*椎名泉水作・演出 公式サイトはこちら 相鉄本多劇場 6月1日まで
タイトルは佐野元春の『SOMEDAY』から来ている。ある年代にとっては懐かしさだけではない、心揺さぶられる歌なのではないだろうか。自分にとっての『SOMEDAY』は矢野顕子が最初であり、オリジナルを聴いたときにはまったく違う歌だったので大変驚いた。
☆今夜みたばかりなので、まだ心が整理できず、筆も走りませんが、未見の方は一応このあたりからご注意くださいますよう☆
舞台をみるとき、劇作家や演出家が女性の場合、「女性ならではの視点」「女性らしい描き方」という表現をすることがある。永井愛、詩森ろば、本谷有希子、桑原裕子、明神慈、瀬戸山美咲…。柔らかい作風、舞台装置や照明の優しく細やかな色使いに接すると、「女性らしい」と感じる。しかし登場人物、特に女性の造形について「女性らしい」と感じるのは、その人物の性格がひどく歪んでいたり、言動がはた迷惑だったり嫌みだったり、「ここまで描かなくてもいいものを」という場合が多い。自分の心の奥底に潜んでいるイヤーな部分をえぐり出されているようで気分が悪くなるのである。もちろんそのイヤーな人物の存在が演劇的に有効であれば、その不愉快さも充足感に変容していく。どの作家さんがどんな風、とは書きません。コワいので。
これまで椎名泉水の作品をいくつかみて気づいたのは(1,2,3,4)、「いかにも女性らしい」という印象がほとんどないことである。studio salt所属の俳優が男性ばかりで、登場人物にも男性が多いせいもあるだろうが、まったく予備知識なしに同劇団のお芝居をみたら、男性作家の作品と思うかもしれない。しかし男性の劇作家の舞台をみて、「いかにも男性的だ」などと思うことはほとんどないし、劇作家や演出家が男性でも女性でも、あまりその点にこだわらずに舞台をみたい。
四十代に入った男性たちが、同級生がその妻と経営する小さな店に慌ただしく出入りする。しかしパートの面接を受けに来た女性が小さな波風を起こす。妻と女性がぶつかり合う場面のヒヤっとする感じは、これまで感じたことのなかった空気である。ここをもうちょっとみたい気もしたが、同時にみたくないようでもあり。当日リーフレット掲載の椎名泉水の挨拶文が、非常に痛い部分もあるものの、しみじみと考えさせる興味深いもので、自分の過去の出来事を劇中そのまま使っていないところに、椎名の筆の強さと奥ゆかしさを感じる。
今夜の舞台についてもっと考えたい、もっと書きたい。そういう気持ちが今静かに沸き起こっている。
タイトルは佐野元春の『SOMEDAY』から来ている。ある年代にとっては懐かしさだけではない、心揺さぶられる歌なのではないだろうか。自分にとっての『SOMEDAY』は矢野顕子が最初であり、オリジナルを聴いたときにはまったく違う歌だったので大変驚いた。
☆今夜みたばかりなので、まだ心が整理できず、筆も走りませんが、未見の方は一応このあたりからご注意くださいますよう☆
舞台をみるとき、劇作家や演出家が女性の場合、「女性ならではの視点」「女性らしい描き方」という表現をすることがある。永井愛、詩森ろば、本谷有希子、桑原裕子、明神慈、瀬戸山美咲…。柔らかい作風、舞台装置や照明の優しく細やかな色使いに接すると、「女性らしい」と感じる。しかし登場人物、特に女性の造形について「女性らしい」と感じるのは、その人物の性格がひどく歪んでいたり、言動がはた迷惑だったり嫌みだったり、「ここまで描かなくてもいいものを」という場合が多い。自分の心の奥底に潜んでいるイヤーな部分をえぐり出されているようで気分が悪くなるのである。もちろんそのイヤーな人物の存在が演劇的に有効であれば、その不愉快さも充足感に変容していく。どの作家さんがどんな風、とは書きません。コワいので。
これまで椎名泉水の作品をいくつかみて気づいたのは(1,2,3,4)、「いかにも女性らしい」という印象がほとんどないことである。studio salt所属の俳優が男性ばかりで、登場人物にも男性が多いせいもあるだろうが、まったく予備知識なしに同劇団のお芝居をみたら、男性作家の作品と思うかもしれない。しかし男性の劇作家の舞台をみて、「いかにも男性的だ」などと思うことはほとんどないし、劇作家や演出家が男性でも女性でも、あまりその点にこだわらずに舞台をみたい。
四十代に入った男性たちが、同級生がその妻と経営する小さな店に慌ただしく出入りする。しかしパートの面接を受けに来た女性が小さな波風を起こす。妻と女性がぶつかり合う場面のヒヤっとする感じは、これまで感じたことのなかった空気である。ここをもうちょっとみたい気もしたが、同時にみたくないようでもあり。当日リーフレット掲載の椎名泉水の挨拶文が、非常に痛い部分もあるものの、しみじみと考えさせる興味深いもので、自分の過去の出来事を劇中そのまま使っていないところに、椎名の筆の強さと奥ゆかしさを感じる。
今夜の舞台についてもっと考えたい、もっと書きたい。そういう気持ちが今静かに沸き起こっている。
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