「人間って、死ぬもんなんだよね……」

私が明日、死ぬとわかったら「自分にも相手にも優しくなる」
人間は、いつ死ぬかわからないんだ…みんなに優しくしよう。

ーーー『美は世界を救う』とロロ-メイが答えた…第八章、創造的精神… 03

2013-04-04 21:47:21 | 「美は世界を救うか」『美は世界を救う』
(P.142~)

【人間の自己変革】

形式を論ずるときに起こってくる ひとつの原理は、美を創造するときに それに伴って起こる人間の自己変革ということです。
どのような創造活動においても、私たちは 世界を破壊し、それを また作りなおすのですが、それと同時に 必然的に、自己自身をも 作り変えるのです。
自分を変える といっても、『華麗なるギャツビー』(The Great Gatsby) ( アメリカの作家、スコット-フウィッツジェラルドの1925年の作品 ) の悲劇のような意味で そうするのではありません。
グレート-ギャツビーは、その服装だとか、アクセントだとか、銀行の通帳など、いわゆる外面的なものだけを 変えたのです。

私たちは むしろ、宇宙における形式の もっと深いレベルを理解した上で それを変えるのですが、それはまた 自己自身でもあるのです。
私たちは 自分の眼前の光景を 想像のなかで見るのですが、そのことは ある程度 自分の自己を見ていることでもあるのです。
そう言えば いささか奇妙なパラドックスのように 聞こえるかも知れませんが、そうしたことは、どんな創造的な人にも あることなのです。
「創造的な人は、自分の仕事をしているときに、自分の生涯の努力について 見通しを もっていることが多いのです。
つまり、自分で自分自身 小宇宙(コスモス) を創造しているのです」と、創造性研究の心理学者 フランク-バロンは 述べております。
いわば どんな精神でも、人生を 生きすすんで行くうちに だんだんと自分を ひらいていくのです。
創造的な人間というのは、自分の音楽とか 美術のなかから ある秩序を生み出そうとするばかりでなく、自分自身の人生のなかにも ある秩序を作ろうとするのです。
芸術のなかでは 自分の形式を たえず探求していくのですが、そのことは 自動的に自分自身の統合を求めることになり得るのです。


そのことの もっともはっきりした例が ベートーベンの生涯なのです。

(つづく)