この頃思うこと

私も時流に遅れまいとブログを書くことにしました。

アンテナチュナー その3

2018-12-08 17:31:20 | 無線

VK3YE(Peter Parker) OM が以前http://home.alphalink.com.au/~parkerp/gateway/nojun98.htm で紹介していた万能エンドフェド・ワイヤーアンテナのカプラーを作成した。紹介ブログでは運用しようとする最低周波数でワイヤーの長さを決め、端部給電アンテナ(End-Fed antenna)として利用することでマルチバンドにも使用が可能です。VK3YEが紹介していたカプラーをまねて作ってみたのでアンテナと使用するカプラーについて紹介します。 この内容はVK3YEのブログを部分的に翻訳して使用しています。また、彼の著作Hand-carried QRP antennas、p94、にも開設がありました。

 

長さの設定

上述のように、端部給電アンテナ(End-Fed antenna)に使用するアンテナ線の実際の長さはさほど重要ではありません。 ただし、マルチバンド機能が必要な場合は、長さの中には使いやすい長さもあります。また、非常に短いアンテナ(動作周波数の4分の1波長よりもかなり短い場合)では非効率的であり、受信はできても良好に信号を出力することは困難です。

1/4波長の長さ(すなわち、80m帯域での20m長さ)が一般的に示唆されています。このようなアンテナは機能できますが、最高の性能を得るには大規模な接地システムまたはカウンターポーズが必要です。これらの接地システムは、この極端に単純なアンテナタイプにしては設置したり片付けるのにかなりの時間と労力を要することになります。

 

代わりの方法としては、使用したい周波数の最も低い動作周波数で約1/2波長の長さのアンテナ線を使用することです。 その場合、大規模な接地システムはそれほど重要ではありません。確かに接地をまったく取らなくても良い結果を得ることがあります。しかし、他の理由(後で説明します)のためには、ある種の接地がおすすめです。

 

ここに紹介したアンテナは、40メートルの長さ、または3.5MHzの半波長です。前に述べたように、ここでは大掛かりな接地は必要ではありません。半波長のワイヤは、動作周波数(およびその倍数)において非常に高いインピーダンスになるので、トランシーバーとアンテナとの間に何らかの形態の結合ユニットが必要です。その機能は、トランシーバーの50Ω出力インピーダンスをアンテナの高い給電インピーダンスに効率的に変換することです。 ワイヤアンテナのインピーダンスが高いか低いかは、接地システムの必要性だけでなく必要となる結合ユニットのタイプにも影響するため重要です。

 

では、80m帯域以外でのこのアンテナのインピーダンスはどうなるでしょうか?

半波長の倍数であるワイヤが、給電点で高インピーダンスを示すことはすでに知られています。 40メートルのワイヤであれば、21MHz(15m)ではおよそ半波長の6倍で、 28MHz(10m)では半波長の8倍です。 同様に、このワイヤは、40と20mバンドのような他のHF帯域でも半波長の整数倍になります。これは、アンテナが常に50Ωよりも高い給電点インピーダンスを持ち、適切に機能するために大掛かりな接地システムを必要としないことを意味します。これらの理由から、3.5〜28MHzのHF帯用の端部給電線アンテナの場合、約40メートルが良好な長さであるといえます。

 

主に7MHzとそれ以上のバンドに興味がある場合は、約20mのアンテナワイヤ(すなわち、40mの半波長)をお勧めします。 長さが短い方が移動運用時の持ち運びには軽く、絡みつきにくく、軽量の8-10mのグラスファーバー釣竿でより簡単に展開できます。正確に20mである必要はありません。 18または22メートルでも同様に動作しますが、極端に高いインピーダンスを避けてマッチングさせる方が簡単です。

20または15mバンドのようなより高い周波数帯のためには、およそ9 – 10mのエレメントで十分作動するでしょう。 この時の利点は、ワイヤを9m長さの竿に垂直に添わせることができることです。特に、桟橋からの運用のような水上での場合、長距離DX交信に適した低放射角が得られるはずです。 もう一つのメリットは、エレメントをどこにも結びつける必要がないため、無線局の占有スペースが小さくなるためです(特に郊外にある桟橋などの夏の午後のようににぎわっているときに有効です)。

利点と限界

片側に給電されているため、敷地の境界の近くに住んでいる人々でも、中心に給電されている半波ダイポールと比べアンテナを設置するのが容易になります。このアンテナのこのほかの利点は、別個の給電線が必要とされないことです。これは、同軸ケーブルが非常にかさばる可能性があるため、携帯用として特に魅力的です。

 

