ける。
ふ~む、こちらは1本千円にも届かない安ワインを飲んでるのに、随分と贅沢じゃないの。
カミサン同士も加わって「すっぴんじゃあ電話できないようになっちゃうわね」とか馬鹿馬鹿しいことを言い合っている。

お嬢さんのところのお孫さんにも、これを使えば好きな時に顔を見ることが出来るぞ、と言ったらそそくさと電話を切られた。
現金な奴め。せいぜい、お嬢さんとお孫さんに煙たがられないようにな。

さて、とりあえず今日一日どう過ごすかなぁ~。





地下鉄銀座線から松屋に通じる地下通路の一画にこんな窓が開いていて、電気、電話、ガス、水道、下水管などが行儀よく並んでいるのが見える
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