今日の一貫

個の時代 野菜の産地が変わってきている

野菜の大規模産地に異変が起きている。
規模拡大を行って来た大規模産地が縮小しはじめ、小規模な野菜産地が増えている。
2000年以降の新たな動きだという。
2005年センサスと2000年センサスを比較した香月さん等の研究。
一つの町で200ha以上の単一作物(たとえばねぎ、はくさい、人参、など)を生産し、農協共販で大量流通、大量消費のパターンに持ち込んできたのがこれまでの強い産地。
しかし、そうした産地の縮小が2000年以降はじまっている。
かわって、5ha未満の小規模産地が増え、5から50ha規模も増えている。
これは大規模産地の規模が縮小して小規模に成ってしまって小規模参地が増えたというのとも違うようだ。

あらたな小規模産地が増加している。

これはかねてからいってるように、消費構造が変わってきているせい。
農産物直売所での売り上げが増加し、消費者は、小口のいい産地、物語性のある産地を選考するようになってきた。したがって、小規模でも良い生産者の顔の見える産地の優位性が高まっている。
他方、大機墓参地は業務用・加工用にまわる確率が高い。野菜の消費は、生食5割、加工業務用5割。で、後者にまわる確率が高い。そうなると外国産と競合してしまい、コスト競争になる。大規模化になればなるほど、兼業農家を巻き込まざるを得ず、高齢者も多くなり、弱体化しがち。

流通も二極分解していて、それが産地構造にいよいよ表れてきたというもの。
米の流通もそうではないか。
個人農家の米販売と大規模卸が供給する米との両極分解。
両者は「米という商品」の質が違うものと思った方がいい。
製品の完成度は、明らかに「全農ー大規模卸(精米業者)」の方がいい。
精米精度も、カメムシ被害等の異色米混入も、コンタミも、トレーサビリティからさらには価格まで、あきらかに立派な非の打ち所のない商品を作っている。
農家の米はこれらに明らかに劣っている。ところが、人々の一部(150万トンぐらい)はそれでも農家の米を選ぶ。

個人でも産地となりうる時代だろう。
これもかねてからいってるように、単純に規模拡大、大規模化すればいい、というものではない。
重要なのは、自分のお客、マーケットを真剣に見る目ではないだろうか。
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