兵庫県立はりま姫路総合医療センター循環器内科のBlog

2010年11月1日から当科の活動を公表しています。はり姫が2022年5月に開院してから2年を迎えました。

ACLS 2010 ガイドライン

2010-12-14 | ACLS
今年の11月にCoSTR(心肺蘇生と救急心血管治療のための科学と
治療の推奨に関わる国際コンセンサス)が公表されました。

それをもとに各国でのガイドラインが公開されているわけですが、
おなじみのAHA 2010はその米国版です(日本では日本蘇生協議会)

大筋は2005を継承していますが、変更点は

BLSはCABへ変更 

反応なし、喘ぎ呼吸→救急システムコール→
息(-)→胸骨圧迫→気道確保、呼吸(-)→30:2サイクル
胸骨圧迫 100回以上/分かつ深さは5㎝ 
(というわけで、これをまともに実行しようとすると、交代の
人手確保は必須!)

乳児にもAED使用可能 推奨は手動式除細動器で4-8J/Kg→
なければ小児用パッド付きのAED→なければ大人用AED
(ただし日本では薬事法で原則使用は無理)

ACLSでは 

A,B: 気管チューブモニタリング
適切な位置、CPRの質の判断でカプノグラフィ
(PETCO2>40mmHgをキープできる→ROSC)
C: 動脈ラインでの圧管理(>20mmHg目標)
D:Vfと脈なしVTへの除細動は二相層性除細動器では
150-200Jを行う。 乳児を含む小児へもAEDを使用
電気ショックまでに>3分要するなら院内AED使用を推奨 

アトロピンはPEA,心静止にルーチン使用しない
(有効というエビデンスはないが、悪いというエビデンスもない)
不安定な徐脈(症候性徐脈)へのアトロピン。
無効な場合、ペーシング治療とノルアドレナリン、
ドパミン点滴は同等(Iia)

鑑別できていない安定した幅の広い規則性頻脈ヘの
アデノシン(VT鑑別のためにも)は推奨される
(ただしVF誘発の恐れがあるので不規則な幅広い頻脈には禁)。

ACS→O2,nitate,IV,morphin

CHF,呼吸不全、低酸素血症にはO2投与
SpO2>94%では呼吸不全なし→酸素投与は不要
モルヒネは硝酸薬に反応しない胸痛のSTEMIへ適応
そして心肺停止の原因としてACSを考慮し、蘇生後には
PCIの可能性を考慮する

蘇生後の管理:低体温療法、包括的加療で多臓器ケア
(脳神経、心肺機能)とモニター活用

過剰な酸素投与はしない:酸素飽和度モニター活用
(sPO2 >94%(理想は99%まで:PaO2 80-500torr)

心肺停止後痙攣は早期に見られるので、脳波モニターを行い
早期より介入こん睡状態時には連続モニター

脳卒中ケアユニットはtPAと同等に有効な加療

というわけで、ますます低体温療法の重要性や神経内科、
脳外科との連携が重要になります。
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