相馬野馬追(そうまのまおい)
甲冑に身をかためた五百余騎の騎馬武者が、腰に太刀、背に旗差物をつけて野原を疾走する、力強く勇壮な戦国絵巻。
相馬野馬追は、今から千年以上もの昔、相馬氏の先祖平将門が937年に下総国小金ヶ原(千葉県流山付近)に放した野馬を敵兵に見立てて軍事演習に応用したことにはじまったと伝えられています。
そして捕えられた馬を神馬として、武神である妙見に奉納したのです。
その後、相馬重胤が奥州行方郡(現・南相馬市)に移ってからも、代々の藩主がこの行事を伝承。
戦国時代には伊達藩にそなえるための武備として、また神馬奉納の神事として、怠ることなく野馬追が行われてきました。
幾多の変遷を経て、現在は国の重要無形民俗文化財となっています。
旧藩領をあげての最大の祭典として、今も熱気あふれる行事がくりひろげられています。
(相馬野馬追 ガイドブック冒頭より)
2012年7月28日(土) 早朝
今日から相馬野馬追が始まります。
今年は、震災から二年目の行事となり、ハイライトである甲冑競馬及び神旗争奪戦神も復活となりますので、世間でも例年になく注目されていると聞いています。
昨年、復興一年目の相馬野馬追を初めて見たのですが、省略化された内容ということでしたが、それでも充分に出陣の迫力と一般の街中が突如として過去にタイムスリップした様子が面白く、不思議なものを見られたというなんともいえない感じが好印象な行事でした。
ブログ記事:平成23年度相馬野馬追(福島旅行編)
そして、今年は、その完全版。
昨年以上の迫力と熱気であるということですから、行かないわけには参りません。例年日程を固定されていると聞いていたため、7月23日~25日をずっと休暇ターゲットにしていたのですが、今年は、月末の週末に変更されたようでした。ずっと以前から決まっていたようですが、思い込みとは・・・いかんです。とはいえ、休暇を取得せずに参加できるのは、有り難いところ。恐らく、こちらに住めない状況の方々にも配慮された日程設定だったのではないかと思います。
※ 相馬野馬追の日程について(平成24年度現在)
今まで、毎年7月23日・24日・25日の3日間を開催日としていましたが、震災後の平成23年から7月の最終「土・日・月曜日」に開催することに変更となりました。昨年は、丁度この期間が7月23日(土)~25日(月)となったために、開催日程が従来と同じとなっていました。今年の日程は、7月28日(土)~30日(月)となっていますが、その変更は昨年度から決定されていたものだったのです。へぇ、知らんかった・・・。
この予定でいきますと、来年度(平成25年度)は、7月27日(土)~29日(月)となります。
ここ最近・・・いや昔からですが、深夜から意気込んで出発しても、毎度失敗してどこかで惰眠を貪って結局遅くなってしまうという惨敗を繰り広げてきましたので、今回は、無理せず出発することにしたのです。初日は、昨年度見たという精神的余裕もありますが、メインは2日目ということもありますので、何とか「宵乗り競争」だけでも見られればと5時に起床。しかし、ちょっとやることができてしまいなかなか出発ができません。そんなこんなしている居間では、5時から開始したはずのオリンピックの開会式を両親が見ているのですが、聖火にいつ点火するのかずっと待っているようでした。こちらも折角の機会ですから、気になって見ていたら、8時30分過ぎまで点火までかかるとは予想外。何だかんだで、結局、出発は9時になってしまったのでした。
夏休みが始まっていたので心配していましたが、高速道路は、思った以上に空いていたので問題なく進んでいきます。しかし、途中のIC手前で事故渋滞が2時間という電子掲示が見えたため、早々に一部下道を選択して渋滞を回避。なかなか今日は冴えていると再び西那須野より復帰した後、少々眠いからと仮眠したのは・・・まぁ、いつもの間違い。起きた頃には、すっかりいい時間となっていたのは当然として、この異常な暑さの中で車内で寝るという行為は、本当に危険であると身をもって経験し、フラフラになってしまったのでした。
前回の失敗を踏まえ、今日は、国見ICから降りて、安全確実なコースで目的地に向かいます。
そして、何とか最後のプログラム「宵乗り」には間に合うかな? というタイミングで現地到着。どこが会場かと地図を広げて探してみると、なんと、この時間は、相馬ではなく南相馬が会場だそうで、ここでは何もやっていないようです(本当に調べてから行けって・・・)。南相馬までは、お隣の市と侮るなかれの16キロ。それを知ったところで、今日は移動だけで終わったことを悟ったのでした。
まずは、道の駅 相馬へ
ここで明日の情報収集とお土産を購入します
道の駅の中には、このような鮮魚や海苔の販売コーナーもあります
毎回、ここで岩のりを買っていますが、美味しいですよ
続いて南相馬へ移動。
街の中の交通規制も終わっており、完全に本日の行事は終了の様子。加えて、規制後の交通渋滞に巻き込まれて立ち往生。今日は、どうもタイミングが悪い日のようです。
渋滞待ちの橋の上では、反対車線から騎馬がやってきました
そして、道の駅 南相馬へ
こちらが、南相馬を代表する逸品、松永牛乳のアイスまんじゅう (115円)
懐かしさを感じるアイスの中には、濃厚なこしあんがぎっしり
意外に美味しく頂きましたが、すごい喉が渇きます・・・
