今日の一貫

新潟コシヒカリ ブランド崩壊の危機

新潟コシヒカリに関する話題二つ。
一つは、地域ブランド(地域団体商標)制度が、4月1日にスタートしてから10日間で324件の出願があったが、そのうちコメは、11件。ほとんどが新潟県産米。
(山形おきたま産はえぬき、新潟県産コシヒカリ、魚沼産コシヒカリ、岩舟産コシヒカリ、佐渡産コシヒカリ、新潟米、魚沼米、岩舟米、佐渡米、京都米、丹波ひかみ米)このうち、おきたまと、ひかみが農協の出願、他は、全農県。
新潟米は、ブランドに頼ろうとする姿勢が浮き彫りになっている。
実際、全農は、新潟コシヒカリを、プライスリーダーとして、コメの価格維持を図ってきた。地域ブランド登録も頷ける点である。
ただ、この地域ブランド、問題も生じている。専業農家が自分のコメを、新潟コシヒカリと呼べなくなるかも。これから審査が始まるのだが、申し立てや異議申し立てがでてくるのは、必定。業界で一般的に使われている場合には、登録の取り消しも可能。

新潟コシヒカリの第二の話題は、不人気がこの間際だってきたことだ。考えられないほどの販売不振に陥っている。4月20日、21日に行われた、11回入札で、上場1万2千トンにたいし、落札、486トン。4%の落札率。10回は、6,1%。11回の平均は31,9%だから新潟コシヒカリの販売不振が浮き彫りになっている。また業者の申し込み倍率も、0,1でしかない。昨年は、作況は低かったせいもあるがそれでも、3,7倍あった。
業界で考えられている理由は二つ。
一つは、新潟一般がロット数が大きいこと。ロット数の小さい岩舟や佐渡の落札率は12,7%と33,0%とそれほど低くはない(ただし10回では、12%、14%と落ちている)。魚沼に至っては、100%の落札率だ。
二つ目は、18000円という価格。高すぎるのだ。
三つ目は、高い割に、食味はいまいちということ。これには昨年品種を変えてしまった新潟の戦略が裏目に出ている。新潟県は、コシヒカリを新たな品種のコシヒカリBLに全面的に変えてしまった。これはまさに生産のロジック。流通業界を無視した行為と言っていい。市場の怖さをしらなすぎる行為だろう。市場が今さめた目で、新潟コシヒカリBLを見はじめたのだろう。

つまり地域ブランドとして登録しようとしている新潟コシヒカリのブランドは、戦略ミスによって、崩壊の危機に立たされている、ということ。

このことは一人新潟だけの問題ではない。
実は、全農のコメ販売戦略全体が崩れてしまうのだ。
この点に関してはもっとトレンドが明確になってから書くことにしよう。
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