平方録

やっぱり羊頭狗肉だったんだ

戦前の日本で国民の自由を奪い、「戦争は嫌だね。早く終わればいいね」などと口走っただけで警察にしょっ引かれて、竹刀でメッタ打ちされたり、鉄拳で殴られたりと、ひどい目に遭わせ、恐怖の底に追いやってきた「治安維持法」という悪名高き法律があった。

この法律をモデルにしたとしか思えない法律案が政府の手で準備されていて、国民の自由を問答無用で奪う目的ゆえに、これまで何度となく提案されては廃案になってきたのだが、2/3を超える議席を持っている巨大与党は今度こその気構えである。
これまでは「共謀罪」という名の法律案だったのだが、小賢しいことに今回は世界で頻発したテロを防ぐのだという大義を前面に持ち出してきて「テロ等準備罪」という、あたかも、テロを防ぐためだけの法律案のようにカムフラージュしているのである。

小賢しいこの狙いはまんまと的中したと見るべきだろう。あるマスコミの世論調査によると、ほぼ50%の有権者が「この法律は必要である」と答え、「反対」は30%に届かないという結果となって表れたのだ。
多くの国民は中身などよく確かめずに、つけられた名前だけで中身を判断しがちである。
だまされる国民が悪いと言えば悪いのだが、ネーミングで目くらませして国民を欺こうという魂胆は、主権者たる国民を心底馬鹿にしているとしか思えない。

憲法9条を無視して海外で武力を使えるようにするための「戦争法」を国会に提案した時も、武力を使って平和を維持するのだという意味で、あろうことか「積極的平和主義」などと言う、三百代言もびっくりの論法を振りかざしたアベなんちゃらは、今回もまた数匹目のドジョウを狙って今度は「テロ防止」というレッテルを用意してきたんである。

これが、やっぱりレッテルだけで、内容は戦前の治安維持法に似たこれまでの共謀罪とほとんど変わらず、法律案の条文には「テロ」のテの字もないことが明らかになった。
これじゃぁ典型的な「羊頭狗肉」である。
羊の頭を看板に掲げ、あたかも羊の肉を売っているように見せかけて実は、羊より格段に質の悪い犬の肉を売ることの例えだが、そうまでして国民を騙すのかい、と思うとものすごく嫌な気分にさせられる。
本当に必要だと考えているのなら、正々堂々と説明すればいいのにと思うのだが、さすがに「国民に自由にふるまってもらうのは困るんです」とは言えないと見える。だからコソコソした看板を掲げるんだろうが、国民も舐められたものである。

25日のブログに書いたとおりなのだが、作家やジャーナリスト、大学教授、労働団体などの幹部たちへの弾圧のひどさは想像を絶したのである。そういう狂気を伴ったのがテロ等準備罪という迷彩服をまとった法律案の正体なんである。
この法律はテロリストに立ち向かうための法律ではなくて、善良な国民に向けた牙を隠している法律案なんである。

しかし、アベなんちゃら率いる与党は国民というものは権力によって従わせるものだという、時代錯誤の罰当たりな考えでしかないのだが、悲しいかな、膨大な議席を占めていてやりたい放題なのが悔しい。
72年前の侵略戦争でおびただしい血を流し、多くのかけがえのない命を犠牲にしたうえでようやく手にした「国民主権」「基本的人権の尊重」「平和主義」の3大特徴を持った憲法がありながら、今やすべてが風前の灯となっていることに、唖然、茫然とするしかないのだ。

いかげんにしてもらってアベなんちゃらとその一派には退場してもらおうよ。もうこれ以上騙されないようにしようよ。



いかにもシュールなわが家のオトメツバキ
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