いちごわさびの徒然草

アニメ大好き! ガンダム大好き! そんなこんなを徒然なるままに・・

<第10話>地獄耳? / ガンダム外伝

2007-07-03 12:48:41 | [小説]ガンダム外伝


<ここまでの話>
「<第1話> から <第8話>までのリンク」http://blog.goo.ne.jp/ichigowasabi/e/63984e00a496cc4ceab13c1caab8e05c
「<第9話>捜索・・」http://blog.goo.ne.jp/ichigowasabi/e/b0d54d30299ac0b2dd3cbc2f50ff1da2
・・・
<補講>
「ガンダム外伝を楽しむための補講(1)ラグランジュポイント」http://blog.goo.ne.jp/ichigowasabi/e/5568bd9e6a727ee790bc1ebec0e0042c
「ガンダム外伝を楽しむための補講(2)MS運用艦グリフィン」http://blog.goo.ne.jp/ichigowasabi/e/6db85f7b1fcf391b3f6bfc42d339cbc1
「ガンダム外伝を楽しむための補講(3)MS小隊の構成と運用」http://blog.goo.ne.jp/ichigowasabi/e/f1a12da2cbb09456acce246711ca2997
・・・・・


211号機と212号機の整備が終了した頃、サミー曹長がかなり疲れた様子で
MSデッキに現れた・・

「おう! おつかれさま! 捜索作業は終了したのか?」

「あっ、大尉! 捜索作業中のMSの整備ありがとうございます。
 こちら側の作業は、大体終了しました・・
 そうそう・・大尉ぃ・・ ビームガンとシールドを捨てたでしょ?
 予備が少ないから捨てないでね  ってあれほど言ったのにぃ・・
 まぁ・・ 命の方が大事ですけどね ♪
 無事のご帰還、なによりです ♪」

「いや・・すまんな・・ 曹長の言う事は理解している・・
 今回は無くしてしまい、申し訳ない!・・
 備品も数に限りがあるのは理解している・・
 結局、自分の使える武器が減ってくる・・って事だからな!
 最後はモビルスーツのゲンコツでザクを相手にするか・・」

「ゲンコツは、マニュピレーターを壊しちゃいますよぉ・・
 大尉ならやりそうですね・・
 実はですね、大破したサラミス級(サド)の予備備品倉庫から、ジムのシールドと
 ビームスプレーガンを数点、そしてクマ軍曹機のスペアパーツなども、
 隣のカーゴスペースに運びこみました・・
 偶然見つけた、大尉のビームガンとシールドもです。
 シールド、ザクマシンガンの直撃などで、かなりボコボコでしたよ・・
 あと・・
 戦場で浮かんでいるMSや携帯武器も、運び込もうか・・って思ったのだけど
 使ってた奴らの物だから・・ そのままにしておいてやろう・・って・・
 クマ軍曹を見て、そう感じたんです・・ なんか、荒らしちゃあまずいなぁって・・」

「そうだな・・散っていった奴らの魂が残っているかもしれんからな・・
 で・・ 私のビーム・ガン、本当に見つかったのか!・・ びっくりだな!
 どうやってあんな宇宙空間の中で見つかったんだ?」

「ボールで飛んでたら・・偶然見つけたんですよ。」

「なにぃ? ボールだって? そんなのこのグリフィンに搭載してたのかぁ?」

「へっへぇ♪ 実はね、遠方側で漂流してたもう1隻のサラミス級(マウイ)に、
 ほぼ無傷のボールが2機も残ってたんですよ!
 1機はアームを破損していましたが、もう1機はほとんど無傷で・・ 
 射出される前に艦がやられちゃったのでしょうね・・
 保持索のロックが固まってましたから・・
 脱出装置がどちらも起動されていましたので、パイロットは脱出したのでしょうが・・
 生存者の中にパイロットがいたかなぁ・・」

「そうなのか・・出撃も出来ず・・ やはり奇襲だった可能性が高いな・・
 しかし・・ サミー曹長はボールを扱えるのか?」

「まぁ、ボール(RB-79)って奴は民間の作業ポッドを改造した・・ってご存知ですよね。
 中をみたら、操縦系は全く一緒なんです!
 作業ポッドのライセンスは持っていますから、全然平気ですよ!
 まぁ操作が簡単で、アームが付いているので搬送に凄く便利で・・
 主人を無くしたまま、デブリを彷徨うよりは良いだろう・・と ♪」

「そうか・・ つまり、グリフィンにボールが2機戦力として加わったということか?」
  
「あっ! これはMS小隊にはあげませんからね!
 我ら整備班の機器ですからね! 既にマスミン大尉に依頼書を提出してるんだから!
 勝手に使わないで下さいよ!・・ ほっといたら使いそうだから・・」

