平方録

散水車は空にして 涼風もまた来たらず

昨日の夕方から夜にかけて東京辺りではラピュタの城がある巨大雲のような雷雲が現れて雷鳴を轟かせ稲光を発しながら大雨を降らせて大暴れし、その一部が横浜にも届きそこでも家路を急ぐサラリーマンらの足を躊躇させたらしい。

スマホにも午後の7時過ぎからわが海辺の町の名前を示しながら「大雨警報」を知らせるメールが数本届き、9時を過ぎるころには一瞬だが湿った風が吹いてきて何やら不穏さを漂わせ、いよいよかと思ううちゴロゴロごろと雷鳴1発、よし! ついに来たか、「大型散水車来たる」「涼風来たるだな」などと不謹慎なことを思い浮かべて期待すると間もなく雨がパラっと落ちてきた。
当然その後の展開に期待しつつベランダに出て雨を待ちつつ、これで庭の木々をはじめ植物たちも一息つけると思いきや、雨はその後音無し。一瞬「パラッ」と来ただけで「パラパラ」にも届かずお湿りにもならない。雷鳴もあの最初の1発だけでシーンと静まり返ったままである。

ったく! 雷雲域の南の外れのそのまた外れ、ちぎれた雲の端切れがほんの少しだけかすめて通ったというか、この辺りで消滅したということらしい。
今夏は1度だけ深夜に雷雨があって、ゴロゴロドカンという雷鳴に一瞬眠りを妨げられたがすぐに寝てしまい、それがどれくらい続いたのかさえ知らないので、雷雨の実感は皆無といって良いのだ。
従って不謹慎さを繰り返せば、雷雲が大暴れした後に概ね東の空に現れる虹が見たいなぁと思っているのだ。
まぁ、そのデンで行くと昨日の場合は9時過ぎのことだから虹はそもそも無理な話で、期待できたのは水撒き効果と天然クーラー効果くらいなものだが、それだって大自然がもたらすものはお手本中のお手本なのだから、じっくり味わいたい所だったのだ。
まったく残念なことであった。

関東地方を見舞う雷雲の多くは西から東に向かったり、北西方向から南東方向に向かって移動するケースがほとんどで、稀に北から南に下る雷雲が出現すればわが海辺の町までやって来てにぎやかにひと騒ぎして過ぎ去るという寸法なのだ。
だがしかし、それはあくまで「稀」なケースなのである。
したがって群馬や秩父の山沿いで発生する雷雲は東か南東に向かうのが定番だから、そうなると東京や埼玉、千葉あるいは群馬、栃木、茨城を通過するのみということになる。
かくしてわが町までは涼風は届かず、蒸し暑い空気に包まれながらベッドに転がらざるを得ないということになるのだ。


それにしたってあの物々しい警報の数々は何だったのサ、と言いたいね。
雷鳴用の充電器持ってねぇ~のかぃ? 散水用のタンク小さすぎるんじゃねぇ~のかぃ?
それとも途中で大盤振る舞いのし過ぎか?

午後からは身近に大きな入道雲が現れてもいたんだけどねぇ……



わが家から北北東の方角に現れた入道雲=16:05


2時間15分後にはここまで崩れ、夕日に輝いていた。芭蕉が奥の細道で詠んだ月山の句があった。「雲の峰幾つ崩れて月の山」。昨日は十六夜の月だったなぁ…


炎天下をテクテク歩いて郵便局まで用を足しにゆき、その足で隣町まで出て散髪して帰る途中に東の空に見えた雲の峰=15:29
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