いちごわさびの徒然草

アニメ大好き! ガンダム大好き! そんなこんなを徒然なるままに・・

<第30話>帰艦・・ / [小説]ガンダム外伝

2009-09-02 20:22:51 | [小説]ガンダム外伝
<ここまでの話>
【第1部】
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【第2部】
<第25話>子にゃんこ
<第26話>緊急信号!
<第27話>チーム戦!
<第28話>ジャジャ馬
<第29話>一撃離脱・・
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「ふっ・・とんでもないサプライズだぜ! サンキュー司令!」

(さて・・ こいつを今の部隊に組み込むとなると、課題は砲手か・・
 ビーム砲の仰角を固定し、パイロットだけでも砲撃ができるようにしないと
 このままでは要員が足りず、司令のご配慮も宝の持ち腐れになってしまう
 前に申請していた増員の返答はまだだったしなぁ・・
 グリフィンに帰ったらマスミン特務大尉に・・
 ん! マスミン・・
 あっ!チーフとの回線はどうなった?
 オーリン曹長は、話をしてくれているのか?
 しまった・・ こんな事になるなら、要件を伝えておくのだった・・)

ただ、マスミン大尉のキャンキャン吼える声を思い浮かべるのだが
なぜか口元が緩んでいる自分を自覚していた・・

そんな時、機能しないメインモニター横のWarningランプ(注意信号)が目に入った・・
(ん?、生命維持装置?・・ いつから点灯しているんだ?)
エアー漏れ発生の可能性をWarningランプが示している!
前部コックピットの気圧計を見ると 1,1・・ 正常だ・・ (後ろか?)

「おい! ウーミン・・ ウーミン伍長! 空気が漏れてないか?」

「・・・ えっ何?・・おにいちゃん・・ 空気?」

「気圧計は幾らだ?」

「・・・ えっ・・ どこ?」

「座席裏にないか?」

「・・・ あ・ ありました・・ っと・・ コンマ・・・7?」

「0.7か・・ そっちが漏れているな・・
 とにかくヘルメットのバイザーを閉めて、ノーマルスーツ分のエアーに切り替えろ!」

「・・・ えっ?・・ けど・・ ノーマルスーツ分やと、1時間ほどでエアーが・・」

「そうやな・・ とにかく後部座席のエアー弁を閉めるぞ!」

「・・・ どれだけ漏れたんやろう・・」

「解らん・・ 大分漏れた可能性があるな・・ 機銃を数発食らったからやろう・・
 とにかく前部座席の気密はOKみたいだ・・ 前に来るか?」

「・・・ 前のコックピットって広いの?」

「いや・・ 滅茶苦茶狭い・・ だから、私が後ろに行く・・ 2人は無理だ・・」

「・・・ そんな!・・ 私は大丈夫だよ エアーを使わないように節約するもん・・」

「駄目だ! 命令だ! 前に来い!」

「・・・ やだもん! 私だけ・・ って・・  やだもん!!」

「無理を言うな! これは命令だ! 早くしろ!」

「・・・ ・・・・
     やだやだ!!・・・・
     本当に嫌なんです!・・・・
     知っている人がいなくなるのは・・  もう嫌なんです!!」

私は返す言葉を失っていた・・ 今、戦っている全てのスペースノイド達が
きっと言いたい本音の言葉を、ウーミン伍長は言っているのだ・・
これは彼女だけの言葉ではなく、スペースノイドの総意でもあるのだろう・・
(言葉には魂があるなぁ・・)

「言霊かぁ・・ 解った・・ 私の負けだ・・
 じゃ本当に窮屈だけど前に来い、私と2人だ・・」

「・・・ うん♪」

後部座席の風防(ハッチ)が開きウーミン伍長が外に出て、前に流れてきた・・
前部コックピットの風防を開け、ウーミン伍長を迎え入れる・・ が・・
本当に窮屈だ・・
私は8点式のシートベルトを外し、なんとか隙間を作るのだが・・
横に並ぶことは不可能であることを認識する・・

