ではそんなありきたりの物がなぜ大人かといえば・・・自分の金で食うようになったから。ウナギの蒲焼は子供の頃から食べてはいたが、好きなのはタレのかかったご飯であった。肝心のウナギは皮を残し身だけを食べる始末。シラスウナギをオリーブ油煮にするスペイン人と変わらんぐらいにアホな食べ方をしていた。
蒲焼に馴染むのは早かった。浜松から異動になった時に記念に食べたらウソのように美味しかった。皮の脂がたまらん(笑)。ちょっとだけ地元にケンカを売るが、浜松は海に近いと言うのに魚が美味くなかった。文句を垂れたら『魚屋で買うからだに』 美味い魚が食いたかったら自分で捕れというのだ。こんなトコだがさすがに鰻は美味いと思った。
カキフライのデビューはもっと遅い。子供の頃から食わされていたのに、なかなか好きになれなかったのがいけなかった。酒を飲むようになってからはもっぱら生牡蠣で、揚げるなんてもったいないことはした事がなかったのだが、10数年前に吉祥寺の扇というトンカツ屋で食ってからは病み付きとなった。
『ウチのカキフライは生食用のカキで作るんだ』と言いながら、親父がそれを大好物の酢牡蠣にして出してくれた。その勢いでカキフライを頼んだら・・・すっごく美味かった。扇のタルタルソースは絶品だったが、カキフライには昆布を漬け込んだウスターソースが出てくる。この組み合わせが気に入り、シーズン中は必ずカキフライとの組み合わせがメニューとなった。(・・・単品で食えば低カロリーだったのに)
最後の塩鯖デビューは遅かった、なんと21世紀になってから(笑)。神保町に“はせ川”というランチ専門店があった。昼だけの営業で焼き魚定食をやっていた。ビル名も同じだった覚えがあるので恐らく自社ビルだったんだろう。そうでなければ昼の3時間だけで経営が成り立つとは思えない。
最初は300円の鮪中オチでビールをやりつつ、最後を鮭カマ定食で締めていたのだが、あるとき、周りが美味そうに食っていた鯖塩焼きを試した。うーん、今までの生き方間違っていたかも(笑)。その時はさっぱりとした尻尾を選んだのだが脂が乗っていて実に美味かった。
この次は脂が滴る腹身と思ったまま無沙汰をしてしまった。というのも、この“はせ川” 2010年に店を閉めてしまったのだ。扇も同様で、唯一残った鰻屋(あえて屋号は書かない)はイキナリ値段を倍近く値上げした為、今や絶交状態にある。大人の味は難しいのだ。
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