類人エン(さすらいの詩~砂一詩集)

旅の終わりにこそ続けて流離う。
遠回りの道。
迷うな!それが真の勇気。
無限の嘆きは感謝。
神への祈りだ。

原色の街から その一

2017-03-05 20:22:18 | Weblog
原色の街から  (2012年03月04日11:29 )
その一

中国のジャングルに深入りし過ぎた。
失意だけが信介を襲う。
何処を見渡しても無限の砂漠地帯が広がるばかりだ。
溜息すら出なくなっている。
つまり、極限状態に立っているからだ。
追いこまれ、突き放され、無視され、友と共にすする祖国の水が断絶してしまった。

海辺を思い出し、砂に埋まっている小さな貝がらを探している・・・。
また、ここへ訪れる日が来るの?
さざ波の音は生きてることを、希望を、勇気をくれる。
そっと、耳を傾けてみる。
きっとまた、ここへやって来る日があると思う。
海の潮を肌に受け、波の音を耳に感じ、魚の匂いが漂うそんな風景に立ちつくす自分を眺める。

だがしかし、信介がいる大陸にあるのはただ残酷な馬の蹄の音と金属音だ。
そして、砂煙・砂塵が舞う。
でもどうしても帰らなければならない。来た道を戻ればいいのだ。道標もなくていいのだ。魂の故郷へと本能が道案内する。
荷があろうが無かろうが命辛々でいいのだ。

一匹のサンマに感動するように郷里が、祖国が信介を呼び続ける。