平方録

姫を送り届ける

姫を母親のもとへ送り届けてきた。
姫は別れが近づくといつも言葉が少なくなる。
キラキラした目でこちらの目を見ることもなくなって、伏し目がちになる。
この日もそうだった。
東京駅へ向かう車中でも新幹線に乗ってからでも、携帯電話で動画を見ていてほとんど話をしない。
しかし、ホームからホームへ移る時などは普段より手の握り方が強い。ぎゅ~っと握っている。
エスカレータに前後に立っていても手をつなげと、差し出してくる。
普段はそんなことはしない。さっさと駆け上がって行くのに。別れを特別に感じているのだろう。

よく遊んだ5日間だった。
姫も初日の晩こそ母親を恋しがって涙を流したが、それ以降はケロッとしていた。
夜は布団に入ってからも小1時間悪ふざけをして騒いだ後に、ようやく寝入るはしゃぎぶりであった。
修学旅行の晩にまくら投げで大はしゃぎした、あのノリである。

次は4月10日に会う。
姫の小学校の入学式である。
父親が海外出張で出られないというので、出席を頼まれた。
喜んで出席するが、自分の子どもの入学式には一度も行ったことがないから、初体験である。

じじばばの立場で入学式に参列するなんて、考えてもみなかったことである。
どんな表情を見せるのだろうか。
自分の時のことは覚えていない。どんな雰囲気の入学式なのか。
野次馬根性が頭をもたげてきた。
仕方ない、取材してくるとしよう。


友人のところに待望のお孫さんが誕生した。
女の子だそうである。
3200グラムを超した丸々とした赤ちゃんらしい。
待望の初孫の誕生に電話の声は近年ないくらい弾んでいて、嬉しそうであった。
よかったよかった。おめでとう!

良い春である。




従兄弟の若殿をあやす姫
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