空は青く晴れ上がり、富士山や箱根連山は春霞に包まれていた。
ただ、午後になると南の風が強まってきて、相模湾には白波がちらほら立つほどであった。
真横から風を受けているうちは良いのだが、ちょっと自転車の鼻先が南を向くようなところでは風をまともに正面から受けるような感じになって、こぐのに往生するくらいでもあった。
家を出るときに思い切って短パンにはき替えてみた。
今年初めての短パンである。
今までは暖パンにくるまれていた足を直接空気にさらすだけで、万倍の解放感というわけである。
この感触を待ち望んでいた。実に気持ちが良い。
身体全体に春風が行き渡るような、沁み入るような気分である。
上は長袖のTシャツ1枚にウインドブレーカーをはおっただけの軽装である。
まったくの春バージョンである。
夏になればウインドブレーカーは捨て去り、Tシャツを長袖から半袖に替えるだけである。
冬はどこへ行ったのかという感じすらするから現金なものである。
サクラの花も随分と目に付くようになってきた。
春になると家にじっとしているわけにはいかない。
どうしたって太陽のもとへ飛び出したい誘惑にかられる。
街を歩こうとは決して思わない。
あくまで自然に触れていたいのである。それが可能な季節なのである。
サクラを愛でるにしたって、わが家の周囲にはちょっと尾根筋の小道さえたどれば所々に思いがけないヤマザクラの大木にお目にかかれる。
周囲からは見えにくくても、近くに寄ってみれば山全体を覆うかのように、他の木々に交じって咲き誇っている姿は感動的である。
そんな秘密めいた場所や古木たちがいくつも存在する。これまでは、ひとシーズンのうちにそれらの銘木を何本も愛でることは不可能であった。
今年は時間的な余裕をもって迎える初めての春である。
ぜひ、これらの古木、銘木を訪ね歩いてみたい。
山の中でひっそりと咲いている、知らなかった銘木に、これまで以上に出会えるかもしれない。
来週以降がそのピークのはずである。
何とも心騒ぐ時期になってきた。
春風に誘われて自転車をこいで戻る途中、家の近くのノビルがいつも顔を出す土手でノビルを採取して帰った。
ノビルの球根部分を洗って味噌をつけて食べると酒の肴になる。
野趣に富んだ、この時期だけの野性味たっぷりのほろ苦いような、舌にぴりっとした刺激を感じるような味である。
野生のものだから食べ過ぎると腸などが過剰に反応することがあるが、ほどほどならオツである。
ハリルホジッチ監督率いる新生ジャパンのサッカーをTV観戦しながらノビルをかじり、日本酒を流し込む。
若手中心の前半にも得点チャンスがあって、決めていれば随分とアピールになっただろうに、無得点だったのは何とも惜しい。
何かを“持っている”奴が飛び出てくることを期待したが、そういう新星の登場にはまだ時間がかかるということか。
後半残り30分辺りから出てきた真打の香川、本田、岡崎あたりはさすがである。
特にW杯で不調だった香川に切れが戻ってきたのが心強い。
ハリルホジッチというオシム元監督と同じボスニアヘルツェゴビナ出身の監督は規律と管理を重視するという。
日本人にはそういう監督が向いているのではないか。
ちょっと期待が膨らむ。監督にも代表選手たちにも。
腰のあたりに春霞を纏う山々
野趣に富んだノビルに味噌をつけて酒の友にする
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