「駄目だなぁ・・ 仕方が無い・・ 私の上に座れ・・」

「・・・ ・・・ 上? ・・ こう?・・」

ウーミン伍長が私の上に座る形になった・・
ノーマルスーツという奴は、決して温度を伝えることは無いのだが・・
じわっとウーミン伍長の体温を感じたように錯覚する・・

前部コックピットの風防を閉じ、エアーを充填した・・
ヘルメットのバイザーをオープンにする・・

「ふぅ・・ なんとか収まったな」

「そうですね、本当に窮屈ですけど・・」

「あとは、この状態でバーニア操作ができれば良いのだが・・ 前が見えん!」

「すみません・・ 無理を言って・・」

「ん? どうした? 標準語になってるじゃないか?」

「そういう大尉こそ・・ 」

思わず2人で笑ってしまった・・
人間というものは、照れ隠しの状態になると、話す言葉も杓子定規になる・・と
どこかで聞いたことがある・・ やっぱりこの状況は不自然であることを
ウーミン伍長も気が付いているのだろう・・

しかし本当に前が見えにくい・・ というか見えない・・
ウーミン伍長のヘルメットが邪魔なのだ・・
しかし、この状態でヘルメットを取ることは非常に危険であり・・
上官として命令するわけには行かない・・

「取りましょうか? ヘルメット?」

「何を言うんだ! ウーミン! それは駄目だ!」

「でも、見えないとまずいと思います・・
 私にはルウムの方向が解りません!  取りますよ・・」

「いや・・ 他の方法があるか、考えているから・・ ちょっと待て!」 

と言っている間にウーミン伍長がヘルメットを外し、ひざの上に置いた・・
ふわっとウーミン伍長の髪が鼻に触れ、汗の匂いに混じり良い香りが鼻をくすぐる・・
体の中の全血液が活性化し、私の体の中心部に急激に移動を開始するのを感じた・・

や・・ やばい!・・

「えっとぉ・・ 今の座標は・・ で・・ ルウムはどっちだっけ・・ 」

ラグランジュポイントに近い空域とはいえ、地球の引力の影響を受ける地点である
ウーミン伍長の重さが、少しずつ感じるようにもなってきた・・
状況はますます悪化する・・

(まずい・・ まずすぎる・・・ )

この数日の間、こんなに密着することなど皆無であっただけに・・
非常にまずい状況にドンドン加速していく・・

「・・・」

狭いコックピットの中で2人は無言になっていた・・
何分経過したのだろう?
鼻をくすぐる甘い香りが、時間の経過を解らなくし
この時間が永遠に続けば良いと考える、お馬鹿さんが一人いた・・
ウーミン伍長には本当に悪いのだが・・
(ごめん・・ うみちゃん・・ でも、宇宙の神様・・ 感謝♪)

・・・

突然、アラームが鳴り響いた!
宇宙の神様は、単なるお馬鹿さんには甘くはなかったようだ・・
(ロ・・ ロックオンエマージャンシーコールだとぉ!?)
どこかからロックオンされている!との緊急アラームだ!!

「何時だ? 敵か?」

私とウーミン伍長は必死になって目視で敵をさがす!
ただ、このような状態では、ターゲットを見つけたとしても、手遅れなのだが
生きようとする本能が必死になり、最後までなんとかしようとする・・
本当に往生際が悪い・・

「左下方2時の方向! モビルスーツ2機です! 大尉・・ 回避は?」

「今は動かない方が良い! 下手に動くとやられる・・」

フットペダルの位置を確認し、バーニア操作の準備をする・・
五感を研ぎ澄まし、攻撃された瞬間に回避だ!
(できるか? いや・・ やるんだ! やれるさ!!)
と自分に言い聞かせるが・・ その後は・・・

「ザクか? 識別信号は? くそぉ!モニターが使えん!」

敵のモビルスーツが小さな人間2人のように見える、
宇宙空間では距離感がわからず、モビルスーツが人に見えてしまうのだが・・

(ん? なぜ見える?・・
 ジオンのMSは、主に暗い色で視認が難しい・・
 なぜ?
 白っぽい?・・ 白いから? ・・ あっ!!)

