しかし、朝日は、「経済財政見通しの後退」によって失政を指摘している。
意欲をとるか、実績をとるかで、評価が180度違っている。
たしかにプライマリーバランスの11年実現は並大抵ではない。
もともと黄信号がともっていて、それをきっちりやるのが政権に課せられた課題だった。それが赤信号に変わりつつある。
並大抵ではないところに、「07骨太」のようなゆるゆるをやっていてはこうした結果になるのは当然だろう。
朝日の評価が正鵠を得ていると思う。
以下7日の朝日新聞
内閣府は6日、1月に閣議決定した経済見通しを修正し、政府が財政再建の目標にしている2011年度の経済財政状況の試算を改定した。デフレ脱却の動きが鈍いことや、税収見通しが予想よりも少なかったことを反映させた結果、財政再建目標の物差しである「基礎的財政収支」を下方修正。政府の財政再建のシナリオに黄信号がともった。
基礎的財政収支は、国債の元利払いを除く歳出を、借金に頼らず税収でまかなえるかどうかを示す指標。現在は赤字だが、政府は11年度での黒字化を公約にしている。
1月時点で内閣府は、
(1)経済成長戦略の効果で生産性が向上
(2)女性・高齢者の労働参加率が上昇
(3)世界経済が堅調に推移
(4)5年間で14・3兆円の歳出削減を実行、といった前提で試算。
11年度の同収支は0・2%(1・4兆円)の黒字になるとの見通しを示した。
しかし、06年度の国税収入が、法人税の伸び悩みによって、補正予算での見積もりより1・4兆円足りなかったことが判明。物価の上昇が緩慢で、当初は「年率3・9%」と見積もっていた11年度の名目成長率も0・2ポイント下方修正した。大田経済財政相も会見で「デフレ脱却は『後ずれ』している」と、見込み違いを認めた。
こうした修正により、11年度の基礎的財政収支は黒字を確保するものの、黒字幅は0・01%(400億円)へと大幅に下方修正。成長戦略に失敗したり、歳出削減が最大限には実施されなかったりすると、11年度も赤字が続く可能性がある。
6日の経済財政諮問会議では、尾身財務相が「財政健全化の状況は楽観できる状況ではない」との懸念を表明。民間議員も08年度予算編成で、公共事業の3%削減や、国と地方を合わせた社会保障の3200億円抑制を求め、歳出削減方針の維持を提案した。
また、内閣府が示した足元の経済見通しは、07年度の実質成長率が2・1%と、昨年12月時点の見通しから0・1ポイント上方修正した。(大月規義)
◇遠のく賃金上昇(くらしの視点)
政府の経済財政見通しが「後退」したのは、物価見通しの甘さに原因がある。
内閣府は昨年12月、総合的な物価の動きを示す国内総生産(GDP)デフレーターが、07年度は前年度に比べ0・2%上昇すると見通していたが、今回、0・0%の横ばいと下方修正した。原材料の高騰が最終商品の価格に転嫁されて企業の売上高が増加し、労働者の賃金も上昇する、というシナリオは、いまだに実現していない。
デフレからの脱却は、政府が公約にしていた期限の「06年度中」が守れなかっただけでなく、07年度中も難しそうだ。
少し早いが、こうした情勢を踏まえて来年の春闘を占ってみると、今年と同様に、極めて低い水準での交渉となりそうだ。
■改定された2011年度の経済財政モデル
<1月時点からの改定内容>
実質成長率 2.5%→2.7%に上方修正
名目成長率 3.9%→3.7%に下方修正
GDPデフレーター 1.3%→1.0%に下方修正
基礎的財政収支 1.4兆円黒字→400億円黒字に下方修正
(効果的な成長戦略と最大限の歳出削減が前提)
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