平方録

イチョウの葉は残った

ちょうど1週間前の金曜日、近所のイチョウ並木の色づき始めた枝がバッサバッサと切り落とされて丸裸にされていく現場に遭遇した。
枝を切り落とされてしまったイチョウの数は十数本。
あまりの惨状に伐採作業の現場写真をスマホで撮り、世界遺産登録なんてとんでもないと憤って、ユネスコに告げ口してやるからなとブログでうそぶいたのが功を奏したかどうか知らない。
そのせん定作業はピタリと止み、今日に続いている。おかげで、イチョウはきれいに色づき、黄金色の美しい姿を見せているのだ。

そう言えばスマホを構える私に、現場監督らしき男が恨めしそうに、すがるような眼を向けてきたこと、その顔を睨みつけてやったことが思い起こされる。
私と同じように、憤慨した住民が役場に抗議の電話なりをかけたのかもしれない。
いずれにしても、せん定作業は中途半端なまま中断し、数十本のイチョウはせん定を免れたのである。

イチョウの葉がすっかり散ってしまうまで、あと数日である。
葉が落ちた枝を剪定するのは一向に差し支えない。
第一、葉が落ちてしまった後の方が、作業が楽だろうに。
何と不可解な行為であったことか。
ま、取り合えず、ユネスコにチクルのは見合わせてあげることにしよう。

そう言えば、その怒りに満ちたブログを書いた土曜日は前夜ハシゴ酒をして、大幅に寝坊したのだが、今朝もまた前夜のはしご酒がたたって、また寝坊してしまった。
イチョウと寝坊、あるいはイチョウとハシゴ酒の間にはなにがしかの因果関係があるのだろうか。
やはり3軒をハシゴして、ビール、日本酒、焼酎と飲み続け、最後の店でスコッチを舐めたのがとどめを刺したのだと思う。
いつの間にか、すっかり酒に弱くなったものである。

嵐のような悪天候をもたらした低気圧が通り過ぎ、素晴らしい好天に恵まれたので、冬用の掛け布団を陽に干して、その暖かい蒲団にくるまって寝たのも寝坊の一因かもしれない。
とにかく心地よく、ぽかぽかとぐっすり眠ったのである。

歯を磨いて、冷たい水で洗った顔は二日酔いではれぼったく、紅顔の美少年と言われた相貌がすでに過去のものになってしまっているのは致し方ないとして、シブイおじさま、と若い女性たちの憧れだったということは聞いたことも無いが、何とも情けない顔である。
外は随分と明るくなってきて夜が明けたようだが、もう一度ぽかぽかの布団に戻らなくては…



イチョウの葉は残った




見事な快晴に鎌倉山からは富士山がきれいに見えた。雪も増えて今冬一番の姿である。
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