思いつきで書いた物語と実話のMIX

フィクションとノンフィクション。目線を変えると景色も変わる

言葉にできない8

2019-08-25 20:57:00 | 日記

学校から帰るとまず最初に洗濯機を回す


その間に干してあったものを取り込み畳む


それが終わると晩御飯を食べ

食べ終わると洗い終わった洗濯物を干す


これがここ最近の定番だ


あれから父は更に家を開けることが増え


次の日のご飯代と少しのおこずかいだったものも

2日分、3日分と増え

しばらく帰ってきてない様子が伺えた

着替えを取りに帰った形跡もない



ある日の晩


ご飯を食べていると父が帰ってきた


久しぶりに2人で夕飯を食べに出かけた

食べながら父は言いにくそうにこう言った

「母親も姉弟もいない。仕事で家を開けることも少なくない。本当に申し訳ない。


「大丈夫だよ。別に…




「…。



「あって欲しい人が居るんだ…。



「…。


「前からの知り合いがこの環境を知って、うちで母親代わりができないかと言ってきてくれてる。
もちろん再婚や同棲の話じゃなく、家事だけしたら帰ると言ってる。勉強もしないといけない学生には少し負担がかかってないかと心配してくれてる。年はワシの6つ下だ。


内心
「お母さんというよりは少し離れたお姉さんくらいの年だ…


悪い話ではないと思った。


早く帰らないといけないわけでもなく、


遊んでから帰ってきても家事が終わってる。


別に顔を合わさないといけないわけでもない。



しばらく考えて、こう言った


「私のことよりもお父さん。お父さんがその気があるなら私は再婚しても同棲しても構わないよ。文句を言うつもりもない。2人で決めたらいいと思う。


「そうか…



そう言うと父は話を学校の話にうつし

ピアスで停学になりかけた話を聞いて高らかに笑った


「お前はやっぱり俺の子なんだな。俺とよく似た問題児になりそうだ。


怒るわけでもなく、笑いながら自分と似ていることが嬉しいかのように終始笑いながら夕食を終えた。




次の日



学校へ行くと


授業中勝手に席を代わって私の隣に来るはずの友達が授業をサボった

次の日も


その次の日も


私は違和感を覚え


彼女にメールした。


「私のこと避けてる?


メールは帰って来ないままその日が終わった


次の日彼女は教室にいた

でも授業開始のチャイムが鳴ると同時にサボりに出かけ

また私の席の隣には来なかった


私は何の自覚もないまま

彼女が何故自分を避けるのか悩んだ


そうして


彼女とはだんだん口も聞かなくなっていった


帰り際


廊下ですれ違う彼女と

私は目を合わせることも出来なくなった




彼女の視線だけを感じながら


横を通り過ぎた



遠くから


「無視すんなよ!


彼女の声が聞こえたが


私はうつむいたままその場を足早に立ち去った




しばらくして彼女は学校を辞めた


入学してから1番仲の良かった友達だと思っていたのに

わたしには何もつけずに学校から去っていった


共通の友達の話では


「大阪に行って美容師になる

って言ってたらしい



オシャレが大好きで、流行もすぐ取り入れる彼女だ

天職に違いない


私は学校帰りの神社で彼女のこの先を願った



この神社も彼女がサボりに使っていた神社だ


彼女の影を探しても何も見つからなかった



階段を降りると

下には後ろの席の奴がいた


「ちょっと面貸せよ


そう言うと彼は私は腕を引っ張り

神社の本殿の後ろの木の柵を私に見せた




「私の最高の友達。


一緒にピアスをつけに行った大好きな友達。


何で急に避けるの?


私が嫌いなの?


でも私にとってアンタはいつまでも友達。


ずっと友達。


離れても友達。



有名な美容師になって、いつか髪、かまってあげるから。



だからいつまでも元気でいてね。







「アイツ授業とかサボるじゃん。



あんま自分と一緒にいると、お前まで一緒な目で見られるからって、わざとサボりがちな時にはお前に近づかないようにしてたんだよ。



遠藤だっけ?


また目つけられるじゃん?






私は言葉も出ないまま泣いた。



「貸してやろうか?




私は彼の胸にすがり、大声で泣いた。




携帯に登録された彼女の電話はもう使われておらず


親に頼りたくないと言う彼女の思いから


両親にすら住所も教えてなかった


大阪で美容師を目指している





彼女を追いかけるには



情報が少なすぎた





私は



声もなく泣いた



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