今日の一貫

日本後退が続く。経済財政諮問会議廃止まで政局に

日経新聞に、我が国の改革が後退し、成長が停滞し、我が国が経済二流に朽ち果てつつある状況が、リーダーシップを取れない政治にあるとの論評が、4月6日の日経に出ている。経済財政諮問会議も廃止しようとする国民新党の参議院提案に民主党も賛成するという。
経済成長の是非が、政治課題、、というより政局にされはじめた感じだ。
これから日本の後退が続くことになるのだろう。

以下、平田育夫さん。4月6日日本経済新聞。
「優しい宰相」いつまで?――加速する反改革派の勢い(中外時評)2008/04/06, 日本経済新聞 朝刊, 論説委員 平田育夫

 米国の二十ドル紙幣にある肖像画はジャクソン第七代大統領。選挙権の拡大や公立学校の普及など様々な改革で知られる。そのジャクソン大統領は孤児としての生い立ちや米英戦争での軍功から元々、人気者だった。サッチャー英元首相が改革路線を厳格に貫けたのも、フォークランド戦勝利による国民の支持の高まりがきっかけだ。
 民主社会で厳しい改革に成功するには指導者の人気が重要な要素のようだ。レーガン改革や小泉改革をみてもしかり。
 わが福田康夫内閣の発足時の支持率は本社調査で五九%。かなり高かった。沈着冷静な人柄で、ねじれ国会でも何かやってくれそうな印象があった。
 ところが首相は国民の高い支持にもかかわらず、それに背を向けて、官僚や与野党との融和路線をとる。安倍晋三前首相が官僚と対立し参院選敗北の一因になったし、ねじれ国会では民主党と協調するしかないと判断したのだろう。
 この「優しい宰相」を反改革勢力が放っておくはずがない。政治家、官僚、関連業界が再び結束を強め、エネルギッシュに改革阻止に動き始めた。
 福田首相は消費者保護政策や、公務員の人事を一元化する内閣人事庁の新設などで地道に点数を稼いではいる。しかし大きな案件では前進がみられない。先に道路財源の一般財源化を表明したのは英断だが「ここまで追い込まれて、やっとか」とため息をつきたくもなる。
 その一方で反改革派は着々と“成果”をあげている。昨年末には独立行政法人改革の焦点だった「都市再生機構」の賃貸住宅事業の民営化と「住宅金融支援機構」の組織見直しに国交省などが反発、結論を二―三年、先延ばしすることになった。
 農業分野では、農地の大規模化を目指し昨年始めた政策が骨抜きになる恐れがある。大規模の農家に限って補助金を支払う制度を改め、市町村の判断で小規模農家にも補助金を交付できるようにするからだ。
 政府の地方分権改革推進委員会は中央省庁に地方出先機関の縮小・廃止を求めているが、省庁側は「ゼロ回答」(丹羽宇一郎委員長)を繰り返すばかり。地方分権は停止状態だ。
 今年一月には、医療費削減で注目を集めた開業医の再診料の引き下げが先送りとなった。診療報酬を決める中央社会保険医療協議会が日本医師会の反対を受けて、当初の引き下げ方針を引っ込めたからだ。
 公共職業安定所(ハローワーク)の紹介業務を官民の競争入札により民間に委託できるようにするための市場化テスト法改正案では、民主党が自治労の意向を受け反対に傾いている。
 反改革派の矛先は改革の立案者にも及ぶ。首相の参謀役だった経済財政諮問会議を廃止する法案を国民新党が準備し、参院に提出する考えだ。民主党の参院議員は「法案が提出されたらわが党は賛成する。自民党にも賛成の人はいる」という。
 「(諮問会議民間議員ら)選挙で選ばれていない人が強い力を持つのはおかしい」と国民新党の自見庄三郎参院議員は言うが、代わりの改革立案組織がないまま経財諮問会議を廃止すれば、改革はますます滞る。
 改革が停滞して困ることは多いが、特に、経済成長のための規制改革や財政健全化策が遅れると打撃は大きい。
 例えば医療改革。「医薬品も医療も成長産業」。そう語る八代尚宏・経財諮問会議民間議員(国際基督教大教授)は、混合診療(保険診療と自由診療の併用)の解禁や、再生医療の促進策を提唱するが、難しい先端医療に追いつけない開業医らは、混合診療の解禁に猛反対する。
 また農業改革が遅れると農産物市場を開放できないので、オーストラリアや欧州連合(EU)との経済連携協定交渉が進まず、製造業は痛手を受ける。
 反改革派に「優しい」宰相を福田さんはいつまで続けるのか。民主党も地方分権などの問題では与党の改革推進派と通じる面があるのだから、ねじれ国会でもある程度の改革はできるはず。政府・与党内をまとめきれるかどうかの問題だろう。
 首相は今こそ、道路財源の一般化で見せたように経済改革を望む国民に顔を向けるべきだ。つい半年前に高い支持を得ていた事実を忘れないでほしい。
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