舗装路のみならず、悪路も可能な走行性能を持つので、英語圏ではハイブリッドバイクと呼ばれているんだそうな。
うちの妻は右手も左手も不自由なく使えるからハイブリッドハンドの持ち主である。
ハイブリッドバイクのタイヤは悪路用のギザギザのついたものでなく、舗装路を滑らかに走行できるように、スリックタイヤと言う表面がほとんどツルツルのタイヤを履いている。
かつてはドロップハンドルのロードバイクという、タイヤが細いスピード性能の高い自転車に乗っていたが、長時間首を持ち上げて前傾姿勢を保つのが辛くなってきて、首を持ち上げなくても済むマウンテンバイクに乗り換えた。しかし舗装路ばかり走っているうちに、タイヤの抵抗の大きさに辟易して、抵抗の少ないスリックタイヤを履いたハイブリッドバイクに乗り変えたのである。
自転車乗りの歴史は古く、小学校の低学年のクリスマスプレゼントか何かで初めて買ってもらって以来、野山を走り回ってきたのである。
その後、中学、高校、大学と自転車に縁のない生活が続いたが、30代の入り口に差しかかるころ、幼稚園に通う娘に買ってあげるため自転車屋を覗いたのが運命の分かれ道だった。
目に飛び込んできたのは鮮やかな黄色のロードバイク。ハンドルに真っ白なテープの撒かれた如何にもおしゃれな「丸石自転車」のバイクで、タメツスガメツしていたら、たぶんだらしなく涎をタラタラ流していたに違いなく、自転車屋の親爺がもったいぶったように「いいでしょうこれ」というし、妻も「欲しいんだったら買えば」と言ってくれて「よしっ!」と決断したのが36、7年前の話である。
本社での内勤だったころには片道20km超の道のりを通勤に使った時期もある。
不摂生極まる40数年の社会人生活を乗り切れたのは、この黄色の自転車とその後を継いだ数台の自転車で時々汗をかいたのが、なんとか今に至るまで命を繋いでくれたお陰ではないかとさえ思っているのだ。
今でこそスポーツとして自転車を楽しむ人は多いけれど、購入当時は134号を海を見ながら走っても、おしゃれな自転車はほとんど見かけず、たまに行き合うのはフレームに商店の名前が書かれた酒屋などの実用的な自転車がせいぜいだったから、ヘルメットをかぶり、身体にピッタリまとわりつくような派手な衣装で何台も連なって走っているような姿を見ると、けだし隔世の感を覚える。
そんな懐旧に浸りながら走っていたある日のこと。背後から何やら人工的なシャカシャカ、シャカシャカという音が近づいてくる。
はて? と思う間もなく、スカート姿の若い女の子が漕いでいる自転車にスーッと追い抜かれてしまった。
交通量の激しいところだったので、歩道を20km足らずで比較的ゆっくり走っていたのだが、見る間に遠ざかって行くから30km超は出ていたのではないか。
それも歩道を歩く人をかき分け、すり抜けるように進んでいく。
歩道を行くときは歩行者の歩みを妨げないように、遠慮がちにこっそり走るのがマナーである。もし衝突でもしてしまって、倒れた際の打ちどころでも悪ければ命にかかわる。
シャカシャカ音はモーターの音だった。若い女の子が音を出して漕いでいたのは今流行の電動自転車である。
あの電動アシストの威力はさすがである。見ていると大概の坂道は平地を走るがごとくスイスイ軽がる登って行く。前と後ろに子どもを乗せていてもスイスイ登って行く。
故に馬力があるのだろう、坂道だけでなく、平地で思いっきり漕げば結構なスピードが出るらしいのだ。すべて人力に頼る身にはしゃくにさわるけれど、そういうものらしい。
しかし、いくら軽々と早く走れるからって、歩道をあんなスピードで走るなんてぇのはルール違反ですぜ、お嬢さん!
ヤマボウシとハナミズキの葉陰でつつましく咲くノウゼンカズラ
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