「味方だ!・・ あれはジムだ!! 助かったぁ・・」

「よかったぁ・・ こんな広い宇宙の中でも、見つけてくれるんですね・・
 入隊教育のとき、脱出したらとにかく仲間を信じてひたすら待て!って
 教官に教わったけど・・ みんなで言ってたんです・・
 多分見つけてはもらえない・・って・・ 
 でも・・ 教官の言われた事は、本当だったんですね・・
 本当に良かった!」

「なんだ・・ ウーミン・・ 泣いているのか?」

「だって・・ だって!・・ 」

「まぁ・・運もあるがな・・
 宇宙の神様がまだ死ぬ番じゃないぞ!って言っているのかもな・・ って・・
 ん? ちょっと待て! じゃあウーミン伍長は私の事を信用してなかったと
 言うことか?」

「いえ・・ そんな事は言ってませんけどぉ・・」

「いや・・ よく考えると、そう言っている事になる!」

「もう・・ どっちでも良いじゃないですか! 助かったんだし!」

「いや・・ ここははっきりさせないと!」

「ばか!・・ おにいちゃんて、ほんと昔と変わんないね、
 そんな細かな事ばっかり言ってると嫌われるよ!」

「あああ! バカって言ったな! 馬鹿って・・」

「言って無いですよ・・(耳は良いのか?・・)」

「えっ・・ なんて言った?」

「なんにも言ってませんよ!
 というか・・ この子・・ 識別コードを発信していますか?
 ロックオンアラームが点灯したままなんですけどぉ・・」

その時、オレンジに色に光る一閃のビームが頭上を通過した!
ロックオンしているジムが威嚇射撃をしてきたのだ!!

「なにぃ?・・ なんで撃つ?!」

「救難信号は発信しているみたいですが・・
 識別信号が出て無いんじゃないかと・・」

「それじゃUnknownじゃないか! やばいぞ!!」

私はあわててバーニアをあて、機体を数回バンクさせる
おそるおそる近づくジムに対し、味方であり、生存している事を表す信号を
機体を数回バンクさせることで表すのだ・・

と同時に、フルオープンレンジで通信機に怒鳴った!
通信機が生きていることを祈って!

「撃つな! 撃つな!! エマージェンシーだ!
 ガス欠で立ち往生だ! 私は第21独立部隊MS・・」

「・・・ た・・ 隊長? その声はワサビィ隊長じゃないですか?」

「(やった!通信機が生きていた!・・)
 って? ん? 誰だ?・・ リン?・・ リンちゃんか?」

「・・・ 隊長!一体こんな所で何してるの? ビックリしたぁ・・
     というか、何があったの? その機体はなに?
     私のジムコマンドは? ねぇ!壊しちゃったの?」

「・・・ 大尉! クマです! ヒポグリフの支援に行かれたのでは?
     あっちはどうなったのですか? ユカ少尉やミィ少尉は?・・」

「おいおい・・ 急にいくつも質問をするなよ・・
 とにかく良かった、感謝するぞ! すまんが腹ペコだ・・ もう動けん・・
 グリフィンに連れて行ってくれないか・・」

「・・・ はいはい♪・・ じゃ!クマ軍曹・・ 隊長を運んでくれる?」

「・・・ 了解です、少尉! で・・大尉・・ ヒポグリフは?」

「・・・ クマちゃん!そんな事より・・
     ねぇ隊長! 私のジムコマンドは?」

「解った解った・・ 1つづつ話すから・・ ちょっと待ってくれ!」

クマ軍曹のジムが近づき、セイバーブースターを抱き上げた
そしてバーニアを吹かしサイド5に方向を変える・・・

「・・・ で・・ 隊長ぉ・・ ちびった?」

「なにぃ? そう簡単にちびるかぁ! 誰かと違ってな・・」

「・・・ そっか・・ もっと近くを狙うんだったか・・ 残念!
     って、誰か?って誰よ!」

「あのぉ・・ 相手は少尉さんですよね・・
 どうして、おにいちゃんとタメ口なの?」

「・・・ だ・・ 誰? 何? 今の声? 隊長!誰かいるの?」

「あっ・・少尉さん、お初にお目にかかります♪
 おにいちゃんの専任砲手、ウーミン伍長です! お見知りおきを!」

「・・・ お・・ おにいちゃん? おにいちゃんって何?」

「・・・ た・・大尉どの・・またトラブルの種ですか?」

「おいおい!勝手に話をするな! で・・トラブルの種ってなんだ?!」

「・・・ だって! 女の子の声がして おにいちゃん!って・・ なによ?」

「女の子だって? ウーミン、名乗ったのに・・」

「だからぁ・・ 勝手に話をするなって・・」

「・・・ 隊長! 説明をお願いしますっ!」

「だからぁ、こいつはヒポグリフのボールパイロットで・・」

「ええ?『こいつ』ってなに?おにいちゃん! ウーミンを『こいつ』って呼ぶの?」

「だから・・ ちょっと黙っててくれ!」

「・・・ もう!そこの伍長! ごちょごちょ言わない!黙ってて!」

「ぷっ! 『伍長、ごちょごちょ』だって・・ オヤジギャグぅ!」

「・・・ えっ? なに? もう! そこの子むすめ!出てらっしゃい!
     ビームで焼き払ってやるわ!」

「・・・ しょ・・ 少尉どの・・ 落ち着いて・・
     大尉・・なんとかしてください・・」

「・・・ クマちゃんは黙って!!」

「おお・・こわぁ・・」

(あかん・・ 駄目だこりゃ・・)

