すると、こんな風に書かれているのである。
「社会保障と税の一体改革は、社会保障の充実・安定化と、そのための安定財源確保と財政健全化の同時達成を目指すものです」とあり、「消費税率の引き上げ分は、全額、社会保障の充実と安定化に使われます。社会保障制度は、すべての世代が、安心・納得できる全世代型へ改革されます」とも。
古い話になるが、1991年にソ連のゴルバチョフ大統領が初めて来日して日ソ首脳会談を行った際、何かのインタビューで日本の医療保険制度や社会保障制度を指して、社会主義の我々の国の制度よりはるかに素晴らしい制度を持っている、と絶賛したのを今でも覚えている。
それが、老人の増加の一方で働き手となる若者の減少、経済の低迷によって税収が減って行き、坂道を転がるように制度そのものの維持が不可能になって行ったのは、小泉政権辺りからである。
同時に国の借金は膨らみ、放置すれば日本の財政そのものがギリシャのように破たん寸前のところまで追い込まれていると言ってよい。
そこで社会保障の充実・安定化と財政の健全化の双方を両立させよう、というのが一体改革の狙いなのである。
しかるに、ここ1、2カ月の騒動は何なんだ。
消費税率を10%に値上げする際、特に低所得者の負担の軽減を考えて必要不可欠な食料品を据え置く軽減税率を導入すべきだ、その範囲もできるだけ幅広く、と大声を上げて駄々をこねたのが公明党である。
憲法違反の戦争法成立には羊の如く従順に従って手を貸したくせに、突っ張りどころが逆である。
第一、経済的には中間層以下の支持者が多いと言われている公明党にとっては、働けなくなった後の社会保障制度の充実と安定こそ重視すべき課題ではないのか。
今回決まった軽減税率の導入によって失われる税収は、何と1兆円を超すのである。
この1兆円超の税収の減少は、そのまま社会保障費の減額となって響いてくるのだ。
他の財源が手当て出来れば、まあ、帳尻は合うのだが、財政再建に苦しむ国の懐具合を考えれば、そんな財源はどこにも見当たらない。
結局、貧弱な社会保障制度のまま、働けなくなった後に泣きを見るのは国民なのである。
今の政権は、そうした社会の根本に目を向けるより、国の財政を安定させるより何より、憲法改正なのだ。
基本的人権などは糞食らえ、男女平等なんてとんでもない。あわよくば核武装なんである。
だから公明の主張も受け入れるし、おまけに、アベなんちゃらは低年金の高齢者への一律3万円支給まで目論んでいる。鎧を隠すための衣を何枚かぶれば気が済むのか。
与党の自民と公明が競って来年夏の参院選挙を前にして、バラマキの人気取り政策を平気で行おうとしているのを、われわれは見せつけられているのだ。
これでは国を誤る。戦争法の成立に加えて、国を危うくするのは必定である。
アベなんちゃらの狙いは改憲に必要な3分の2の議席を得るためで、今後はもっと露骨に、なりふり構わずやってくるだろう。
こうしたバラマキを施したとしても3分の2に届かないとなれば、消費税10%引き上げそのものも先送りする気だぜ。
つまり、何でもありなのだ。
強大な権力を持つ身でありながら、謙虚さはおろか、自制の心も、恐れを抱く心も持ち合わせていないような、こういう奢りの権化のような権力者がいつまで傍若無人な振舞いを続けるのだろう。天を畏れぬ政治を続けるつもりなのだろう。
初冬のヤマボウシの木に絡んで咲いている「たそがれ」。さすがに最盛期の勢いからは程遠く、残り花と言った風情である=横浜イングリッシュガーデン
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