思い。

ありとあらゆる場所に面影がひそんでいて。


たしかに存在した、まっすぐな瞳と温かな体。



なんで手が届かないんだろうって
ふと不思議な感覚におそわれる。



土砂降りの中、5時間以上ドライブしてわが家にやってきた日。
ずっと助手席でお姉ちゃんの膝のうえ。
この日からお姉ちゃんが大好きだったよね。



永遠に泣きやまないかと思ったクレートトレーニング。



「ぜったいにしてやらない！」「なぬ～っ！？」て忍耐勝負だったトイレトレーニング。



大嫌いだったお散歩。
すべての曲がり角から家に向かってダッシュしようとしたっけ。



知らない人には吠えまくり
ちょっとした物音には怯えまくり
呼んでもすぐそばまで来なかったし。



パピーパーティー、しつけ教室、幼稚園・・・
わざわざ人通りの多い道を選んで歩いたり
思いつく限りの色々なところに連れ出し
ほんとうにたくさんの人のお世話になり。



何回も何回も何回も
もう無理！
こんなやつ、迎えるんじゃなかった！
なんてグチ言いながら



気がつけば


ボールが大好きで

アジリティもフリスビーもこなして






泳ぐのが得意で



トイレもハウスもお留守番もパーフェクトで

小さいお友達とも仲良くできて



爪切りだって歯磨きだってシャンプーだってOKで

他の人にも、なでて貰う事が出来る

おちゃめな女子に成長していました。



落ち着きないのとちょっぴりの分離不安が玉に傷だったけどね。


5年と4ヶ月。
たいへんだったことも、楽しかったことも
一緒に歩いてきたすべてが
とてもしあわせな時間だったと
あらためて、思い知らされてます。



あまりにもあっけなく消えてしまった命の灯に
まだまだ立ち直れそうもないけれど


今そばにいてくれる、ふたつの小さな命を大切に
ていねいに毎日を積み重ねて行けたら。


いつも、お留守番していた場所に寝転がって、天井を見あげながら
毎日10時間以上、ここであたしの帰りを待ってたんだなぁって
とりとめもなく、いろんなことを思ってみてます。


母ちゃんのこと、お空のうえから見えますか？ルっちゃん。