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迷走コメ農政 産経ニュース 佐伯スクール 松島、吉田、そして

産経ニュースが4回にわたって「迷走コメ農政」を連載した。
2ヶ月も前の3月15日から。この記事最近まで気付かなかったモノ。

1回目は、歯止め利かない価格下落、2回目朝令暮改担い手を翻弄、3回目与野党議員に聞く、4回目売れるモノ作る新たな胎動。

この中で佐伯尚美先生が非常に良いことをいている。
佐伯先生、やはり未だにコメ学者の第一人者だ。
お幾つになられるのだろうか?
東大経済学部を定年退職し、何かのお祝いを上野静養軒でしたのが、97・8年だったような気がする。大阪市大の松島先生が音頭を取り、吉田俊幸やらが主宰したモノ。アレは、70歳のお祝いだったろうか?
とすると、本年御年、80歳になんなんとしているのか。
コメ政策研究には、実は、佐伯スクールがある。
佐伯先生大内力先生の後継者。
しかし、宇野経済学の問題点は、現状分析が弱いこと。
そこで、農業の現状分析をかって出た。
農林金融やコメがその対象。

そうした中で、制度的な課題を追っていった。名著「食管制度」東大出版会はこうして生まれた。
ガット、農協金融、住専、そして近年は独立行政法人、など、対象とする課題はいつもその時代時代の国家の課題になっていることが多い。そうした意味では、現状分析の経済学者だ。どだい経済学者を理論学者、現状派と区分けすることもおかしいのだが、こうして先生は、若かりし頃勉強した宇野派をはるかに超えた?感がある。

ところで、コメの現状分析にかけては、当時から農学部畑の農業経済学者の得意とするところ。自称歩き屋を持って任じる学者があまたいた。梶井功先生、今村奈良臣先生もらもそうした人々。
そうした中で佐伯先生違った視点を持っていたのだろう、四半世紀も前の話だ。
そこで、、コメ問題をやろうと誘われたのが、吉田や私。
松島先生は、そのころ佐伯先生の後継者?(あるいは手足?)としてコメ分析の中心を担っていた。
これに時に日経の岸さんや他の研究者も含め、研究会や調査が盛んに行われた。
私がコメ流通や、コメ制度に首をつっこむようになったのも、これがきっかけ。
学会報告を故馬場昭先生がアレンジしてくれ、佐伯先生共々報告したことがある。吉田俊幸先生も佐伯先生がきっかけでコメの世界へ。松島、吉田、大泉の順で、コメの専門家になっていた。いずれも団塊の同じ歳。いわば、米に関しては、佐伯スクール。しかし宇野派の影響はほとんど無い。


話が長くなったが、その佐伯先生、佐伯スクールの代表とあって、良いことを言っている。
以下産経ニュースから引用しよう。

以下引用
コメ農政について多数の著作や論文がある日本農業研究所の佐伯尚美研究員は、コメ作りの再生に「4点の改革が必要」と指摘する。
一つは、生産調整の段階的廃止だ。「供給の抑制で価格を維持することはもはや不可能。30年以上続いた生産調整をどのようになくすかが課題」という。

二つ目は、統制型から市場型への転換。「昨年の米価急落で国は今年から、かつての食管法時代のような政府規制を強める選択をしたが、本来は市場原理に委ねるべき」。

三つ目は、価格下落に対するセーフティーネットの整備だ。「昨年、政治的要請で、国は下落する米価の下支えのため過剰米34万トンを買い上げた。従来の買い上げは市場価格に影響を与えないようにしていた。場当たり的な日本政府が今後どうルールを整備するか」と国の対応を注視する。

四つ目は担い手政策の整備。「流通も価格も自由化された中で規制を強めても、生産調整は目標を達成できず、平成20年産米はさらに下がるだろう。大規模農家と集落営農組織といったコメ作りの担い手の育成が急務。そこに限定した直接支払い制度への転換が必要」と指摘する。

ちなみに先生、「コメ政策改革Ⅰ・Ⅱ」農林統計協会を著しているので紹介しておこう。
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