このタイプのアンテナの欠点の1つ目は、動作させるためにマッチングユニットが必要であることです。 バンドを変更するたびに、これを調整して送信機とアンテナ間のインピーダンスを最適にする必要があります。このタイプのアンテナの別のリスクは、シャック内までRF(高周波)を引き込むことです。 それにもかかわらず、これらの2つの問題は克服できないものではなく、エンドフィードワイヤは、最も費用対効果の高いマルチバンドアンテナの1つです。

 

アンテナの立て方

アンテナはできるだけ高くする必要があります。できるだけ多くのワイヤ部分を水平に走らせてください。しかし、これが不可能だからといって、絶望しないでください。アンテナはまだ動作します。アンテナは、特に低い周波数帯では指向性があまりありませんので、向きはそれほど重要ではありません。

使用されるワイヤの種類も重要ではありません。ミディアムゲージの撚り絶縁電線でもアンテナは良好な結果でした。通常の卵型碍子を使用してワイヤを吊り下げることができます。これらは新しいものを購入する代わりに、絶縁体は短い長さのプラスチックのVP管で作ることができます。 木、煙突、または特別に作られたマストのいずれかを使用してワイヤを支えることができます。

無線室が2階または3階にないかぎり、通常はこのようなサポートが2つ必要です。 多くの場合、第2のサポートは裏庭の木になります。 アンテナを取り付けるためにこれを登る必要はありません。 小さな鉛製の重りで便利な枝の上に釣り糸を投げることでできます。次に、おもりは取り除かれ、線はアンテナの絶縁体に繋ぎます。アンテナ線の弛みを観察しながら、釣り糸をしっかりと引っ張ります。 それから少し解放し、適当な位置でそれを固定してください。

風の中で支持どうしの動きを可能にするために、アンテナワイヤーにいくらかの撓みを持たせてください。 アンテナを電力線や公共の場所から遠ざけることなどについては、通常の注意事項を守ってください。

特に自宅での仮設や移動運用時にアンテナエレメントを上げるのには、木に登ったりあるいはおもりで投げるのが最も簡単です。 代わりに、単に8~10m長さの釣り竿を購入し、それを木または柵のポストに結び付けます。軽量のポールは、20mくらいのエンドフィードアンテナの細い絶縁電線を適切に保持でき、コストは約50ドル程度かかります。 推薦されたサプライヤーはhttp://www.haverford.com.auで、オーストラリアのどこにでも送ってくれます。国内であればホームセンターか釣具屋さんにあるはずです。

 

給電カプラー

ここで説明する給電カプラーの目的は、トランシーバーの出力インピーダンス50Ωを、ワイヤアンテナの高いインピーダンスに変換することです。 給電カプラーとトランシーバーとの間には、給電カプラーの調整を助けるために切り替えられる抵抗性アンテナブリッジがあります。

 

このL-マッチ整合回路には1つの切り替え可能なコイルと1つの可変コンデンサで構成されています。これは、通常2つ以上の可変コンデンサやいくつかのコイル、場合によってはスイッチを使用するほとんどの他のアンテナ結合ユニットと比較してより簡単です。 この簡単な方法は、ユニットが狭い範囲のアンテナインピーダンスをマッチングすることだけを目的としているために可能になりました。

 

抵抗ブリッジは、L-マッチングが適切に調整されたことを確認するために使います。 この使い方は標準的なSWRブリッジと似ていて、最初にメーターの感度コントロールを調整しフルスケールを合わせます。続いてメーターの表示がゼロ(またはそれに近い)になるまでL-マッチを調整します。 ただし、この抵抗ブリッジには、SWRメーターとは異なり順方向/逆方向スイッチはありません。また、送信中はブリッジ回線を残すことはできません。 もしFT-817のようにSWRインジケータがもともと組み込まれている場合、抵抗ブリッジ(ダイオード、抵抗、メーターなど)をあえて使う必要はなく、Lマッチだけで使用できます。抵抗ブリッジの操作に関する詳細は後で説明します。

私の箱に入れたカプラー(3号機)の場合もスペースも問題もあり、FT-817での使用を想定してL-マッチ部分のみとしました。

 

VK3YEの著書にあるもの。SWRインジケータがついています。

可変コンデンサの調整はフロントパネルの中央にあります。 左は、L-マッチのコイル切り替え用の10接点切り替えのロータリースイッチです。パネルの右側の3分の1は、抵抗性アンテナブリッジによって占められています。 メーターの下には、チューン/送受信切り替えスイッチとメーターの感度コントロールがあります。

自作のタップ付きコイルは、ロータリースイッチのすぐ後ろに取り付けられています。コイルの横のバーニアダイアルの後ろには、バリコンがあります。 ボックス内の残りのスペースの大部分は、アンテナブリッジに使用されている部品を保持するマトリクスボードによって占められています。 軽量化が重要であるため、試作品は市販のプラスチック製箱に収めました。 バーニアダイアルの上部を収容するために、プラスチックの一部を上蓋の内側で削り取らなければならなかったことに注意してください。 これは写真ではわずかに見えます。

