囲碁とロック

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【コミ】囲碁は引き分けにならないようです。

2020-07-17 14:41:14 | 囲碁アート

こんにちは、囲碁アートの関です。

 

「ここから囲碁すると引き分けになるんですよ~~」

 

ということを、囲碁アートを紹介するときに言います。

 

引き分け。

つまりいい勝負の囲碁にしていることで、

碁石で並べただけではなく、「囲碁」そのものの上に形を作っている

そこに囲碁アートの個性がありそうです。

 

これはコンパクトな「E」です。ここから囲碁できます。

 

黒から開始です。右のほうの白の陣地を小さくするように。

 

白4で終わり。もう陣地は増えないし、減りません。

 

左の×が黒の陣地。5目(もく)です。

右の▲が白の陣地。やはり5目です。

これで引き分けとなるのでした。

ほかのもろもろの作品も、大きさは違えど、こうなるように作ってあるわけですね。

 

・・・しかしそういえば

囲碁は勝負事でした。

実際のプロの勝負で「引き分け」になってしまったら、どうするのだろうか

 

って思いませんか。

 

大丈夫、なんとかなるようにしているのです。

こちらをご覧ください。

 

日本棋院のサイトから引用しました。

あるタイトル戦、五番勝負(3回勝てば優勝、タイトルを貰える)の記録です。

右側には結果が書いてあり

「黒番半目勝ち」「黒番1目勝ち」「白番半目勝ち」

など、「」という表記があります。

数字の1は陣地の差っぽいのでわかる気がしますが、半とは。

(「中押し勝ち」は、最後までいかずに「負けました」と投了する、KOみたいなもの)

 

これは「陣地0.5目ぶん」ということを指しています。

実際の碁盤の上には、「0.5」なんていう数字は出てきません。

 

コミ」というルールがありまして、

白の陣地を「6.5」プラスして計算する、というものがあるのです。

これは

・囲碁は先に打つ黒のほうが有利なので、互角にするため。

・0.5をつけることで、引き分けをなくすため。

という機能があります。

 

上のタイトル戦。最初の「黒番半目勝ち」は、本当は

碁盤の上では黒7目勝ち

になっています。例えば黒が50、白が43の場合では、黒が7目勝ちになりそうです。

ここに「コミ」を入れます。

白が6.5増えて・・・49.5に。

差は「0.5」、つまり「半目」の勝ちとなりました。ギリギリの勝利だったんですね。

 

「白番半目勝ち」に至っては、碁盤の上では黒が6目勝ち。

黒のほうが陣地が多いのに、「コミ」により白が勝ちになります。

 

これがあるおかげで、トーナメント戦がスムーズに進みます。

たまたま黒を引いた人が超有利になったりしないし、

引き分けが起きたから、後でもう一回やりなおす・・・みたいなことも(ほぼ)無くなります。

合理的。

 

 

しかしよくよく考えてみると。

実際の碁盤の上には「無い」ものについて、勝負しているときに考えている状況が出来上がっています。

0.5目の陣地を、私はこの目で見たことはありませんが

確かに、勝負の運命を握っていますし

囲碁を打つほとんどの人が、これを当然のものとして受け入れている。

 

こうなったら半目勝ち、一回ミスすれば半目負け

目の前の碁盤には引き分けがあるように見えるのに、そこにピッタリと着地できない。

 

自然界のものや、物理的な存在を超えたところにも、現実的なものを作り出すことができる

すごく人間らしい営みなんじゃないか、と思います。

囲碁の勝負をしている人は、頭の中ではメタ的な場所で争っている、というお話でした。

 

・・・が、これがしっかり定着したのは、ここ何十年かの話です。

長い囲碁の歴史。昔は引き分けがあった、でも勝負が成り立っていた

という話を次回は書きたいと思います。

 



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