ナイトアクアリウムとかを30日までやっているという。かみさんに誘われた。
海岸べりを歩きたかったのだが、風が強く吹いて砂粒は飛んでくるし、寒かった。歩くどころではない。
仕方なく館内へ。日没後とはいえ、まだ午後の5時半前だからだろうか、小さな子供も含めて込みあっているではないか。
夜遊びしていていいのかい、と心配するが、夏ならまだ外で遊べる時間だ。むべなるかな。
3Dプロジェクションマッピングとやらを使った「昼とは違うファンタジックな海の世界を紹介します」というのが売り文句。
某キー局の主催だとか。大水槽の前では「深海の世界のオアシス」が、クラゲ(海月)水槽の部屋では「海月の宇宙」が繰り広げられるという。
大水槽の前に薄く透けるようなスクリーンが降りてきて、魚たちが泳ぎ回っているところを背景にコンピューターで作った映像が流れる。
ふーん、世の中、こういうことが出来るようになったんだね、とは思う。それと感動とはまた別モノである。海月の宇宙も同じ。
大昔、小学校に上がって間もなく、「幻灯機」なるものが世の中に出現し、新しもの好きの叔父がさっそく手に入れてきて、どこそこへ旅行してきたといっては旅行先の風景を自慢げに見せてくれたものである。
あどけない少年は、暗くした部屋のふすまに投影される別世界に対するあこがれ、新しい装置の出現に対する驚き、叔父に対する尊敬の念のようなものが渾然と渦巻いて、目を皿にして見つめたものである。
当時のことだから映像が鮮明であるわけでもなく、もちろん色も付いていない。モノクロである。
幻灯機とはスライド映写機のことで、画面が動くわけではない。英語では MAGIC LANTERN と言うそうだ。
フィルムで撮影した画面が動きだすのは、もっと後になってからである。
それでも十分に魅力があったのはナゼか。
子ども心の初々しさもあったろうが、新しいものに飛びついて大枚払い、装置一式をそろえ、旅行まで企てて映像を撮ってきて親族に自慢するというような、ある意味で好奇心に満ちたフロンティア精神が、叔父の一連の行為の中に満ち溢れていたから、引き込まれて行ったのではないか、と今にして思うのである。
未知なものに対する恐れにも似た驚き、誇らしさ、憧憬、楽しさ、挑戦…。そういうものが作る側にも見る側にもあった。それ故に感動が広がり、深まるのではないか。
そういうものは、今回の展示からは微塵も感じ取ることができなかった。
テクノロジーの進化が常態化すると、それを使って何かを表現するにはそれなりの知恵と工夫がなければ、ただのマンネリ、亜流に堕す。
えっ、たかが水族館 ? ないものねだりですかねぇ…
水槽で動き回っているたくさんの魚たちの姿を見ているほうが、よっぽどファンタジックで楽しい。なにより美しい。
大水槽前の「深海の世界のオアシス」と見入る来館者
通常展示の大水槽をファンタジックに泳ぐイワシの群れをはじめとする相模湾の魚たち
生シラスの展示はここだけだそうである。踊り食いがしたいなぁ
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