今日の一貫

人材育成ってこんな事か ニート対策

農水省のニート対策への意見

1,「農水省のニート対策」として最初の記事を出したのは朝日だった。11月27日だ。
その後予算が明らかになった一月後の12月27日以降、各紙に出たこともあって、この「農水省ニート対策」は、結構話題になっている。
農水省とすれば、にんまりと言ったところか。

先駆者朝日に敬意を表して記事を引用すれば次のとうり。
ニートたちよ、農業やらないか 半年体験合宿、就職先も紹介 農水省2005/11/27, 朝日新聞 朝刊, 3ページ,
 仕事も通学もせず、職業訓練も受けていない「ニート」と呼ばれる若者やフリーターたちの就農を、農林水産省が支援する。半年間の泊まり込み合宿で農作業に必要な技術や資格を身につけさせ、終了後は希望者に農業法人などの就職先を紹介する。高齢化や後継者難に悩む農村では「フリーターやニートたちの就農に期待する声が多い」(農水省経営局)という。
 就農支援は06年度から始める。都道府県に設けた相談センターや各地のハローワークを訪れた若者たちの中から、農業に関心があり、面接などで適性ありと判断された人に合宿研修を紹介する。
 合宿は茨城県と長野県の3カ所にある民間の農業研修施設で行う。大型特殊自動車やフォークリフトなどの運転も指導する。ニートには、生徒指導の経験がある高校教員OBが生活面の指導も行う。
 農水省は事業予算で1億円を計上。年間約100人のフリーターやニートの参加を見込む。宿泊費と食費は自己負担が原則だが、国が一部を助成することも検討しているという。

ちなみに新規就農等促進総合支援事業 図 と、新規就農等促進総合支援事業
を参照して、この事業にご理解くださいといいたいところ。


2,だが、この対策には若干、違和感がある。
一つは、「ニート対策」ってこんなに単純なことか、という疑問。
成熟社会では、個が浮遊し、ブラウン運動を始める。帰属社会が不明確になり、自分の都合で動くようになる。
よく言えば自分の価値観で動く社会。

だが、人は、そんなに確固とした価値観を持っているわけではない。
日常に流されているうちに、学習の機会がなくなってしまった。
就業の機会も、また失われてしまう。社会との関係の取り方も、難しくなってくる。
そんなとき、農水省がニート対策に乗り出すというのだが、三ヶ月合宿させる事自体がまず、難問ではないか。
グリーンツーリズムや、農業体験、食農教育といった施策と、ニート対策は根本的に違うように思うのだが。社会問題へ本格参入という感じではないのが、違和感の一つ。

第二は、新規就農対策のスタンスについて。
事業説明を素直に読めば、「ニート64万人、フリーター213万人、団塊定年者、うじゃうじゃ人がいるじゃないか、農業法人さんよ、ここにこれだけの労働市場があるから利用しない手はないよ」、といってる感じなのだ。

もともと、新規就農対策って、農家に「農業をもっとまじめにやったら」っていうのが先なんじゃないのか。

そういうと必ず返ってくるのは、「農業は儲からないから」とか、「職業選択の自由があって、農家のひと達は既に他の職業についている」のどちらか。「だから農業の後継者はもういない」、につながる。

とするなら、農業という職業にも早く選択の自由を保証しないと、社会的不公正が増大するのでは。「儲からない農業ですが、農業をやるのは自由ですから、皆さんやりませんか?」っていうのが筋じゃないの?

農業は農家しかやれない。農業は会社の参入はダメ。農業は、NPOの参加はできない。17年9月の法改正で少々穴はあいたとはいうものの、こうした仕組みを温存させておきながら、ニートやフリーターならいいよと言うのは、いかがなものか?彼らが本気になったら、「あんたは農家ではないから、5000平方㍍の農地を買う金を持ってないと、実は農業経営者にはなれないんだと」、なんてのが待ってるんじゃないでしょうね。

「儲からない」というなら、「儲ける力量を持った人」や「農業で儲けたい人」さらには、「儲けなくてもそこそこに農業をやれれば幸せ」と考える人たちに解放した方がいいのでは。
本当に「儲からない」と思っているなら、そんなものをニートにやらせるのは罪なことではないのでしょうか?
順番としては、農業自体を「国民すべてが就業できる」ものに制度変換し、国民に解放してからニート対策などを叫んではどうなのかなーというのが、正直な感想です。どうも順序が逆の様に思うんですが。

順序が逆だと、官僚の予算取り、居場所づくり、などと痛くもない?腹を探られるのでは、と心配?です。

やはり「新規就農事業」は、制度を変えないのであれば、つまり現行の制度であるとすれば、農家自身の就農支援を第一に考え、第二に農家以外の人々の就農希望者を考えるとするのが筋というものでしょう。何なら農家子弟ニート対策が優先課題かも。
ニート対策で農業新規就農事業を当て込むのは、相当の覚悟が必要のように思うのだが。

とはいえ、制度を変えないままやるというこんな話は、実は小さい話でしかないのだ。それを、ちょっと目先を変えてニートやフリーター対策なんて言うから、「ちょっといい話」でマスコミが飛びついたのが運のつき。「やぶ蛇にならなければいいが」と心配するのです。







コメント一覧

Unknown
参考に
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まずは、意識改革からではないなしら?
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一貫
どーも
http://blog.goo.ne.jp/ikkan_2005/
みやっちさん

コメントどーも。

私は、むらとまちに関心を持っている人間です。
一貫
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http://blog.goo.ne.jp/ikkan_2005/
shusyokukatudo様

役に立つサイトですね

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よろしくお願いします。

みやっち
農業経営の変革があってこそ
http://blog.goo.ne.jp/miyacchi_z/
TBありがとうございました。

やっぱり、農水省のニートフリーター対策を聞いて、農家そのものへの対策が先だと思いますよね。

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