さて、まだ時間もあることですので、祭事の時はどうなっているのかと、相馬三妙見の一つ、相馬太田神社に向かいます。
周囲をのどかな田園に囲まれた中にある神社ですが、神社に向かう道に来たときに驚きました。
周囲の田んぼだったと思える場所に向日葵が咲いていたのです。
緑に見えた場所も咲く前の向日葵のようで、ここら一帯が全て向日葵畑に変わっていました。福島第一原発の事故以降、テレビで放射能物質の吸収に向日葵が効果があるという話を聞きかじっていましたが、何といいますか、こんな所に観光気分で来て、自分は何をやっているんだろうと、悲しい気持ちになりました。
相馬太田神社は、特に人が集まってお祭り状態になっている様子もなく、以前来た時と同じように、静かなたたずまいのままのようでした。来る途中で調子がくるってしまったため、何となく立ち寄るのもどうかと思われて、そのまま素通りしてしまいました。
今年は、最終日に相馬小高神社で祭事が開かれると聞いており、前回立入禁止区域になっていた小高地区も立ち入りは可能となっていることを知りましたので、相馬小高神社にも行ってみることにしました。本当は、最終日まで居る予定にして、こちらの祭事も見たかったのですが、月末の月曜日はさすがに難しく、神社だけでも見ておきたいとやって来ました。
こちらが神社前にかかる妙見橋
橋の上から、長閑な風景です
こちらが相馬小高神社の入口
祭事中ということもあって、幟がたなびいていました
小の字が大きく見えますね
この場所は、小高城址となっていて、そちらの方が有名のようです
二の鳥居、こちらは良い文字バランス
階段を登ったところ、こちらで3日目に神事が行われるそうです
無理しても休みを取りたかったですが、今度の楽しみとしておきましょう
白いのは、砂なんですね
そして境内へ
こちらは、自分と同じように、観光客や研究者のツアーの方など
ちらほら参拝者をおみかけしました
三妙見の神社共にある絵馬堂
馬にゆかりのある場所ですので、それぞれかなり大きなものです
こちらが拝殿・本殿
手前の柵は、馬をつなぐためのものなのでしょう
右が新しい復興の絵馬
正面から見た感じは、地震の影響は無さそうに見えましたが
この地域も警戒区域指定をされて、今年4月16日にようやく解除されたと聞いています
復旧もこれからなのでしょう
当然馬にまつわるものがたた見受けられます
本殿の彫刻にも、馬の彫刻が
狛犬は、新しいながらも独特のセンスが光ります
髪の流れっぷりが印象的
小高城址の左手奥にあるのが、棚機神社(たなばたじんじゃ)
そのダメージは大きく、石碑も鳥居も崩れてしまい、何の神社かも分からない状態でした
こちらもウェービーな髪と極太の脚が力強く感じます
こちらも比較的新しいものですが、こういった狛犬がこれからも残って欲しいものです
延喜式内社/名神大社・多珂神社(たかじんじゃ)
屈指の古社でもあるこちらも、震災の被害にあっておりました
こう、この辺りの狛犬を見ていくと、何かしらの傾向があるように思えます
とはいえ、こういった独特の感じは好きです
本殿の彫刻は見事
こうして震災後の神社を見ていくと、震災で拝殿・本殿の建物自体に影響を受けている所は少ないのが分かります
日本古来の建築技術の素晴らしさに感謝
車を走らせていると、予期せず再び相馬太田神社の前にやって来ていました
何かの思し召しかと思いますので、きちんとご挨拶をすることにしました
明日の本番に向けて、何か行っているのかと思っていましたが
全く誰もいない様子
神輿殿も開け放たれていました
階段前の狛犬
地域が変わるためなのか、先ほどとはちょっと異なるフォルムです
拝殿前の狛犬は、犬のような感じでしょうか
先程の相馬小高神社もでしたが、こちらも九曜紋
相馬家の家紋ですね
こちらが、相馬太田神社の絵馬堂
中はこのような感じ
拝殿のそこかしこにも、馬の彫刻がありました
明日の活躍まで、しばし休息でしょうか
来た時と反対方向に車を走らせると
向日葵がすべてこちらを向いていました
そしてこの看板が目に入ったのです
自分としては、使えなくなってしまった田んぼに泣く泣く向日葵を植えたなどという勝手なイメージを持っていましたが、「ひまわりプロジェクト」として、積極的に復興への準備を進めていることをこの看板をきっかけとして知りました。「野馬追ひまわりプロジェクト」で検索していただければ、色々な思いを感じることが出来ると思います。
少しでも道を違えると、このような警告ですから
まだまだ国レベルで頑張って欲しいものです
そして、最後に見ておきたかったのが
相馬野馬追祭場地(雲雀ケ原)
えっ、中に入れるの?
こちらが甲冑競馬のコース、向こう正面といったところでしょうか
あそこが観覧席になるのですかね、楽しみです
本日の宿は、車中泊でも良かったのですが、ここのところの暑さの異常性を感じていたため、宿をちゃんと確保することにしていました。ただ、予定していた角田市では、宿が取れなかったので、福島駅周辺となりました。相馬までは、車で1時間以上と近いとは言えませんが、家から出発するよりは、全く違いますからこれはこれで満足です。
野馬追銘柄となっていた人気酒造のお酒をいただきました。お土産だったはずですけど
福島県の酒米「夢の香」と相馬の「天明水」を使用したお酒
味は、美味しいですが、もうちょっと・・・
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