ようやく晴れ間が広がった午後3時過ぎ、退屈しのぎと気分転換を兼ねて散歩に出る。
近所の池と森の公園内の森の中にたたずみ、しばし鳴き交う鳥のさえずりに耳を傾ける。
といっても、鳴き声の主が分かるのはウグイスとシジュウカラ、そして「東京特許許可局」のホトトギスや「チョットコーイ」のコジュケイくらい。
カラスとスズメとガビチョウも分かるけど…
他の音が耳に入らない環境で鳥の鳴き声に集中していると、実に様々な声音が混じっていることに気付かされる。
もちろん同じ鳥の鳴き声でも一本調子の同じものではなく、抑揚や長短、高低どれをとっても同じものはなく、こいつらきっとコミュニケーションをとってるんだろうなと思いは巡る。
現にシジュウカラが文章を紡ぎ、仲間うちはもちろんのこと、近縁に当たる種類の鳥たちとも会話が通じるという事実を突き止めた研究者の話が新聞に出ていた。
随分前のことになるが、東京駅の地下街にある自然科学系の教材やら図書などを販売している店でバードコールを手に入れた。
木と金属をこすり合わせて鳥の鳴き声に近い音を出す小道具だが、今でも持っていて、一度ベランダで鳴らしたらシジュウカラが近寄ってきて首を傾げたりする様子を見て、あまり惑わせてはいけないなと思ったものだ。
沢山の鳥が鳴き交う森の中で鳴らしたらどうなるんだろう…とふと思ったが、どうなんだろうな。
森を出て運動公園に回ると芝と雑草が入り混じった広い傾斜地に小さな花が咲いているのに気付く
花の直径は1cmにも満たない極小の花である
グーグルレンズで調べてみるとどうやら北アメリカが原産の「シシリンチウム」というニワゼキショウの仲間らしい
名前だけ聞くと、まるで放射能関連物質である
色違いも咲いていて、こちらは紫がやや濃い目に出ている
写真を撮っているうちは気付かなかったのだが、家に帰ってパソコン画面で改めて見直して見たら…
なんと、花の上に脚を8本広げた極細のクモらしき姿が写っている! (黄色い花芯のすぐ上)
「糸くずのような」という表現があるが、糸くずだってもう少し太くてはっきりしているだろうに、このクモ?に至っては糸くずどころかそれよりもっと細くて、肉眼では気付きにくいくらいの生き物である
それが花の上で何か獲物が近づいてくるのを間待ち構えているんだろうと思うと、そんな営みがこの極小の花の上で、しかもヒトの網膜にもはっきり見えないようなか細い生き物が繰り広げているのだという事実に感動してしまいましたよ。すごいや♪
色々な世界があるもんなんだねぇ…