「ああ・・ 解った解った!
 でもな・・ 演習時の監視用とかで貸してもらえたら嬉しいが・・ 駄目か?」

「駄目です! 大尉はすぐに無茶するんだから、壊れちゃいますよ!!」

「いやいや・・ 大事に使うからさ! 女の子を扱うようにね♪」

「本当ですか?・・ なにか、信用できないなぁ・・
 じゃぁ、・・ お願いが1つ・・ それを聞いてくれたら、考えますけど・・」

「おっ? なんだ? ビール1杯か、ウェーブ(女子兵士)の直アドか?・・」

「ボールの燃料なんです・・」

「なに? 燃料?」

「はい、実はボールの燃料は、化学ロケット燃料なんです
 MSのように核融合炉じゃない分、運用は楽なんですけど・・
 逆に燃料がすぐに切れてしまいます・・
 その燃料を調達しないと、ボールは使えない・・ って事なんです。」

「MSのバーニアで使用しているロケット燃料は使えないのか?」

「純度が高いんですよ・・ ボールのアポジモーター(バーニア)用には
 使用できますが、本体のエンジンは作業ポッドのままなので・・
 逆だったら性能は落ちますが使用はできるのですが・・」

「じゃあ、グリフィン用が使えるのではないのか?・・」

「グリフィン用が小型船舶用だったら良いのですが、大型ロケット用ですから・・
 もしボールに使っても、出力が出ないし、エンジンにも良くないですね・・
 まぁ、ボールは作業ポッドを改造しただけですから、エンジンはそのまんま、
 そこにバーニアをつけて高機動にしている・・って事で・・
 昔からある、何処でも手に入る燃料なのに・・ 
 グリフィンには積んでいません・・」

「あっ、緊急脱出用のランチがあるだろう・・ ランチ用の燃料は?」

「ええ・・ 一緒です・・ でもランチの燃料って、積みっぱなしなんです
 緊急時の使用と後は連絡用だけど・・ 連絡時は宇宙港に入るので、
 燃料補給がルールですよね・・
 それだけのために、ランチ用の補充燃料は艦には搭載していないのです。」

「じゃ・・ しばらく使うと燃料が切れて動かなくなるのか・・ 
 燃料切れれば、単なるオブジェか・・」

「ですから・・
 我々が現在向かっているサイド5領域で、廃棄コロニーの宇宙港に行けば、
 小型船舶用の給油スタンドがあるはずです。
 そこで燃料を調達したいのですが・・
 その時に・・ 付き合って頂けませんか?」

「2機(2人)で行くのか?・・」
「はい・・ 他にもお宝があるかもしれませんので ♪・・」

「そうか・・ お宝は、艦長には内緒だな♪・・」

「じゃ・・ 艦長の承認は取っておきますので、その時が来たら、お願いいたします♪」

「おう! そう言うことなら何時でも言ってくれ!
 そのかわり、ボールを貸してくれよ!」

「了解です、大尉! 考えときますって ♪
 サイド5(ルウム)が近づいてきたら、相談しますね・・  では!!」

「おう!・・ 」


・・・・・

コントロールデッキでは哨戒任務に出撃するヒロ中尉とユカ少尉に対し、
MSオペレータとして、リン少尉がユカ少尉の代わりを勤めていた。
先任であるので、妥当な人選である。

「中尉ぃ・・ ちゃんとユカの面倒を見るのよ! 解ったぁ?」

「・・・ そんなにガーガー言わなくても、ユカちゃんは俺が守るからさ!」

「また、そんな事言ってるんだから・・ 少佐にミサイルぶち込まれるわよ!
 あっ・・MSデッキリーダーのターチン軍曹からシグナルグリーンが入ったわ・・
 ベリーベースより、ベリーツーへ
 シグナルオールグリーン 進路クリア ベリーツー、射出OKです! 」

「・・・ お尻にミサイルぶち込まないでね~♪
     ベリーツー、グリフィン212・・ ヒロ 行きま~す♪」

艦が軽く左に傾く・・ 私はクロヒッツ少佐を目で探した、
すぐにクロヒッツ少佐と目があった・・ 少佐も私を探したみたいだ・・
私は少佐のいる火器制御ブースに流れて行った・・

「少佐! カタパルト使用時の艦への影響を相殺するための例の件ですが・・」

「その件はマメハ艦長からきいたわ・・大丈夫よ♪・・
 この艦はね・・ ペガサス級揚陸艦開発でのカタパルト実験も行った艦なの・・
 だから、ライブラリーにそのときのプログラムがあるわ・・
 あとはインターフェースだけど・・ 受け口があるので、問題ないと思うわよ♪」

「それは良かった・・ MSの射出間隔を少しでも短くしたいと思い・・」

「でもね・・ 私は思うの・・
 単機での行動をしないなら・・ カタパルトは必要かしら?
 艦の上部で待機し、次の機体が出てから一緒に行動する・・
 確かに理論は解るわ・・ でも カタパルトを有効に使用するのは
 速い速度(運動エネルギー)を得るためでしょ・・
 だったら、飛び出したら、一気にその速度を利用し、前線に向かうのも
 一つの正解ではないかしら?」