 

使用されるバリコンは今では珍しい送信機用のタイト製のものです。残念ながら、同じものを入手するのは難しいかもしれません。 入手先には、ハムの展示会、ヴィンテージラジオの交換会、真空管ラジオ、さらには古いトランジスタセットなどから得られるかもしれません。 低消費電力(最大5ワット程度)を使用している場合は、最近のAMトランジスタラジオで使用される小さなポリバリコンが使えます。

 

バリコンの実際の値は、その最大容量が150または200ピコファラッドを超えることは重要ではありません。 バーニアダイヤルにより、完成品の見かけが大幅に向上し、調整が容易になります。 残念ながら、これも今では珍しく有っても高価です。なければバーニアダイアルは省略しても問題ありません。

使用したロータリースイッチは、10接点を有する取り外した使用済みのスイッチでした。 (私が使用したのは12接点のものの一部分をめくらにして使いました。)スイッチはもともと多回路のセクションを持っていたので、不要なものを取り外し、シャフトの後部はサイズにカットしました。 コイルのより正確な調整を可能にするために、可能な限り多くの接点の有るスイッチが有効です。 適切なスイッチを入手できない場合は、ワニ口クリップとワンダーリードがスイッチと同じくらい効果的ですが、使用するのにはあまり便利ではありません。

 

タップ付きのコイルは、L―マッチングのもう1つの主要部品です。写真のコイルは、直径25~30mmの塩ビ管の切れ端に巻きました。 (私のは長さを節約するためにVP40を使用しました)試作品には通常の細い絶縁線を使用しました。 必要なタップの数は、ロータリースイッチで使用可能なポジションの数より常に1つ少ないため、このコイルでは9タップです。 タップを作るには、ナイフで約1cm断熱材を取り除き、電線の裸の部分をヘアピンループにしてねじって半田付けします。 電線からの絶縁溶けを防ぐのにはんだごては必要最小限の時間だけ、接続部にあててください。

次の表は、プロトタイプで使用されたコイルタップ位置を示しています。 コイルの始まりはアンテナコネクタとバリコンに接続され、スイッチの接点はチューン/送受信スイッチのアンテナ部分に配線されています。

 

スイッチ位置 ― 巻き始めからのコイルの巻き数

 

Tap位置                                  巻き数

反時計回りの位置           (25-30mmD)           VP-40(45mmD)

  1                         55回                           31回

  2                         30回                           18回

  3                         20回                           13回

  4                         13回                           8.5回

  5                         9回                            4.25回

  6                         6回                            2.25回

  7                         4回                            1.5回

  8                       3回                            1回

  9                         2回                            0.5回

  10                       1回    (7K2ABVが作った3号機では間違えてタップを9か所しか作らなかった)

コイルの端に最も接近しているタップは、スイッチに最も近い位置にします。  これは、これらのタップが、より高い周波数帯域で使用される可能性があり、浮遊インダクタンスの影響がより顕著になるからです。 この理由から、スイッチとコイルとの間のすべての接続は、短くて太くなければいけません。 コイルは、一対のボルト、ナット、および10mmのスタンドオフを使用して、ケースの底面に取り付けられています。これは、使い終わったまっすぐなボールペンで作成できます。

回転バンドスイッチのあるトランシーバーは、通常、スイッチの回転の反時計回りの最終端付近でより低い周波数帯域(例えば80メートル)になっており、スイッチを時計回りに回すとより高い帯域(例えば10メートル)になっています。 同様に、トランシーバーのVFOつまみを時計回りに回すと、選択された周波数が増加します。

プロトタイプのコントロールも同様の動作に設定します。 これは、ロータリースイッチが反時計回りの最も高い位置(上記の表1の位置)に回されたときにコイル全体(低周波数帯域で必要とされることがある)に接続するようにし、順に時計回りに移動します(上の表の位置10)。コイルのこれらのより小さいセクションは、10mおよび15m帯などのより高い周波数帯で動作するようにします。

バリコンも、同様の構成にします。 減速駆動が時計回りに回されると、キャパシタンスは減少し、ユニットはより高い周波数に同調する。 しかし、いくつかのバリコンではこのようにはできないことがあることに注意することが重要です。 なぜなら、シャフトの時計回りの動きで容量を減少させるのではなく増加するからです。 

