類人エン(さすらいの詩~砂一詩集)

旅の終わりにこそ続けて流離う。
遠回りの道。
迷うな!それが真の勇気。
無限の嘆きは感謝。
神への祈りだ。

原色の街から その二

2017-03-06 07:46:13 | Weblog
その二

住めば都と言う。だがここは住めば地獄である。同質の価値の共有がないから別世界へ降り立った感覚である。自然風景・雰囲気風情・人の顔・人の様子・行動様式・食品と食事すら異なる。
猿の惑星と言うのがあったがそのような別の宇宙が存在する。特に日本からはあまりにも遠過ぎた環境と言わざるを得ない。
ただし、一面を見れば到底受け入れがたいがそれが視覚をヨーロッパ大陸からユーラシア大陸全域に東へとずらして行けばその広がりの中でこの大陸文化・文明を再考すれば妙に納得がいく。環境の異なりは容易に受容できるから不思議である。
信介のように日本主義で凝り固まり、日本文明至上主義者となっているからにはそれは到底理解できない。
島文化特有の自然感覚と情操と思考の構築は大きな太陽と太平洋の潮から形成されているからだ。
しかも独立した独自の神を崇める環境で育った。
まして、信介はこの大陸にやってきて時の流れを幾夜も繰り返し、半生を送ったところだからこれ以上の理解はない。評論家のように評論している訳ではないのだ。
そして、頭を過ぎる。人は死の直前に三度、寝がえりを打つのだと・・・。
死を選ぶためにこの大きな大陸へやってきたのではない。寧ろ、生を選択したからこのように大陸と真正面から相撲を取っているのだ。
そうなのだ、生きる為に信介は自問自答し、苦悩し、戦い、繰り返し一つの挑戦をしているのだ。
だから今、信介の存在が実体として姿を現しているのだ。
そう、生きるためにだ。
そして、遠くの平原の彼方に目をやり、その目を細め、その目が茫然と風呂敷を広げたかのように焦点も拡散する。

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