思いつきで書いた物語と実話のMIX

フィクションとノンフィクション。目線を変えると景色も変わる

言葉にできない13

2019-08-27 12:00:00 | 日記

今日はケイスケとデートだ


プランはケイスケにお任せで


私は言われた場所に言われた時間に向かうだけだ


おめかしをして出かけよう


ワンピースが良いかな


お気に入りのデニムはこうかな


ミニスカートで色っぽくいこうかな


どんな格好が好みかな


髪型はどうしよう


万人ウケのポニーテールかな


幼い感じでツインテールかな


お団子ヘアも気に入ってくれるかな



あぁ…早く会いたいな


募る気持ちを抑えながら


早々と準備したら


まだ待ち合わせまで1時間もある


お昼はどうしようかな


お弁当で家庭的なアピールしようかな


サンドイッチとオニギリとどっちが好きかな


おかずは何が好きかな


唐揚げかな




いろんなことを考えてたらあっという間に時間が過ぎる


何度も着替え直して部屋は脱ぎっぱなしの服でいっぱいだ



待ち合わせは10時に駅のホームだ


駅5つ分のケイスケとの距離は


地球の真反対ぐらい遠く感じる


もっと近くに住みたい


むしろ早く一緒に暮らしたい



妄想と現実の狭間で顔を赤らめながら


周りをキョロキョロ


ケイスケを探してしまう








向こうから


ケイスケらしき姿が見えた


いつもの制服と違って大人びて見える



「待った?



「ううん…今来た


「そっか…その服…可愛いね


「ありがと



「髪型もいつもと違うし…良いじゃん



「そぉ?ありがと



嬉しかった


すごく嬉しかった




「じゃあ行こっか


「うん



ケイスケは私の右手をしっかりと握って


いつものように右側を歩く





ただの何気ないこの時


ただ一緒に並んで歩いてるこの瞬間



それだけで私はケイスケで満たされている



両親やら何やらで


愛なんてないと思ってた



愛って買えるの?


だとしたら愛っていくらなの?


夢ってなあに?


夢って食べれるの?


思春期の私が歪むには充分なほどの出来事ばかりで


ねじれ曲がった私というものは


存在さえも曖昧な気がしてた


でもケイスケは


そんな私を大切にしてくれている


曖昧な私の輪郭を色濃くはっきりと縁取り


左右からの糸はしっかりと結ばれ


綺麗なちょうちょ結びになった




私とケイスケは赤い糸で結ばれていると思った


だけど



初めから結ばれているんじゃなくて



2人で解けないようにしっかりと結ぶもので



そこにこれからする喧嘩やすれ違いで流した涙が


染み込めば染み込むほど


かたく


きつく


結ばれていくんだと思った




ケイスケは私の好きそうな雑貨屋さんや服屋さんをめぐり


私の好きな出雲神話に触れられるようなところに行き


また


ランチは私の好きなパスタ屋さんに連れて行ってくれた



ケイスケは私の話の中身から


好みや趣味を探し出し


そこにピタッと当てはまるようなプランで私を楽しませてくれた



夕方


まだ明るい


明るいうちに帰ろうとケイスケは私の手を引いて帰路につこうとした


私はそれを引き止め



校区外に連れ出した


私とケイスケを知るものは居ない


私はケイスケとホテル街に入り



私はケイスケと1つになった


ケイスケは私を優しく抱いてくれた


お互いがお互いを確かめ合うように






経ち続ける時間も忘れて


何度も


何度も




私はケイスケでいっぱいになった



お互いの胸元にキスマークをつけてはふざけ合い



一緒に湯船にも浸かった






ケイスケは私を家まで送り届けると



母に深々とお辞儀をし



笑顔で手を振りながら外へと出て行った




母も門限を過ぎた娘の説教よりも


なんて良い子が彼氏なんだと許してくれた












朝起きると家の電話が鳴っていた



まだ7時半だ


「誰だろう…



「ちょっと出てよ!



「もしもし…




「ケイスケと一緒じゃない?


電話の向こうはおそらくケイスケのお母さんだ


「違います。ケイスケなら昨日私を送ってすぐ帰りました。



「ケイスケがまだ帰ってきてないの。












私はケイスケの行きそうな場所も思いつかないまま


ただ受話器を握っていた





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