平方録

パリ、大いなる陰謀

昨日19日はボジョレーヌーボーの解禁日だったそうだが、何とわが家ではこの日の朝、今年のヌーボーの空き瓶5本をゴミ収集場所に出してきた。
瓶の収集日だったので出したまでの話で、別に狙って出したわけではない。
とはいえ、瓶専用の収集箱に移し替えながら妻は「あら、これ今年のボージョレー!」と、一瞬手が止まりかけたと言っていた。

ナニ、届いたときが解禁日さ。
ネットで注文しておいたのが1週間前に届いて、営利目的ではもちろんないし、律儀に解禁日を待つ義務もなければ、その気もない。
ことしの出来は案外良くて美味しいものだから、スイスイ水代わりのように飲めてしまうのだ。
フランス国民への連帯の印って理由をつけるのはこちらの勝手だが、フランス産の新酒を注いだグラスを手にニュースを見たりしているのだから、変な図式と言えば変な図式である。

犠牲者には申し訳ないけれど、この事件には一つの妄想があって、それはこの事件が起こることを某国は事前につかんでいたが、それをあえてフランス政府に伝達しなかったのではないかという疑念である。
犯行声明を出しているISの掃討作戦を中心になって展開している某国は、有志国連合と言う名で欧州の国々の協力を得ているが、地上戦闘部隊は送らないまま、空からの爆撃だけで作戦を進めているから手詰まり感があるのではないか。
そこに、有志国連合のフランスがテロ被害の標的になったのである。

「閣下、パリに対するテロ攻撃の有力情報を入手しました。早速フランス政府に伝えましょう」
「いや待て、そのまま黙って見ていたらどうなる?」
「はぁ?。フランス政府はこの情報を得ていないと思われます。大きな被害が出ますよ」
「… …。このままテロが行われたらフランスは大いに怒るだろうな。メンツとしても本格的なIS報復作戦に乗り出してくるんじゃないか」
「…」

こんな会話が交わされたかどうか、もちろん知らない。しかし、ありそうな話ではないか。
現にフランス大統領のオランドはISに対する報復攻撃を口にし、早速空爆を始めた。
国家間の陰謀などと言うものは、めったに表に出ることもないだろうし、日中戦争の引き金となった盧溝橋事件が実は関東軍の仕業だった、という一事をもってしても、どこにどんな形で潜んでいるか、まったく分かったものではない。

第一、1月の新聞社へのテロが起きて以来、パリでは警戒が続いていたというではないか。
街中に多くの警察官を配置したりして警戒していたそうじゃないの。
市民に見える形での警戒を強めていたのであれば、一番大切な情報収集活動だって強化していたはずである。

それがテロを予防できず、多くの犠牲者を出した。すると今度は、結構なスピードで犯人の絞り込みや包囲網が狭まっているような印象を与えている。
余りにも手際がいいようにも思えるのは、見方として、うがちすぎだろうか。
被害の大きさに動顛したフランス政府の下に、某国情報機関からの犯行グループに関する情報が流れ始めたのだろう。

大統領のオランドは、憲法制定時には想定していなかったとして、テロの脅威に迅速に対応するための憲法の一部改正を口にしているし、事件直後に発令した非常事態宣言を3ヶ月間延長する法改正やら警察官や税関職員の増員計画を矢継ぎ早に打ち出している。
こうした場合、日本なら霞が関やら市谷はここぞとばかりに過大な要求を出してくるだろうし、政府にとってはやり放題、したい放題の好機と映るだろう。
日本国民はそれを黙って見ているだけで、嵐が過ぎ去ったあとでも状態はそのまま残るのは必定である。

自ら血を流した末に自由を勝ち取ってきたフランス国民は、一旦はこういう指示に黙って従うだろうけれど、効果がなかったり、行き過ぎたりした場合や、事が済んだ後になってもそういう緊急事態の状態が解消されずに市民生活に影響を及ぼせば、すぐに反応して抗議の声を上げ、政府の転覆にまで持っていけることを知っているのだろう。
それが自由に対する意識が人一倍強いフランス国民の特性のひとつなんだろうと思っている。
何せレジスタンスの国だからなぁ。粘り強いところもあるし。

日本で同じようなことが起こったら…
政権は喜ぶだろうなあ。フランスだてそうしたんだ、って宣伝し、憲法改正はもちろん、軍事国家としての体裁を整えるチャンスとばかり、矢継ぎ早にやってくるぜ。
クワバラクワバラ。



風雲急!
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