「・・・ ねぇ! 隊長ぉ!! だんまりですか? ねぇ!!」

「・・・ あの少尉 話の途中ですが・・
     グリフィンとのレーザー通信が繋がりました!」

「・・・ もう・・ クマちゃんのバカ!」

「・・・ こちらグリフィン、ベリーベース! オーリンです
     ベリースリー応答ください・・
     哨戒コースから外れ、帰還ルートに乗っています! ご報告を!・・」

「・・・ こちらベリースリー ベリーベース了解です
     哨戒区域で漂流するセイバーフイッシュタイプの戦闘機を救助しました
     機体のキャノピーが鏡体のため、目視確認できてませんが
     通信にて搭乗員士官1名、下士官1名の生存を確認
     グリフィンに曳航中です。」

「・・・ ベリースリー了解です
     救助された戦闘機の所属は解りますか?」

「・・・ 機体の所属は不明ですが・・ ヒポグリフと推測・・
     士官と下士官の所属は確認しました!」

「・・・ えっ? ヒポグリフ? で・・士官の所属もそうなの?」

「・・・ いいえ・・
     士官の所属は・・ 第21独立部隊MS小隊って言ってますけど・・」

「・・・ ちょっとリン少尉・・ 冗談はやめてね・・」

「・・・ だって・・・  隊長なんだもん・・」

「・・・ ・・・ たいちょう? って ワサビィ大尉?」

「・・・ そう・・ とにかく連れて帰ります! 報告終わり!!」

「・・・ ちょっと リンちゃん! ねぇ! ・・・」

セイバーブースターにはレーザー通信の機器が搭載されていない
そのため、割り込んで説明する事もできず・・

(リン少尉・・ また怒っちゃったなぁ・・ 
 というか・・ このまま帰ったら、また大騒ぎになりそうだ・・
 とにかく一旦ジムとの通信を切って、ウーミン伍長とすり合わせをして
 おかないと・・)

私は通信機のスイッチを切り、ウーミン伍長に話しかけた・・

「なぁ・・ うみちゃん・・」

「なあに?」

「ちょっと調子が悪くなってないか?」

「だって あの少尉さん・・」

「おい・・ 少尉は上官だぞ・・」

「でしょ? おにいちゃんの方が上官でしょ? なんでタメ口なの?」

「それは、前の所属から一緒の部隊だからな・・ いつもそうだが・・」

「なんだ・・ やっぱり昔の優柔不断なおにいちゃんなんだね?
 さっきの戦闘前のデートの誘いで、性格変わっちゃった!って思って・・
 だったら解るな! やっぱり昔のままなのね?」