抵抗性アンテナブリッジ用の部品の大部分は、ネジとスタンドオフを使用してケースに取り付けられたフレキシブル基盤に取り付けます。 7つの27オーム抵抗を除き、部品の値は特に重要ではありません。 これらの抵抗器の機能は、L-マッチングが調整されているときにトランシーバーに理想的な50オームの負荷を供給することです。 このために、かなりの量のRF電力を消費する必要があります。 プロトタイプには2Wの抵抗器を使用しました。これは、20Wトランシーバーでの使用に耐えることが判明しました。 ただし、キャリアが5-10Wとチューニング時間は比較的に短い時間で完了しました。 近代的な100ワットトランシーバの多くは、このチューニングプロセスに必要な数ワットを生成するため設定することができます。

 

プロトタイプユニットでは事故は起きていませんが、高出力機器で頻繁に使用したい場合や、電源を切るのを忘れる習慣がある場合は、各27Ω抵抗を2つの2W 100Ω抵抗で置き換えて、ユニットの電力容量を上げる必要があります。 巻線抵抗を使用ないでください。 この抵抗の定格電力は魅力的に見えるかもしれませんが、この自己インダクタンスは、このようなプロジェクトには不適切です。

チューン/送受信スイッチは、中規模の2極切り替え(DPDT)スイッチです。 これもまた、20Wの機器でも使えます。 ただし、本機を100W機で使用する場合は、より大きなタイプを使用することをお勧めします。

他の部分は重要ではありません。プロトタイプのパネルメーターは、動かなくなったCBトランシーバーから取り外しました。 スケールは消し(修正液を使用して)、新しいものを手書きしました。 この操作は、かなり手作業が必要です。 あなたが不注意だったら、メーターの動きが簡単に損なわれます。 自信がない場合は、そのままにしてください。 可変抵抗器もまた、使い古したたものであってもよい。 この場合、ラジオやテープレコーダーからのものでも問題はありません。

 

アンテナとアース端子には一対のバインディングポストを使用しました。 混乱を避けるために色分けを使用してください。 トランシーバーへの接続は、BNCまたはSO239ソケットを介して行われます。 浮動容量とインダクタンスを最小限に抑えるために、チューン/送受信スイッチの送信側と、このコネクターとの間は同軸ケーブルを使用する必要があります。  RG58またはRG174のいずれかでよいでしょう。

 

調整と使用

L型のカプラの調整は簡単です。 受信機の最大ノイズが得られるようにコイルを設定します。 その後、バリコンを調整してノイズがさらに増加するように設定します。 数ワットのキャリアを投入して、「チューン」に切り替えます。 メーターがフルスケールを表示するように感度コントロールを合わせます。 バリコンを調整して、メーターの読み取り値のディップを調整します。 針が振れないようにならない場合は、これを達成するまでコイルとコンデンサの設定を変えて試みてください。 この時点で、システムは調整され、ユニットは「送受信」に切り替えます。 この段階では、抵抗ブリッジをバイパスし、トランシーバーからの全出力がアンテナに接続したことになります。 バンドを変更したりバンド内で周波数を大きく変更したりするときは、完全な同調を得るためにこのプロセスを繰り返す必要があることに注意してください。リグにSWR計がある場合は直接観測することができます。

 

カウンターポアズが必要な場合もあれば、必要ない場合もあります。 アンテナは高インピーダンスであるため、通常、放射効率を高めることはなく、Lマッチの設定に重大な影響を与えません。 しかし、場合によっては、カウンターポアズなしでは高周波がトランシーバーに戻って動作を損なう可能性があります。  L-マッチのアース端子に接続された短い長さの絶縁ワイヤは、この危険を最小限にします。 通常は1〜2メートルで十分です。

実際には、ここに説明されたシステムは容易に使用でき、単一の長さのワイヤでマルチバンドの送受信をするための優れた方法です。 損失のあるトラップや給電線はなく、アンテナは直立しやすいです。 州間でのSSB交信は、このアンテナを用いて、80、40mの両方で、2~20Wの電力で可能でした。 ヨーロッパとアメリカへのDXは、より高いHFバンドで交信できました。

 

詳細な測定は行われていませんが、低周波数帯域での性能は、同じ高さでの水平に張った半波ダイポールとほぼ同じように見えます。  理論的には、より高い周波数帯域でワイヤの遠いほうの端からいくらかの利得の損失があるかもしれませんが、このアンテナが有用であるかどうかはワイヤの向きと高さに依存します。

3号機の内部の様子です。(7K2ABV作成)


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1 コメント

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交信実績 (iau9229)
2018-12-08 18:06:41
先週宇都宮市で移動運用してみました
5Wで1時間弱でしたがFT817を使って10m程度のワイヤーで7MHz
8N3MKK/3 59/59 京都亀岡市
JE6VND  59/59 大分県別府市
JA8QDE  59/59 北海道雨竜郡(空知)妹背牛町
JG7BJR  59/59  岩手県宮古市
との交信が成立しました 
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