平方録

蕪村のかくれんぼ

甲賀衆のしのびの賭や夜半の月

とか

鳥羽殿へ五六騎いそぐ野分哉

春の海終日(ひねもす)のたりのたり哉

菜の花や月は東に日は西に

五月雨や大河を前に家二軒

で知られる江戸中期の俳人・与謝蕪村の未発見の句が、何と212句もいっぺんに発見されたんだそうだ。

天理大付属天理図書館が4年前に古書店から購入した「夜半亭蕪村句集」という句集の中から見つかったという。
夜半亭と言うのは蕪村の俳号のひとつで、見つかった句集は蕪村存命中に門人がまとめたものだそうだ。
句集の存在は知られていたが、長らく所在不明になっていたという。
突如としてダイヤモンド鉱脈が発見されたようなものである。

蕪村の句は写実的で、しかも絵画的なところが好きである。
句を見ると、その情景がちゃんと絵になっている。しかも、ハッと驚くような印象的な画面が浮かぶんである。
これは稀有のもので、ここまで見事に絵画的な句をものす俳人はほかにはいない。
しかも、そこにはちゃんとユーモアが添えられているんだよね。真似たくても、なかなか真似できないのだ。ま、天才だからね。

聞きかじりだが、正岡子規や高浜虚子、河東碧梧桐、歌人の与謝野晶子、詩人の萩原朔太郎らに大きな影響を与えたんだそうだ。
子規亡き後、虚子が俳句はと問われて「写実だ」「写実を第一とすべし」と口にしているのは、蕪村を手本にしているからに違いない。
それでも蕪村の句を見るとたちどころに絵が浮んだり、そこはかとない諧謔味をまとった味付けは、飛び抜けて群を抜いているのだ。

このニュースを伝える新聞に紹介されていたのは212句中3つだけ。

蜻吟(かげろう)や眼鏡をかけて飛歩行(とびあるき)   「吟」は「蛉」の間違いらしい

我焼きし野に驚や屮(くさ)の花

傘(からかさ)も化(ばけ)て目のある月夜哉

う~む、いいじゃないの。
他の209句を早く知りたい。拝んでみたい。
われわれ後世の人間をびっくりさせようとして隠れていたところなんぞも、ユーモアというか茶目っ気の表れなんだろうな。面目躍如じゃないの。

今月19日から11月8日まで、天理図書館で句集が公開されるらしいけれど、天理まで行けば奈良を巡ってきたくなるしなぁ。
100キロ少々の距離だったら自転車でヒョイと行って、1泊すれば余裕で戻ってこれるんだけど…




わが家のクサボタン。花が終わり、種が出来つつある。上写真で産毛のようなものが出始めているのが分かるが、しばらくするとこの毛で全体が覆われる。自然の作り出す造形と言うのは想像を超えている。
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