本日大泉の講演の要旨
1,農業のミスマッチ
農業は農家に囲い込まれているため衰退した。しかし、農家では農業をする人が圧倒的に減少、高齢化しているが、他方、国民的には農業に興味を持つ人が増加しており、ここにミスマッチが生じている。
2,衰退させた要因は我が国の農政(下記の二つの○が衰退させた)
○我が国の農政の特徴(中央集権的な単なる業主論)
わが国の行政は、創造と言うより啓蒙的色彩を強く持たせることになる、特に農政はその色彩が濃く、「農家はほとんど考えなくてもいい」という状況におかれた。
昭和初期の農政の体系をつくった東畑精一は、農業も産業だとすれば企業者(経営者)が必要だが、「農家ははたして企業者なのか、単なる業主」ではないかと疑問を呈している。中央集権的啓蒙的、単なる業主、が農政のフレーム。
○,我が国の戦後農政の特徴(農村での有効需要創造策に特化)
戦後高度経済成長期の農政は、農村住民としての農家の有効需要創造に特化したものだったために、経営者の育成には無頓着だった。
農家の所得形成、有効需要創造策として、政策は高米価、兼業維持、資産保全の政策を講じる。
内容は、①需給動向を無視した「米価の維持」、②「従事者」を「耕作日数60日」(常時従事者は150日以上)にするなど農地法違反にならないよう読替をしてでも行ってきた「兼業農家維持」、③ゾーニングがありながらスプロール的な転用を認める「農地資産保護」という三つの手法の利用である。これら高度経済成長期の三種の政策手法は確かに「豊かな農民」を作ったが農業は衰退した。
3,農水省もミスマッチ解消をすべく農政改革に打って出た
農水省は、対象を農家以外にも広め、「あらゆる就農ルートを通じて多様な人材を確保」し、同時に「法人経営など多様な経営形態の展開を図る」(「食料・農業・農村調査会報告書」)必要があるとした。さらには「市場原理の浸透による農業経営者の育成」を謳った。
4,しかし農水省の改革は、農家(自然人主義)であるため新規参入が不可能。
5,農水省は、92年以来、なし崩し的に法人を担い手に加え、99年の基本法で、我が国の担い手は、法人、自然人(農家)の二つとした。
6,しかし、農地問題等、法体系は、基本は自然人主義、バイパスは法人も入れたものという、矛盾が生じている。
7,農地の体系を改正せよの動きがある。しかし、現在の農村の体制は、すべからく農家主義(自然人主義)のため困難を極めている。
8,内閣府から、会社の参入に関する規制緩和の要望が相次いでいる。
9,自然人が所有する農地は、その所有と利用の分離が課題となっている。
10,農業団体の再編も同時に考える筆世があるといわれている。
11,このようにして、ミスマッチを解消して農業の活性化、産出額の向上を目指せ。
というのが大泉の話の要旨。
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