「ふん・・ そうは変わるもんか・・ 性格なんて・・
 でも、狙った女性は外さないぞ♪」

「嘘ばっかり♪」

「まぁ・・ いいか・・ これから私の所属艦に行くようだ
 公私混同しないよう、言動には注意してくれよな・・ 頼むからさ・・」

「了解です! おにいちゃんの立場が悪くなったら駄目ですよね♪」

「ああ・・ 良い子だ♪ 頼むぞ!」

「はい! 大尉どのっ!」

「・・・ あのぉ・・ 大尉どの・・ 」

「ん? なんだ・・ あっクマ軍曹 聞いてたのか?」

「・・・ はい・・ 聞くつもりは無かったのですが、ふれあい通信で・・
     ただ、なんとなく把握しました、妹さんですか?」

「いや・・ サイド1にいた時の知り合いだ・・ 
 サイド1での私の知っている、数少ない生き残り・・ ということだ」

「・・・ 幼馴染みたいなものですね・・ 良いですね♪」

「さすがクマ軍曹は話が解るな・・ 何かあったらフォローしてくれ♪」

「・・・ 了解です! 大尉どの! それとなくリン少尉には伝えておきますね」

「リンちゃんには、通信機も故障した・・って、伝えておいてくれ!
 多分通信を繋ごうとしているはずだ・・」

「・・・ はい! さっきから何度もトライされています・・」

「助かる 感謝だ! 借りができちゃったなぁ・・」

「・・・ いいえ、大尉は命の恩人ですから・・」

「おにいちゃん・・ 良い軍曹さんですね♪
 クマ軍曹さん! ウーミン伍長です! よろしくお願いいたします!」

「・・・ ああ・・ 伍長! こちらこそ・・」

・・・

クマ軍曹のジムに曳航され、目視でも小さな光点としてサイド5を確認できる
領域まで戻ってきた。

途中で何度かリン少尉がセイバーブースターの曳航を変わろうと、クマ軍曹に
持ちかけていたようだが、クマ軍曹は『大丈夫です』と最後まで私達を曳航してくれた
まぁ、リン少尉の目的は、ふれあい通信だと解っていたためだが・・

サイド5領域に入り10バンチコロニーに近づいてくると、
宇宙港上部のハッチが開いていくのが見える・・ グリフィンは宇宙港の中のようで
表には見えない・・ 外壁の損傷修理は終わったのだろうか・・

2機のジムと共に宇宙港の中に進入し、ジムがタッチダウン、
宇宙港のハッチが閉鎖され、急速にエアーが充填されると同時に、
ジムがセイバーブースターを拘束具にセットしてくれ機体が固定された

そんな中、通路扉が全開になり、マメハ艦長をはじめ数人が流れ込んでくるのが
見えた・・ マスミン特務大尉の顔も・・ ビジー軍曹やサミー曹長も・・
ん?ヒロ中尉もか? そういえば見た事が無い顔も・・

「大尉!! ヒポグリフのクルーもいますよ!」

「そうなのか・・ ヒポグリフは既にグリフィンと合流してたのか!」

みんな笑顔だ! 帰ってきたんだ・・ 嬉しさがこみ上げてくる・・
そんな中グリーンの表示が点灯し、セイバーブースターの鏡体キャノピーが開いた・・

「さて・・ うみちゃんから出てくれ・・」

「はい♪ 大尉どのっ・・」

コックピットからウーミン伍長が出ると『おお~!』という歓声が沸きあがった
ヒポグリフのクルー達が、歓喜の声をあげているのだ・・
彼女はボールでヒポグリフを守り、更にこの出撃で無事帰還した彼らのヒロインなのだ!

彼らがこの戦闘での彼女の戦果を知ったら、また驚くだろう・・
彼女は、リックドムを1機撃破、そしてムサイ級巡洋艦を2隻も中破させている!
こりゃ、エースだ♪

(さて次は私の番だな♪)

歓喜のシャワーを期待しつつ、私はゆっくりとコックピットから起き上がり
皆の方を向いた・・ が・・ (ん? なんだ?)視線が冷たい
ふと、マスミン大尉と目が合う・・ 先ほどまで笑顔だった顔が急変していく・・

「きっさまぁ~!! 一体何をやっていたのだ!
 狭いコックピットに、若いウェーブと2人きりで入って!
 そもそも口も軽けりゃ尻も軽い! 貴様など、もう知らん!」

マスミン大尉が食ってかかってくる・・ (うっ、ご・・誤解だ・・)
と、すかさず大きな声が・・

「マメちゃん! 一体あなたは部下に対し、どんな教育をしているのかしら?
 そして大尉! 手を出したり傷を付けたら、承知しないわよ!って
 ちゃんと言ったわよね! 覚えてて?!」

「いや・・ あの・・ タゴサ中佐
 これにはのっぺきなんねぇ理由があって・・」

「言い訳無用!」

「ちょっとタゴ・・ 黙って聞いてたら、あんた何を偉そうに言ってるのよ!
 で・・ワサビィ大尉! すぐに艦長室まで来て頂戴! 解ったわね!!」

と言い放ち、マメハ艦長とタゴサ中佐・・ そしてマスミン大尉がきびすを返し
デッキを後にする・・
通路に続く扉が閉じた後、あたりはシーンと静まり返ってしまった・・

そんな時、静粛を壊すような場違いな声が・・

「た~いちょ~ぉ またやったっすね♪ たいちょ~らしいや♪」

ヒロ中尉のたった一言でデッキの中に爆笑の渦が巻き起こった・・

<第31話>ソロモンへの足音」に続く・・・

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