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因幡屋ぶろぐ

劇評かわら版「因幡屋通信」主宰
宮本起代子による幸せの観劇記録。
舞台の印象をより的確により豊かに記せますよう・・・

危婦人『江波止さんちのにぎやかなひなまつり』

2008-03-03 | インポート
*スギタクミ作・演出 公式サイトはこちら 中野ザ・ポケット 公演は2日で終了
 旗揚げから10年となった危婦人が「江波止さんち」シリーズを上演。3人の娘がいる江波止家の物語はこれまで何回か上演されており、ファンにとっては楽しみな続き物らしい。自分は今回が初見である。当日リーフレットに江波止家と友人やご近所などの相関図が書かれている。今回映像だけの出演の人物もあり、これまでの舞台を見逃したことが残念に思われた。

 江波止家で飼われている兎のデイジーの視点で描かれる物語は、近日中に控えている長女の高校の同窓会や久しぶりの友人との再会、なぜいるのかよくわからない同居人カップルとのドタバタを基本軸に、お雛様がいなくなったお内裏様が、新しいお雛様を選ばされる場面や、我こそはと自分をアピールする三人官女の猛烈アタックぶりなどがくんずほぐれつ描かれる。登場人物の誰もが強烈キャラなのだが、家族と友人ご近所の人々の間柄、付き合いの度合いなどが案外わかりにくく、よって人物の行動もよく理解できないところが多かった。

 衣装も装置も工夫され、俳優たちは大熱演である。しかし120分の上演時間でこれほど頑張っている俳優がいるのならば、もっと手応えの感じられる舞台になったのではないか。元気のいい俳優さんをみるのは気持ちがいい。しかし舞台の狂想的なまでの熱気が客席に充分伝わっていたかというと、正直疑問が残る。頑張りすぎて空回りでもなく、こちらが「ドン引き」したわけでもない。舞台と客席の空気が微妙に食い違っている、温度差があるのだ。自分がまだ「江波止さんち」の家族に馴染めていないせいもあるし、何かもっと根本的な理由があるのではないかと思う。

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