1717年の創業とかで、普通のサラリーマンではとても足を向けられない、知る人ぞ知る高級料理店だったそうな。
そんな由緒ある店がリーズナブルに変身して鎌倉の十二所にある明王院境内に移ってきて何年か経つ。
妻が友人たちとの会合に使うという。八百善の女将さんと妻を含めた友人たちは同窓なんだそうだ。
周囲の観光案内も含めて店までの経路を事前に踏査しておきたい、というので付き合った。
鎌倉駅から鶴岡八幡宮~報国寺~明王院~浄妙寺~大巧寺~鎌倉駅。天気がよかったのですべて歩きとおした。
ちょうど昼飯時だったので小町通りをちょっと入った鎌倉赤坂飯店へ。八百善とは対極をなすであろう席数9つの超庶民的な店。
席が少ないから、並んで待つのが欠点である。20分ぐらい待った。みんな地元の常連客である。観光客が興味深そうに通り過ぎる。
十数年ぶりの再訪だった。ここで650円のラーメンをすする。
きわめてシンプルで昔風のラーメン。いまどきのギトギトしたものと違ってさっぱりとした味で支那そばと呼ばれたものに近い気がする。久しぶりということもあって、美味しかった。
偏屈そうな親父が無愛想に料理を作っていたものだ。年をとっていたようだから、さすがにもういないだろうと思っていたら、すっかり腰は曲がってしまったけれど、息子らしき人物の脇でまだ頑張っていた。
この親父、なかなか見所があって(失礼)、どんないきさつがあったのか知らないが、放浪の歌人といわれた山崎方代を自宅の一角に作ってあげた小屋に住まわせ、後半生の面倒を見ていたようである。
なるようになってしもうたようである 穴が狭くて引き返せない
手のひらに豆腐を乗せていそいそと いつもの角を曲がりて帰る
この豆腐屋の親父は脳溢血で倒れてしまって、店は既にない。でも方代がいそいそと帰って行った角々に変わりはない。
瑞泉寺に歌碑が立っている。気取ったところの無い好きな歌風である。
八幡宮は14日から始まる祭りの準備でざわついていた。流鏑馬の馬場が準備されていた。
裏道を辿って報国寺へ。竹の庭は観光客で渋滞。さらに裏道を辿り明王院。この境内に足を踏み入れたのは初めて。鎌倉で唯一、五大明王を祭っているという寺で、茅葺の本堂に趣がある。毎月28日に開帳するという。
来た道を戻り浄妙寺。ここでは運の良いことに本堂で花の供養とやらのいけばな展を開いていて、本堂に上がれた。上がれるのは年に一度、この日だけだそうだ。
さらに珍しいことに鎌倉で唯一「淡島明神」とやらを祀っていて、ちいさな像が安置されている。安産など婦人の安全祈願にご利益があるんだそうな。間近に座って妻はなにやら手を合わせていた。
近くにいたもの知りから、男には何の御利益もない、といわれた。
ならばと、寺の裏手のレストランでビール飲んで現世利益を味わう。よく晴れて暑かったから、冷えたビールは美味しかったですな。
鎌倉駅前にある「おんめ様」、大巧寺に寄る。ここは安産祈願の寺で知られ、おなかの膨らんだ女性が何人もお参りしていた。ここは狭いがよく手入れされた庭が見どころ。野の草花を育てていて風情がある。この日は白い曼珠沙華が満開だった。
歩数は17506。
小町通りと若宮大路を結ぶ路地に面した鎌倉赤坂飯店
報国寺の竹の庭は渋滞ができるほどの込みよう。相変わらずの人気
浄妙寺裏手のレストランのイングリッシュガーデンに面したテラスで現世利益を味わう
おんめ様の境内に咲いている白い曼珠沙華
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