一歩先の経済展望

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FOМC後のドル/円、140円維持の声も すでに米大幅利下げ織り込み済みの指摘

2024-09-17 14:02:40 | 経済

 3連休明けの東京市場では、円高進行を背景に日経平均株価が下落した。17-18日に開催される米連邦公開市場委員会(FOМC)で50ベーシスポイント(bp)の利下げがあるとの観測が広がり、円高が日本株を圧迫するとのムードが広がった。

 ただ、マーケットはすでに年内や2025年中の大幅な利下げを織り込んでおり、さらにドル安・円高が進行するためには米景気の失速懸念が台頭するなど一段の米金利低下予測が必要との見方もある。FOМC通過後に140円前後でドル/円が維持されれば、そこから日経平均株価が買い戻されると予想する声もあり、市場の見方は「円高一色」とはなっていない。ドル/円が135円前後に円高シフトするのか、それとも140円台での取引が長期化するのか。日本時間の19日早朝に明らかになるFOМCの結果とパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の会見内容が大きなヤマ場になる。

 

 <16日に139.58円まで円高進行、その後に戻す>

 東京市場が休場だった16日のドル/円は、一時139.58円まで下落し、2023年7月以来の安値を付けた。市場は9月FOМCでの50bp利下げを82%織り込んでおり、13日の当欄で指摘したとおりにFOМCでの50bp利下げを織り込みに行ったマーケットがドル売り・円買いで反応した結果と言えるだろう。

 ただ、16日のNY時間は140円台に押し戻し、17日の東京時間でも140円後半での取引が多かった。

 

 <12月末の米FFレート、市場は123bpの低下織り込み>

 この点について、複数の市場関係者はすでに大幅な米利下げを織り込んでいるマーケットの現状について、多くの参加者が冷静に判断している結果ではないか、との見解を示している。

 マーケットは足元で、今年12月末のフェデラルファンドレート(FF金利)が現行の水準よりも123bp低くなると予想している。これは9月に50bpの利下げがあったとして、さらに11月、12月のFOМCで合計50bpの利下げが最低限行われると予想していることを意味する。

 さらに2025年12月末は、現行の水準よりも256bp低い水準になると見込んでいる。つまりFF金利の3%割れまで織り込んでおり、ここから先の金利低下は米景気の失速の現実味が高まっているとの判断に傾かなければ難しいとの声が、市場関係者の間で広がりつつある。

 つまり、大幅な米利下げが年明けも継続していくとの前提で、ドル/円は140円後半で推移しているのであり、その均衡を破るような一段と弱い米経済データが出てくるまでは、ドル/円の下値は案外固いのではないか、という見方だ。

 

 <FOМC後に米株下落なら、日本株追随の展開も>

 今の市場織り込みから一段と米金利を低下させるようなドットチャートやパウエル議長の発言が明らかになる可能性はほとんどない、と筆者は予想する。

 逆に市場織り込みよりも、この先の米利下げの幅が明らかに小さいと市場が判断した場合、失望感が広がって米株が下落に転じ、これが日本株に波及して日経平均株価が大幅に下落する展開はありうるだろう。

 今の日本株は、円高→株安のルートだけでなく、米株安→日本株安のルートもあり、上値を二重に重くする構造となっている。

 

 <注目される20日の植田日銀総裁会見>

 その意味で19日朝(東京時間)の段階でのドル/円の位置は、日本株にとって極めて重要だ。もし、140円台を維持していれば、ドル/円の下値は想定を超えて堅いとの声が広がるだろう。それは日本株にとってプラスになる。

 ただ、FOМC後の市場の注目点は19-20日の日銀金融政策決定会合に移り、20日の植田和男総裁の会見が注目されることになる。植田総裁がこれまでの発言を繰り返したとしても、マーケットが何らかの理由で「タカ派的」と受け止めると、ドル安・円高が進行する可能性もある。

 ドットチャートやパウエル議長の発言を踏まえた新たな市場の均衡について、植田総裁がどのような見解を示すのか。米利下げの今後の幅と日銀の利上げパスを重ね合わせた結果として、円高に振れるのか円安方向に動くのか、今週末の市場動向への注目度は一段と上昇しそうだ。


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