言水は芭蕉と同じ時代に京で活躍した俳諧師。「凩の言水」と呼ばれたほど評判となった句だそうだ。
海といっても琵琶湖のことで、周りの山から吹き下ろす木枯らしが勢い余って湖上に出てしまった様子をどこかで見ているのである。
昨日27日は雲が多いものの暖かな陽気だった。しかし日が暮れた途端、冷たい北寄りの風が吹き始めた。
天気予報が可能性を口にしていたので、てっきり木枯らし1号かと思ったが、ちょっと弱かったのか気象庁は認定しなかった。
その代わり「近畿地方で木枯らし1号が吹いた」と発表された。早くも木枯らしの季節到来である。
いいぞいいぞ、冬に向かってまっしぐら――ということは夏がそれだけ近づくということではないか。
寒いのは嫌だが、通過儀礼ってやつと思えば我慢もできようというものだ。よしよし。
木枯らしとは何ぞや。
気象庁の定義によれば、10月半ばから11月末にかけて西高東低の冬型の気圧配置になった時吹く北寄りの風速8メートル以上の風のことだそうだ。
関東地方に木枯らし1号が吹く平均日は11月11日だという。昨年は11月4日に吹いている。
それにしても夜中に「ひゅーひゅー」と鳴きながら吹く風は寒そうで嫌である。
「西高東低」とか「典型的な冬型の気圧配置」などと聞くと、寒さを想像して思わず身構えてしまう。寒さがこびりついた名詞である。
太平洋岸は晴れの日が多いのがせめてもの慰めだが、雪国出身の人によれば「東京や横浜の寒さは尋常じゃぁない」と口をそろえる。
気温を比べたら氷点下に下がることはまれで、平均気温はずっと高いのだが、それでも「寒く感じる」という。
う~む、やっぱりナ。日が照っていたって寒いものは寒いんだ。「東京は寒いんだ」と胸を張れるかもしれない。
木枯らしや目刺にのこる海の色 芥川龍之介
今でこそ目刺というのは一年中お目にかかれるが、木枯らしが吹くころというのは、新目刺が出るころなんだそうだ。
龍之介が口にしたのも出始めの目刺かもしれない。
カラカラに乾燥して縮んでしまった目刺の表面にうっすらと光る濃い青い色に、ふと気づいたのである。
おそらく、物思いに沈みながら目刺を肴に酒を飲んでいたんだと思う。
目にとまったときはハッとしたんだろうね。
木枯らしやトロトロの柿すくいけり
ブラッシングアイスバーグ。秋バラはちょうど木枯らしの時期に咲くのである。
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