因幡屋ぶろぐ

劇評かわら版「因幡屋通信」主宰
宮本起代子による幸せの観劇記録。
舞台の印象をより的確により豊かに記せますよう・・・

龍馬伝第24回『愛の蛍』

2010-06-14 | テレビドラマ

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 龍馬の幼なじみ亀弥太(音尾琢真)が、池田屋に乗り込んできた新撰組に惨殺された。悠々と引き上げる新撰組に挑みかかろうとする龍馬を桂小五郎(谷原章介)が押しとどめる。京の街はあぶない。龍馬は日が暮れるまでお龍(真木よう子)のうちで過ごす。土佐では吉田東洋暗殺の下手人をめぐって岡田以蔵(佐藤健)が後藤象二郎(青木崇高)から激しい訊問を受け、武市半平太(大森南朋)はいよいよ追いつめられる。

  龍馬は病弱な母親(大西多摩恵さん!)と弟妹たちを支えているお龍の境遇をしる。子どもたちに歌を歌ってやったり、自分のためにお龍がこさえてくれたお弁当のほとんどを子どもたちに食べさせてやったり、相変わらずどこへ行ってもあっと言う間にその場に溶け込んで人気者になるのである(苦笑)。一方土佐では相変わらず朝も昼も夜も坂本家にいる乙女(寺島しのぶ)である。また「まわりの人たちは岩崎の息子は自分のことしか考えない人だというが、弥太郎さんはほんとうによい人だ。」とまことに飾り気のない言い方をする武市の妻の冨(奥貫薫)がいて、この上品で美しく、裏表のない武市夫人にかかってはさすがの弥太郎もいつもの毒舌が鈍るらしい。

 2004年放送の『新撰組!』(三谷幸喜脚本)を自分はとても楽しんだのだが、龍馬伝に登場する新撰組は幕府に逆らうものは問答無用で斬殺する恐ろしい組織にみえる。ある人物がドラマの作り方によって別人のごとき造形になることは割り切ろうと考えるが、その人物はたったひとりしか存在しないのに、いいのだろうかと戸惑いも覚えるのだった。人物のなかには、ドラマの作り手によって配役に相当の振幅が可能な人もある。勝海舟などは特にそうだろう。今回の武田鉄矢はじめ、記憶をたどれるのは5~6人だが、みごとにぜんぶ違う。同じ人物なのに。ドラマはドラマとして楽しみながらそれを鵜のみにせず、関連書を読んだり、人と語らったりして自分なりの人物像、歴史観を作っていけばよいと思う。ほんとうはどんな人だったのだろう、どんなことを考えていたのだろう。その疑問に対する答は簡単にはみつからない、不可能かもしれないが、それでも考え続け、想像してみたい。

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