ケイスケが帰宅しないと告げられた私は共通の友人たちに連絡をとり
自らは帰宅経路をたどってみたり
探し回った
あの後ケイスケの母から告げられたのはケイスケに持病があったこと
突然の発症に至れば、その場にうずくまり、周りに誰もいなければ助けを呼ぶこともできない
彼の病名…
「クローン病」
遺伝的因子やウイルスなどの免疫抗体などが複雑に作用し発熱などを引き起こす病気らしい
治療法は栄養状態を維持し、発症に至らないよう予防する程度のことで
はっきりとした原因も
完治までの治療法も
今の医学では解明されていなかった
私はケイスケの母からそう告げられ
言葉を失った
望んで無い事ばかりが頭をよぎる
何も考えられないほど私は混乱していた
ただひたすら走り回って彼の痕跡を探した
でも私は何も見つけられなかった
そして
私は感じたことのない衝撃と同時に意識を失った
気がつくと私は病室のベットに横たわっていた
頭や腕には包帯が巻かれ
左手には点滴がされている
ここがどこで
今がいつなのかも分からなかった
私は焦りと混乱のあまり
赤信号の交差点を渡ったそうだ
左折する乗用車にはねられ
そのまま救急車で運ばれたようで
隣には母のカバンが置いてあった
幸い脳には異常もなく
無事な経過のようだ
来週には退院出来ると母から告げられた
「…ケイスケ…
「ケイスケは!?
落ち着いて母が答えた
「ケイスケくんは今、お父さんのところにいるわ
「お父さんのとこってどこ?無事なの?
「ケイスケくんは今、プラハにいるわ
「プラハってどこ?
「チェコよ
「外国?何で?
「ケイスケくんのお母さんから預かってる
「これを読みなさい
「ケイスケくんからよ
渡された手紙を受け取った
「…………。
突然目の前から姿を消してごめん。
俺は父のところにいって自分のやりたかったことと向き合ってくる。
何の相談もなしに、なんの報告もなしに出かけたのは、アンタが必ず嫌がると思ったから。
嫌がるアンタを置いて行けるはずもない。
自分の覚悟が鈍るのも分かってた。
あえて何も告げずに出かけたのはそのせいです。
怒ってくれていいです。
忘れてくれてもいいです。
勝手な俺を許してくれなくてもいいです。
いつ帰るのかも決めてません。
勝手な事ばかりごめん。
ケイスケ。
私はケイスケのことが大好きだった
でも私は
ケイスケのこと
何も知らなかった
お父さんのことも
ケイスケの夢も
何も知らなかった
でも
不思議と涙は出なかった
これで終わりだと
ネガティブな私はもう居なかった
私はケイスケに負けないように
夢を見つけて
その夢に向かっていこうと思った
翌週
私は退院した
そして私は学校を辞めた
第1章
完結
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