「少佐ぁ・・ 確かにそのような理論もありますが・・
 私は、パイロットの命を預かっています・・
 ですから、現在の運用を変えるつもりはありません・・」

「いえ・・ そのような考えも、あるわね?って言いたかっただけ・・
 また、あとで、ゆっくりお話したいわね?」

「それは、喜んで 一晩語り明かすも良いですな ♪」

「ふふふ・・ そうね・・ それも良いわね♪」

「では、また後ほど♪ (こりゃ期待大だぜ♪)」


そんな少佐とのやり取りの間にも
スピーカーから発信シーケンスの声が聞こえる・・

「ベリーファイブ、準備OKよ! 大丈夫ね?」

「・・・ リン少尉! ありがとうございます、大丈夫です。」

「ユカぁ・・ ミィよ! 聞こえる? 哨戒任務頑張ってね!
 ユカは私よりMSの操縦上手いんだからぁ! 自信を持って!」

「・・・ ミィ・・ ありがと・・ なんか、大丈夫だから・・」

「ユカとミィは仲が良いわね♪」

「だって・・ 私とユカは同時に配属だけじゃないんだもん・・」

「えっ? ミィ 何?」

「私とユカはね・・ 実は・・、 お誕生日が同じなの!」

「へぇ!・・ そうなんだ!」

「・・・ なんだって・・
     ユカちゃんとミィちゃんて、お誕生日が一緒なのぉ??
     そりゃ、凄いや!・・」

「もう・・中尉! 何が凄いのよ? 訳わかんない!!
 ベリーベースより、ベリーファイブへ
 シグナルオールグリーン 進路クリアよ・・
 ベリーファイブ、射出OKです! 」

「・・・ ありがとう・・ なんか落ち着いちゃった♪
     ベリーファイブ、ジムコマンド211 ユカ 発進します!・・」

MSオペレータ・・ リン少尉って、適性があるかもしれんな・・
上手く、初発進のユカ少尉の緊張をほぐしている・・
このチーム、中々良いバランスだ・・

ユカ少尉が発信した際、再度艦が左に傾いたが、前ほどの傾きではない・・
艦長が操舵士と機関長に指示を出し、マニュアルで艦のコントロールを
行っているからだ・・
艦長のスキルの高さを感じる・・

「やりますね・・ さすが艦長だ・・」

「そうね・・ あの方は不思議よ・・ なぜか、艦全体を常に把握されているの
 最近流行りのニュータイプかしら♪  地獄耳ですしね♪」


「副長!」

突然、艦長がこちらを向いて少佐を呼んだ、地獄耳は本当なのか?
少佐はペロっと下をだし、艦長の方向に流れて行った・・
その経緯を眺めていると・・

突然背後から声がした・・

「ワサビィ・・
 ちょっと相談がある、・・・ 勤務終了後に私の部屋に来てはくれないか?
 それとも、 ・・・
 1人で来るのが怖いかな? ふふふ♪・・」

マスミン特務大尉が、そっと耳打ちし、そのまま士官室方面に流れて行った
今まで見せたことも無い笑顔を残し・・

いよいよ来たか♪ 私は期待と股間を膨らませ・・・
いや・・ 股間はまずいだろ、股間は・・  それとも今日は大当たりなのかぁ? 


「ワサビィ大尉!・・」

なに? 今度は艦長か?

「コンペット准尉から連絡がはいったの・・
 申し訳ないけど副長と一緒に看護室に行って、オーリン曹長とクマ軍曹の様子を
 見てきてはくれないかしら・・」

ふぅ・・業務指示か・・ 良かった・・

「イエス、マム! じゃぁ少佐! 行きましょうか・・
 そうそう・・
 リン少尉! ヒロ中尉との連絡は確実にな!
 何かあったら、看護室まで連絡をしてくれ!
 ミィ少尉は、緊急時に備え、スクランブル待機に入ってくれ!」

「了解 ♪」

「リン少尉、あとは頼む!」

「了解です 隊長! ごゆっくりぃ~ ♪」

「なんだ・・ その記号(♪)は?」

「聞こえてないと思ったら大間違いですよ!
 さっき、少佐と、楽しそうにお話してたのでは?」

地獄耳は・・ リン! お前か!

「リン少尉・・ 楽しいお話って・・ なぁに?」

かっ・・か艦長まで興味を持たないで!って!
           (楽しそうに話し・・が、楽しい話・・になってるし!)

「いや違うんですよ艦長!・・
 副長とカタパルト使用時のプログラム改編の話をしていただけで・・」

「ふぅん・・そうなんだ・・ カタパルト話で一晩も語り明かすのね?・・」

やっぱ、艦長・・ あんた地獄耳っす? それともニュータイプ?

「あっ・・ いえ! ワサビィ看護室に向かいま~す!!」


と、まるでヒロ中尉が私に降臨したようだ・・参ったなぁ・・
私は逃げるようにエレベータに体を流した・・
後ろからクロヒッツ少佐が笑いながらついてくる・・ 楽しそうに・・

        ああ・・
        こうやって徐々に艦の中での自分の位置付けが、
        決まっていくのだろう・・・
        そんな、感じを受けながら、私はエレベーターに乗った・・
        死んでも直らん性格だが・・
        下手すれば、死ぬかもしれんなぁ・・ と・・

「<第11話>連邦軍の内情・・」http://blog.goo.ne.jp/ichigowasabi/e/4ceb149cd5bc66d3b05140f580d79a39に続く・・・

(2007/07/03 12:48)