Kazuaki Koseki Photo Blog

KAZUAKI KOSEKI PHOTOGRAPHY from Yamagata,Japan 写真と僕と山形の風景・・・

白竜住まう処 / 白竜湖泥炭形成植物群落

2019-08-21 16:56:46 | 山形の風景
山形県を南北に縦断する主要道路である国道13号線を北から南下し、

「鳥も上れぬ鳥上坂」という言葉が由来する通りの急坂「鳥上坂」を下っていくと

この「白竜湖」は存在する。



白竜湖は山形県の置賜地方南陽市の北東部に位置し、

標高200m内外の低地ながらも、湖の周辺は大谷地と呼ばれる約1000haにわたる大谷地泥炭層が展開していた。

数万年前の古代には、この広大な盆地一帯が湖沼であったとされ、周辺には古代の人々が住んだ洞窟も存在する。

時が流れ、吉野川の扇状地でもあるこの場所には泥炭の堆積もあり、その名残となった白竜湖周辺は雄大な湿原となり、原生な動植物を残した。

1900年ごろから周辺一帯は耕地に開拓されたが、水位が高く、腰までつかる農作業は困難を伴った。

昭和30年(1955年)泥炭形成植物群落地域のごく一部90.59haが県指定天然記念物となったが、

1958 年頃、大谷地の水田区画整備事業に伴い、白竜湖の水を利用するようになり、水位が低下した。

また、1969 年農業水利改良事業として、白竜湖底の白竜湖底の浚渫が行われ、その泥土を周辺の湿地を埋め立て利用し、ミズゴケ泥炭湿原の原生植物の殆どが失われた。


その中には、やまがたレッドデータブックに絶滅種とされている種も存在する。

現在の白竜湖は、有機リン過剰の富栄養化により新たに帰化した植物が繁殖し、今世紀中には消滅するとも言われている。

白竜湖及び湖畔は白竜湖一帯の農耕法を変えない限り、かつての泥炭層からなるミズゴケ湿原の回復は不可能と考えられ

おそらく、湖沼・湖岸の植物相・植生は普通のヨシ・ガマ・オギ群落に覆われ、ヨシ湿原に変るものと考えられる。

少しでも回復を考えるならば、水田や造成されたブドウ畑から流れてくる富栄養化した排水が白竜湖に流れ込まない工夫を施すことや帰化植物の侵入の原因となる播種 ( 植 付 ) をしないことによりある程度の回復が可能と考えられる。とされている。


参考文献/高橋信弥 白竜湖及び周辺の植物相





















私は、歌人・斉藤茂吉も詠んだ鳥上坂から見下ろす光景に日本の原風景を重ねていた。

しかし、撮影を重ねながら歩けば歩くほど、感じたのは人々の干拓と開墾の歴史だった。


一見、原風景ともみえるこの光景は、すでに多くのものが失われている。

けれど、今よりさらに水田が大切とされてきた時代に、人々がこの湖をとても大切にしてきたのも見てとれる。

原生な植物や大谷地が保全されていれば、今とは違った美しさが、きっとあっただろう。

しかし、それ以上にその人々とこの湿原のあり方に大きな魅力を感じいる。


今現在、この白竜湖を保全したいと周辺住民が考え行動を起こしている。

開墾と干拓の歴史の末にそれがどうなっていくのか、それもまた歴史である。



今回の一連の写真は、5年あまり撮影してきた写真を一部組んだものとなります。







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