Takekida's log

千里の道も一歩から

大人を愉しむ

2008-11-15 12:36:04 | Training
曇りかと思ったら雨でRUN練に変更。最近走っていると道を聞かれることが多い。
車中心の町で歩いている人も少ないというのもあるかもしれないですがまだ引っ越して半年ぐらいなんですが。明らかに挙動が怪しい人には道は聞かないと思うので最低限はクリアしているということか?

大人は愉しい (ちくま文庫 (う29-1))
内田 樹,鈴木 晶
筑摩書房

このアイテムの詳細を見る


フランス現代思想が専門でありながら武道家である内田樹さんと精神分析論が専門の鈴木晶さんのメール交換日記。おじさん同士の交換日記というと感触ではあまり気持ちの良いものでは無さそうですが師弟関係、ネット、映画、教育など重いテーマを絶妙な切り口でバッサリ。討論を本に、というのは良くありますがメールのやり取りを本にというのは新鮮です。二人とも主張そのものは近く、意見が合っているからこその付き合いだと思うのですが相違のあるところに関してはきちんと意見を戦わせているのも好感持てます。

◆Web日記の意義について
 通常の自分とヴァーチャルなキャラクターとしての自分に加えて読者の視点としての自分という視点があるところが通常の日記とは異なるところ。読者という媒介を通じて自分の中ににわだかまっている人格を昇華させ、上のレベルで再結合させるという効果(日常の劇化)も期待できる。

Blogの意義は自分の生活を記録に残して見直すだけでなく読者の目が励みになるというのは共感します。自分でしか見ないならそんなにモチベーションは上がらないことでしょう。

◆他者論
日本では集団に個人が埋もれていることが多く「個人」が成立していないからこそ「他者」の問題が確立しない。一方的に絶対的正義というものも存在しないことは明らかでどこで折り合いをつけていくのかが勘どころ。
他者の痛みが分からないから他者を痛めつけるのではない、他者の痛みを想像した時にどう受け止めて対処するか。常識的に言えば他者の嫌がることはしないはずだが…

主体的に考えるのでなく一歩下がった視点でも見ることが出来るかが一つのポイント。

◆女性原理と男性原理
 日本では母性原理が主体担ってきたのではないか。父は俗なるもの、母は聖なるものという存在で母の承認により存在証明を得てきたような節がある。今の家庭不全の原因には父親の権力がなくなったのではなく(そんなものははじめから無かった)世俗性、功利性を見下す包容力が母になくなってしまったことが原因ではないか?
母親が自分の子供を他者の子供と区別し無条件で承認することによりアイデンティティを確立し社会化していく。近年では条件つきの承認をするようになって子供が逆にストレスにさらさるようになった。承認だけでなく社会化=最後の一押しをさ
せることも出来ないことも一つの問題。

父親絶対というのが理想化と思っていただけにやや意外でした。甘やかしと承認をどう区別できるのかが問題かと思います。

◆家族と教育
 日本では母親を頂点とした3角構造になっているように見える。親離れ以上にに子離れが出来ていないのは親が世界への関心が低くなり子供にしがみついているから? 

学ぶということはコミュニケートするということでありそこには決まった型(師弟関係)が存在している。教える側に示す尊敬と教えていただくという慎み深さが必要になる。
たとえ敬意が無くとも自分の内面をあえて無視して始まるコミュニケーションにより外部になるものを体得できる。
師から学ぶものは俯瞰的視座。

師弟関係は自分からも望まないと結べないもの教わるというのはその人の考え方も含めて体得するものかと思います。

◆本当の私の自己表現
本当の私、根はいい人とかいうのは都合のいい解釈である。仮面そのものが自己の真正性であるはずだがそこには多少の疑いがあっても良いのでは。

本当の自分というのは単なる言い訳。別の考えがあっても我慢している(我慢できる)の自分の姿だと思います。

◆インターネットと大学教育
 インターネットは教育現場の代替を完全に果たすことは難しい。
 インターネットで得られるのはランダムアクセスの知であり、教育現場で学ぶのはシーケンシャルな(連続的な)知である。両者の違いは時間的な流れが歩かないかということであり自己に根ざした知識を身につけたり読み方がテクストに合わせて変化していくというような変化はランダムアクセスの世界では起こり難い。小説と百科事典の関係。ランダムアクセスに対しては万人に平等になったがシーケンシャルの技法に関しては先人に優位性があり大学でこれから重要視すべきこと。

もちろんどちらとも大事というのは変わらなくて現場ではそれぞれの特色を分かった上で学べるような仕組みが作れればよいと思います。
Comment    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 熊野古道ツアー Vol. 1 | TOP | 運も実力のうち?‐Fooled by... »
最新の画像もっと見る

post a comment

Recent Entries | Training