反省させると犯罪者になります 岡本 茂樹 (著)
衝撃的なタイトルですが筆者の犯罪者の更生の経験から得られた体験をエッセンスとしてまとめた本です。ただこれは犯罪者という特殊と思われるようなケースだけでなく通常の子育てにもつながる視点でも書かれており、非常に参考になる内容でした。
簡単に言ってしまえば日本の犯罪者の更生で重要視されているのはいかに罪を「反省」したかという表面的なものにとらわれていて本来の更生の観点からは犯罪を起こした背景にある抑圧された感情を解き放たない限りは本当の意味の更生は達成できないということです。この背景までさかのぼるというのはつまりは自身の心の闇の部分に立ち返り「内省」するという作業になります。
犯罪者となってしまう背景のほとんどのパターンは幼少期を中心に自身が抑圧されてきたという背景があるようです。つまりは家庭環境が悪く全く話を聞いてもらえなかったり、暴力を振るわれていたり、家庭内が不和だったりということですがたとえ物質的には裕福であってもしつけが厳しすぎてすべてが親の祐成になっていたりといった非常にお行儀よく育てられたようなケースも当てはまります。子供に対する愛情がなかったりというのは当然ですが在ったとしても子供をすべて親の言うなりにしようと過干渉になってしまうケースもあるようです。
ここらへんから犯罪者になるかどうかというのは個人差はあるようですが抑圧された感情というのはどこかで爆発し、犯罪までいかないにしても非行といった形で現れることがあります。また本来親との間に気付くべきだった心地の良い場所を違う場所で求めてしまうことにつながってしまうわけです。であるからこそ犯罪者の更生には自身を抑圧されていたものまで立ち返って自分が好きになれないその感情を解き放つことことから初めるべきだというのが筆者の経験からの主張です。しかしながら現在の教育は犯罪者の更生だけにとどまらずいじめ教育でもまず被害者の感情になってみましょうといったロールプレイが行われています。むしろ必要なのは加害者が加害者になってしまった背景なのではないかというのが言えそうなところです。ただ一般的にはどうしても表面的な「反省」を求めてしまうのが常ですが背景にさかのぼることの重要さがわかります。
さて子育ての観点からいえば子供の感情は頭ごなしに否定するのでなくまず受け止めてやる努力は必要なのだと思います。(自分ができている自信がないのですが努力はしたい・・・)生きる力、人間力としてのレジリエンスresilience =ストレスに対する弾力性が注目されていますがその根幹にあるのも自身の存在が肯定的に感じられるか?つまりは愛情を受けて育ってきたかというところにかかっているわけで… ということで教訓という意味でも非常に参考になる本でした。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます