農業を合理的かつ高度の産業に近づけるために経営的視点(利用の観点)から農地の所有と利用の有り様を見直す農地改革。
しかし政治の混迷から農水省は農地税制見直しを封印し、賃貸借規制緩和も後退させたというのがこの記事の概要。農水省がサボタージュ?に入ったという記事か。
本日様々な人からこの記事に対する問い合わせがあった。
日経新聞、ときどき財務省ルートのやまった農業観測記事を載せることがあるが、この記事はまとも。先週の朝日の「農地改革ぐずぐす、企業参入うやむや、具体策わずか」と同じ事象を捉えているもの。しかし「具体策わずか」が、「封印、後退」と強烈に、
これほど政治に左右されるものなのだろうか。
もともと農業は政治に翻弄された産業。
日本の産業は、60年代半ば頃、特振法の3度に渡る廃案で、官の支配を抜け出し民の優位を確保した。
しかし、農業は、未だにそうはなっていない。その理由は民が自ら自立を拒否していること。農業団体が、行政の撤退は許さない、、などといって官にしがみついている。
「官の介入、民の非自立」に政治を巻き込みながら拘泥しているのがわが国の農業団体。
スローガンは、どんな場合にも「行政と一体となった取り組み」。
そのため、霞ヶ関はもとより、都道府県県庁、各市町村の農水関係職員の実に多いこと。商工のおよそ4倍の人件費がかかっている。
政治は、なかなか合理的な判断ができないものと知ってはいたが、これだけの混迷状況になると、あきれてばかりはいられない。
民主党、二大政党制を目指すなら、国会で論戦をし、たとえ何も決まらなくても、論議を国民に提示し、選択を迫ればいい。
徹底抗戦から一夜にして闇の大連立に変わるよりははるかに分かりやすいし国民も安心する。
民主党には政策論議できる議員が結構いる。
兼業農家優遇対策を打ち出した民主党への異論はあるにはあるが、急に品目横断も兼業優遇対策も一緒、今のままが一番良い、、とやられるより、徹底して論点を明らかにして国民の判断を仰いだ方がわかりやすい。
さて、こうなると規制改革会議も、諮問会議もどの様な政治の非合理にもまれることになるのだろうか?
以下日経記事
農水省、農地税制見直し封印、賃貸借規制緩和も後退、政局混迷で。2007/11/07, 日本経済新聞 朝刊, 5ページ, , 381文字
農林水産省は六日、農業の生産性を向上させるための農地改革案をまとめた。農地の有効利用を促進するため、賃貸借の規制緩和や耕作放棄地を五年後をめどに解消する目標などを盛り込んだが、政治情勢の混迷の影響で踏み込み不足が目立つ。実施時期も「遅くとも二〇〇九年度中」に先送りしている。
安倍晋三前政権下で始まった農地改革は、株式会社などの新規参入により農地の有効利用を進め農業の生産性を引き上げる狙い。農地の貸借に関する規制緩和は当初「有効利用する限り原則自由」とする方向だった。だが農業団体などから反発が強まり「規制を見直す」とするにとどまった。
農地流動化を促す税制見直しについては言及すらなかった。農水省は、農地を貸し出した場合でも相続税の優遇措置を受けられるようにする方針だったが、「政治情勢が不透明でお蔵入りする恐れがある」(農水省幹部)として完全に封印した。
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