秋思 晩唐 許渾
#樹西風枕蕈秋 ( # 王篇に其)
楚雲湘水憶同遊
高歌一曲淹明鏡
昨日少年今白頭
まるで昨日のような青春時代、しかし実際には白髪の老人なのだ、と。
現役時代は「ひょっとして染めてるの?」と言われたほどなのだが、今、鏡を見ると私の頭髪にも白いものが目立つようになってきている。
もう一つ。こちらは朱子学で名高い朱子の作と伝えられてきたが、どうやら怪しいらしい。
和製ではないかと言われているが、どちらでもよい。中学生の教科書で初めてお目にかかって最初に暗唱できるようになった漢詩なのだ。
少年易老學難成
一寸光陰不可輕
未覺池塘春草夢
階前梧葉已秋聲
こういう漢詩を作って若者に勉学に励めよと叱咤したんだねぇ。
いつの時代に出来た詩か知らないが、いずれにしても昔の学識者と言うことになると僧侶だろうか。
中学生の時はこれを呪文のように唱えていたことは確かだ。
そして「已秋聲」もその通りである。あぁ!
次は狂歌。
折もよき秋のたたきの烏帽子魚(えぼしうお) かま倉風にこしらへてみん
作者は天明狂歌壇の1人で雀酒盛(すずめのさかもり)という人。
烏帽子魚とはカツオのことで、江戸時代は鎌倉が本場とされたそうだ。「目には青葉 山ほととぎす初鰹」の鎌倉だが、脂の乗った秋の戻りガツオも江戸っ子に受け入れられていたんですな。
その戻りガツオのたたきを作ろうとする江戸っ子が、鎌倉武士のかぶりものだった烏帽子に引っ掛けて「いっちょう鎌倉風にこしらえてやるか」と勇んでいる様子である。
自虐的というか内省的というか、人生の盛りは楽しく良い思いをして過ごしたんだろ、と言いたいような境涯が垣間見られるような詩を作っておいて、今さらぼやかれてみてもなぁ。まったく漢詩ってやつは…。仕方ないじゃん、としか言いよう無いよな。
そこいくと、いいねえ、この狂歌。滑稽味があって、第一ひねりが効いている。
人生かくあるべし。
しかし、狂歌を詠むには教養が必要なようだなぁ。
お次は俳句。
長き夜をたたる将棋の一ト手哉 幸田露伴
秋の江に打ち込む杭の響きかな 夏目漱石
秋灯や夫婦互いに無き如く 高浜虚子
甲賀衆のしのびの賭や夜半の秋 与謝蕪村
にょっぽりと秋の空なる富士の山 上島鬼貫
気に入ったものを並べたつもりだが、蕪村の句は特に好きだなぁ。俳諧そのものなんだよね。露伴が悔しがっているところもいい。
わが句会が月末にあるのだが、お題が「無花果(いちじく)」で難航中なんだよな。はぁ~
昨日の円覚寺黄梅院の庭に咲いていた花。名前は知らない。
帰り道に七里ガ浜を通ったら、まったく波がないのにサーファーが浮かんでいた。そう、彼らは浮かびに来たのだ。
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