さて、予告のカナリア諸島の話に戻り、いよいよ滞在先のテネリフェ島を出立の時が近づきまごまごしていられない。星の話となると滅法詳しい天文台のスタッフも、鳥の事となるとさっぱり答えにならない。らちの明かない上は、いざ頼りとなるのはやはり自分の足。朝食前に宿の周囲を探索することに。果たして原種とはどのような鳥か。せめて渡航前にお馴染みの飼養種だけでもペットショップで姿や鳴き声をよく観察すべきだったのが、今となってはあとの祭り。しばらく歩いていると早朝の犬の散歩によく出会い、ホーラ、ホーラと現地の言葉で挨拶を交わしながらも目線は常に草木の周囲で動くものに注がれる。その道端の樹木になにかアオジというかマヒワのような小鳥(写真)が小群で移動中。枝に留まったと思えば、あっという間に遠くに飛び去る。ようやくフェンスの上に留まってくれて、軽やかな澄んだ声で鳴いた。これがまさしくあのカナリアか。