このところ天気は周期的に変わり、晴れ、雨、晴れ、雨…が交互にやってくる。
晴れるとポカポカ陽気になるので戸外に出て自転車を漕いだり散歩をして春を探し楽しんでいるが、雨だと真冬に逆戻りで、そうなるとすっかり〝戦意〟を喪失してしまい、こたつの布団のシミになっている。
時節柄、人混みに出かけるなんてもってのほかで、映画館から足が遠のいたままだし、電車に乗ってぶらりと当てのないプチ旅に出ようと思っても、密閉空間には何が待ち構えているか分からないから、それも躊躇してしまう。
畢竟、近場をぶらつくことになり、見慣れた光景が新鮮に映ることもしばしばである。
見出し画像は良く晴れた一昨日の金曜日の鎌倉・腰越海岸の浜辺の光景。
江ノ島を目の前に臨む砂浜には、採ってきてすぐに浜辺に据えた大釜の湯にサッとくぐらせたワカメが洗濯ばさみに挟み付けられて春の日差しにさらされ、風にゆらゆら揺れていた。
相模湾一帯でワカメは採れるが、なぜか鎌倉産のワカメは入手困難なブランド品として人気が高く、一部でネット販売され、それ以外はごく限られた市内の魚屋などで「鎌倉産天然新わかめ」とか「鎌倉特産湯がきわかめ」として売られている。
わが家でもシーズンに一度くらい手に入れているが、舌に乗せるととろけるような柔らかさで、心なしか香りも際立っているように感じられる。
これを味わう場合、好みによるが、ボクは何もつけずに口に運ぶ。
そうすると、ワカメそのものの食感と、かすかな潮の香り、そしてワカメ自身が発するワカメそのものの味と香りを味わうことができる。
新ワカメならではの食べ方だと思う。
この場合当然、冷えた切れ味の良い日本酒か、まったく逆に芳醇な大吟醸酒どちらかの「お供」になっているわけで、至福のひと時ということになる ♪
乾燥したものをもう一度湯がいて柔らかく戻すと、きれいな緑色になるのがまた春を感じさせてイイものである。
東日本大地震の後、復興支援だからと三陸のワカメを頂いたりして、それはそれでとても美味しく味わうことができたが、やはり地元の産品というものは又一味違うものだということは言うまでもない。
まぁ、この辺りは少しひいき目が勝ちすぎているかもしれないが…
今年の解禁日は3月1日だったそうだから、ワカメ干しも始まったばかりのホヤホヤということになる。
ネットで調べてみたら「鎌倉特産湯がきワカメ(120g)」が送料別で2550円もしているのには少しばかり驚いた。
市内では腰越海岸以外に由比ガ浜や材木座の浜でも天日干しの光景を見ることができる ♪
この時期になると海中はとても賑やかになると見えて、相模湾一帯の漁港や外洋の影響を受けないような波の静かな水域には遡上を待つアユの稚魚の群れが目立つようになる。
ワカメ干しが行われている海岸のすぐ脇の腰越漁港も例外ではない。
漁船が漁に出払った後の早朝の港内でサビキを使って稚魚を釣ったのも懐かしい思い出である。
稚魚は体長5~6cmにまで成長していて、釣りあげて空中に現れた魚体がぴちぴち跳ねると、朝日に照らされて緑色に輝く。
その光景を見て初めて「アユって緑色なんだ きれいだなぁ ! 」と認識を新たにして感激したことが今となっては懐かしい。
ワカメも湯がくと奇麗な緑色になり、アユがまた緑色の体を朝日に躍らせる…
春をイメージさせる色は桜色とかマンサクやレンギョウの黄色とか、色の一番豊富な季節なんだと思うが、「みどり」もまた押しも押されぬ春の色である。
東日本大震災が襲った3月11日は相模湾のシラス漁が解禁になる日でもある。
相模湾に本格的な春がやってくる。
平日の浜辺が子供たちでにぎわっているのも、暖かいし、安全だものね