「営業中。18:00まで」と書かれているのをネットのホームページで確かめて家を出た。
炎天下の14:00を少し回ったころ。
よりによって一日のうちでも一番気温が高くなる日盛りである。
田んぼの中の道をとぼとぼ歩いていくのはさぞかし暑いだろうな…しかし、台風6号からの風がそこそこに吹いているし…
何より、そんな暑さの盛りは誰でもが外出を避けるだろうし、店もきっと空いているに違いない。
そう思いついた瞬間、ホームページで営業中を確かめ、家を出ていた。
数日前から髪の毛が伸びたのが気になって…特に襟足付近のもじゃもじゃ感が、気になりだすとたまらなく鬱陶しく、少々の暑さの代償を払ってもきれいさっぱりにしてこようという気になったのだ。
道中、田んぼの稲穂は遠くの台風6号からの風に自由奔放に波打ち、涼感を提供してくれるのが救いと言えば救い。
とはいえ、照り付ける炎天は甘いものではなく、いくら風が心地よくても肌をじりじりと焦がしてくる。
そんな中をてくてく10数分歩き、県道を渡って店のある一角に近づくと、いつもはクルクル回っている動脈の赤と静脈の青、そして包帯の白をデザインした万国共通の"理髪店マーク"が遠目に回っていないことに気づく。
「故障でもしたのだろう」という淡い期待は、すぐに裏切られ、なんとなんと「12日~15日夏休み」と書かれたボール紙が貼られシャッターが下りていた。
吹き出す汗…鬱陶しさがいや増す襟足…シャッターを蹴とばすわけでもなく、静かにその場を去り、来た道をとぼとぼと戻る。
家に戻ってネットでホームページを確かめると「営業中。18:00まで」の記述はそのまま残っていた。
炎天の田んぼにやや強めの風が自由気ままに吹き渡っていく
姿そのものは見えないけれど…
あっ、見っけ
こうして風を待つわずかな時間でも、田んぼの淵に立っていると全身がじりじりと焦がされる感じ